表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】龍の導き  作者: 楽羽
第6章 真実
43/48

3


メラメラと碧い炎が燃えている。倒れていた最後の宝国の人間が碧い炎によって消えた。一瞬の出来事だった。本当に骨も残らず消える。


この火が、大好きだった父と母を…


信じられない気持ちで火を纏っているソウヤを見つめる。

しかしソウヤは目は開いているのに、まるで周りなど見えていないかのようだ。


これはソウヤの意思と関係なく、周りにいる全ての人間を燃やしてしまうのではないだろうか。記憶はないようだが、私の父と母を消し、ましてやソウヤ自身の家族まで消してしまった可能性が高い。


ソウヤが碧い火を纏ったまま、こちらに近づく。傷口が痛む。呼吸も荒くなり、視界も揺らぐ。私も燃え消えるのだろうか…


「ソウヤ…」

そっと呼びかけるが反応はない。


やはりソウヤの意識はないようだ。私も燃えた後、ソウヤはどうなってしまうのだろう。ソウヤ自身も危険なのか。いや、無事だったとしても、心は大丈夫だろうか。


たぶん私まで消えたら、さすがに自分が碧い火の正体だったと気付くかもしれない。その時、過去の真相にも気付くだろう。

そうなったらソウヤはどうなってしまうのか…


このまま私が消えるわけにはいかない。近づいてくるソウヤを見つめる。


「ソウヤ、ソウヤ…」

嗚咽混じりに呼びかける。


初めて会った時はその碧い瞳が気になった。

夢で出てくる碧い炎と似ている憎き色。過去の自分と似ている、何かを失った目。


無愛想で腹が立ったこともあったけど、だんだんと心を開いてくれた彼に惹かれていた。

たまに見せてくれる笑顔にドキドキした。

任務をこなすごとに強くなっていく彼に憧れた。


向かってくるソウヤの碧い瞳を見て、涙がこぼれる。


今まで一緒に過ごした時を思い出す。

気付けば彼は私にとって、大切な存在になっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ