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うららかな日差しが差し込んでくる午後の授業。
実技が半分を占めるこの学校だが、今行われているのは学科の授業である。
「皆さんもご存知のとおり、この国は島国であり、五角形の大地をしています。五行思想に基づき、龍を司るこの国は5つの地域に分かれています」
初等部からいる生徒には幾度となく繰り返された話である。
ほんのりと眠気に誘われるなか、そっと一番前の席である少年の姿を眺める。
校門で見かけた少年はヤヨイと話していた通り、高等部からの編入生であった。
同じ学年だったが、3日経った今でも一言も話していない。
編入生は珍しいので、みんながすぐ周りを囲むからだ。
「五行思想の要素は金、木、土、水、火の五つです。この学校はカグラさまの先祖代々から守っていらっしゃる金州にあります」
目線の先の少年は先生の話を聞いているとも聞いていないともとれる様子である。まっすぐ前は向いているが、身動きしなさすぎて心ここにあらずにも見える。
普段の様子も同じである。
周りが話しかけているが、無視とまではいかないが反応が薄い。
その代わりといってはなんだが、同じく編入生の男がほぼ横におり、その子がたくさん話している。
緑の短髪で、くりっとした目が特徴的な彼は明るくおしゃべりである。
初等部からほぼ同じメンバーのクラスでおそらく相当アウェイのはずなのに、3日ですっかりなじんでいる。
「明日からは実技も始まります。そして高等部からは外部の任務を受けていただきます。みなさんの属性を活かし、励んでください」
最後に先生がしめ、今日の授業が終わった。