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メラメラと碧い炎が燃えている。倒れていた最後の宝国の人間が碧い炎によって消えた。一瞬の出来事だった。本当に骨も残らず消える。
この火が、大好きだった父と母を…
信じられない気持ちで火を纏っているソウヤを見つめる。
しかしソウヤは目は開いているのに、まるで周りなど見えていないかのようだ。
これはソウヤの意思と関係なく、周りにいる全ての人間を燃やしてしまうのではないだろうか。記憶はないようだが、私の父と母を消し、ましてやソウヤ自身の家族まで消してしまった可能性が高い。
ソウヤが碧い火を纏ったまま、こちらに近づく。傷口が痛む。呼吸も荒くなり、視界も揺らぐ。私も燃え消えるのだろうか…
「ソウヤ…」
そっと呼びかけるが反応はない。
やはりソウヤの意識はないようだ。私も燃えた後、ソウヤはどうなってしまうのだろう。ソウヤ自身も危険なのか。いや、無事だったとしても、心は大丈夫だろうか。
たぶん私まで消えたら、さすがに自分が碧い火の正体だったと気付くかもしれない。その時、過去の真相にも気付くだろう。
そうなったらソウヤはどうなってしまうのか…
このまま私が消えるわけにはいかない。近づいてくるソウヤを見つめる。
「ソウヤ、ソウヤ…」
嗚咽混じりに呼びかける。
初めて会った時はその碧い瞳が気になった。
夢で出てくる碧い炎と似ている憎き色。過去の自分と似ている、何かを失った目。
無愛想で腹が立ったこともあったけど、だんだんと心を開いてくれた彼に惹かれていた。
たまに見せてくれる笑顔にドキドキした。
任務をこなすごとに強くなっていく彼に憧れた。
向かってくるソウヤの碧い瞳を見て、涙がこぼれる。
今まで一緒に過ごした時を思い出す。
気付けば彼は私にとって、大切な存在になっていた。




