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2 (カグラ・ビャクヤ)
初等部、中等部、高等部の三つからなる学校の最奥にある学長室。
そこに二人の人物が佇んでいた。
「カグラ様。よろしいのですか、あの二人を同じこの学び舎で過ごさせるのは」
歳の頃は30、美しい黒色の長髪を束ねた男が声をかける。
「…いずれ真実を知るのならば、せめて互いを少しでも理解した方がよい未来に向かうのではないでしょうか」
声をかけられて振り返った女性は20代後半。
信じられないくらい透き通った白い肌に、銀に近い白い髪。
瞳もこの世のものとは思えないほど、宝石のような輝きを放っている。
「そうですね、そう願うばかりです」
「見守りましょう、二人の行く末が少しでもあたたかいものになるように。ね、ビャクヤさん」
カグラはふんわりと親愛の情に満ちた微笑みを向ける。
「仰せのままに、我が君」
ビャクヤは少しだけ微笑んで、深く頭を下げた。