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「決まりね。次は彼の分を決めましょう。希望はある?」
「派手じゃないもので」
ソウヤは特にこだわりがないようだ。
「そしたらあなたが選んであげたら?」
「私ですか」
いきなり話を振られ、戸惑う。
ソウヤの方をちらりと見ると
「頼む」
と短く言われる。
こくりと頷き、男性用の着物を見る。
ソウヤの顔は綺麗なのでどれでも似合いそうだ。
しかし派手なのを好まないのであれば
「これ、どうかな?」
黒い着物で上品な銀帯の組み合わせを取る。
「素敵。彼の雰囲気に合ってるわ」
アスカも微笑む。
「なら、これでお願いします」
「そんなあっさり。いいの?」
あまりの即決に焦る。
「ああ」
服にこだわりがないだけかもしれないが、自分が選んだものに決めてくれるのは嬉しい。
「よし、決まりね。荷物になるかもしれないけど」
アスカがテキパキと二人分の着物をそれぞれ布に包みに隣の部屋へ行く。
「指輪を見つけてくれて本当にありがとう。この着物着て、二人で出掛けてみてね」
戻ってきたアスカが包みを渡してくれる。
二人で着物を着て出掛けることがあるかはわからないが
「こちらこそありがとうございます」
ソウヤと二人揃って頭を下げる。
「がんばってね。あなたの帯、彼とお揃いの銀にしといたから」
そっとアスカが耳打ちし、ウインクもされる。
勘違いは継続しているが、まんまとお揃いの姿を想像してしまい、恥ずかしい。
その後アスカに見送られ、無事に二人での初任務も終えた。




