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【完結】龍の導き  作者: 楽羽
第4章 決意
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2


木の上から目をこらす。暗闇ではっきりとは見えないが、人の気配は感じる。相手は5人か。


今回の任務は初の『竹』である。今までの『梅』に比べて危険が伴うということだ。雪もちらつくほど寒いというのに、緊張でじんわりと手汗をかいている。


任務の内容は盗賊狩り。国の中心地、王都に続く火州からの山道に出没する盗賊の討伐である。


火州は鉱石の採掘が盛んな地域で、王都へと高級品が運ばれるため、しばしば盗賊が現れる。

最近被害が増えているため、私たちが派遣されたというわけだ。


盗賊が運び屋を襲撃する前に撃退するのが理想である。しかし万一私たちと同じように狩る側であったり、別の目的や未遂の可能性もあったりするので、現行犯で捕える。


そのため相手の場所と人数は把握しつつも、息を殺して待機している。盗賊たちは草むらに隠れているようだ。


馬車の音が近づいてきた。運び屋は昼夜問わず、運搬するため、人目につきにくい夜が盗賊に狙われる。


別の木に潜んでいるソウヤに合図を送る。

草むらに隠れている者たちも動き出したようで、微かに音がする。


唾を飲み込む。緊張しすぎては動きが鈍る。しかし集中せねばタイミングを逃す。


「かかれ!」

男の野太い声がする。


目の前を通る馬車に向かって、草むらから人影が飛び出した。

やはり数は5。


「うわぁ」

突然出てきた人に御者が驚く声がする。馬車の荷台にはもう一人男が乗っている。彼が運び屋だろう。


「荷物を取れ!」

荷台に4人の男が乗り込み、荷物を担ぎ出そうとする。


間違いなく、盗賊である。

判断がついたので迷いはない。動き出す。


手で持っていた石ころに龍導で水を纏わせて放つ。水弾である。


狙い通りひとりの男の首に直撃し、倒れる。威力は調節してあるので死にはしない。気絶しただけだ。


「なんだ!」

男たちがあたりを見回す。


その瞬間馬車の周りを火が囲む。

ソウヤである。

盗賊が逃げないよう火の檻を作ったのだ。


木から飛び降りる。ソウヤも地面に降り立つ。ここからが本番だ。



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