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炎の檻の中から声がする。
「龍導師か!」
「水で打ち消せ」
盗賊の中に水属性がいるようである。ソウヤの火を消そうとする。
「一部火を消してもらっていい?そこから攻撃する」
「わかった」
ソウヤが火を操り、私の前の火が消える。
その瞬間に盗賊の位置を把握し、用意していた水弾を撃つ。その弾丸は荷物を降ろそうとしていた男の首に直撃する。
ソウヤはそれと同時に檻の中に入り、気絶させた男に近寄る。
「お前のコントロールはすごいな」
気絶を確認し、ソウヤは今の男と先ほど気絶させた男を縄で拘束する。再び動かれると意味がないからである。
炎の中に入ってきた私たちを見て、ひとりの男が目を見開く。
「ガキじゃねぇか」
おそらく龍導師だと思っていたのだろう。龍導師は私たちの学校を卒業したもののなかで、試験に合格したものだけがなれる。国全体で現役の龍導師は100人ほど。そのなかでも各属性の優秀者二名が王族直属の龍導師となる。
「なにをぼさっとしている。ガキをとらえろ」
御者を拘束していた男が仲間に声をかける。
残っているのは三人。御者を拘束している男と、荷物を降ろそうとしている二人である。運び屋は気絶させられて、動けなくなっているようである。
二人の男が向かって来る。一人は水属性、もう一人はまだわからない状態である。
「俺がふたりやる。御者を助けられるか」
「できる。けど相性悪いよ、大丈夫?」
ソウヤをちらりと見る。
「体術は得意だ」
そう答えた途端に、向かってきた男の一人を回し蹴りで沈めた。
「わぁ、すごい。じゃあお願いします」
この実力なら問題なさそうである。
そもそも龍導師ではなく、学校に依頼がきている時点で相手も私たちで対処できるレベルだということだ。
待機していた時の緊張はもうなくなっていた。




