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【完結】龍の導き  作者: 楽羽
第6章 真実
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碧い火に、ソウヤに向かって抱きしめるように手を伸ばす。

ヤヨイの悲鳴が聞こえる。


「え、なにが起こっているの」

伸ばした手はソウヤに触れる前に水に包まれた。


驚いて自分の手を見つめると、みるみるうちに体全体が水に覆われる。

「ソウヤの火が」

ユサの声に慌てて、自分の手から視線を外し、ソウヤを見る。


「碧じゃなくなっている」

目の前のソウヤを包んでいた火は碧ではない。深紅のようないつもの赤色になっている。


まさか…

「水龍の加護がシズクにうつったということ?」

ヤヨイの驚いた声が聞こえる。


たしかにそうとしか考えられない。自分をまとう水は自分の意思とは関係なく、やさしく全身を包み込んでいる。

傷口も浄化されていくようだ。


「ソウヤには火龍の加護だけが残っているのか」

ユサが戸惑いを見せる。


ソウヤをまっすぐ見つめる。色は赤になったが、火は変わらずソウヤを包みこんでいる。意識はまだ戻っていないようで、目は開いているが何の反応も示さぬまま、そこに立っている。


泣き笑いの表情になる。

「こうなったら私の勝ちだね。私の実力見せてやるんだから」


龍の加護の力か、傷の痛みはもう感じない。むしろ力があふれてくるようだ。

再び、しっかりと両手をソウヤに向かって伸ばす。


「かましてやれ」

「目を覚ましてあげて」

振り返ると、さっきまで心配そうだったヤヨイとユサが微笑んでいる。


こくりとうなずいて、叫ぶ。

「かえってきて、ソウヤ!」

そして燃え盛る赤い火を消すように、水を放つ。


水が陽の光を浴びて、きらきらと光りながら赤い火を包み込む。

赤い火に水がまとわりつく様子は二匹の龍にも見える。


火が消えていく。

ふっと力が抜け、膝から崩れ落ちた。

慌ててヤヨイが駆け寄ってくる。ソウヤにはユサが駆け寄る。


「よかった」

安心感か疲労感のせいか、薄れゆく意識の中、そっとつぶやいた。



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