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空が暗くなり、休憩を終えた私たちは配置につく。
畑を囲むように四隅の茂みに身をひそめる。
罠の準備は万全である。
しかし問題は犯人または動物が今日現れるかわからない点である。
寝ずに見張っても、連日挑まなければならない可能性もある。
「交代で見張るほうがいいか」
持ち場を離れ、ヤヨイのもとへ向かおうとした時である。
ポチャ。
遠くの方でかすかに水たまりを踏む音がした。
西側、ソウヤのいる方角である。
「来た」
三人に合図を送る。そっと水の小さな球体を作り、三人に飛ばす。
ソウヤのあたりに現れたことを知らせる合図は事前に二発と決めていたので、二つずつ球体を飛ばす。
水たまりの罠に気付かず、相手は近づいてきている。緊張が走り、じんわりと手のひらに汗がにじむ。
一体犯人はどんな姿をしているのか。動物なのか。
足音からすると
「子どもか」
息をひそめ、茂みからそっと様子をうかがう。
ぼんやり姿も見えてきた。
やはり子供である。
一人の7歳ぐらいの少年が畑に向かってきている。
一番近くにいるソウヤにも気づかず、真っ直ぐ畑に来ている。
凶暴な生物ではなかったことに息をつく。
しかし油断は禁物である。
じっと様子を見つめる。
すると子供はヤヨイが仕掛けた植物の罠にあっさりと足をひっかけた。
私たち四人は一斉に茂みから、子どものもとに走る。
「ひぃ」
それに気付いた子供が一目散に駆け出す。
「逃がすか」
先ほど作った球体と同じものを生み出し、弱めの力で少年の足元に向かって撃つ。
突然の水鉄砲に驚いた少年の前に、ソウヤが立ちふさがる。
完全におびえた少年はもんどりうって、横に向かって走る。
「あ、そっちは」
どごぉと激しい音がして、少年の姿が消えた。
「お、綺麗にはまってくれたね」
ユサがにやりと笑いながら、少年に近づく。
用意していた落とし穴に少年は落ちたのである。
出てくることができないように、周辺をソウヤが弱い炎で囲む。
「あらまぁ、見事に作戦通りで助かるわ」
ヤヨイが蔦でそっと少年の腕を手錠のようにとらえる。
「う、うわぁーん」
何が起こっているのかわからない様子で少年が泣き始める。
助けを呼ばないあたり、これは共犯者もいないようだ。
「よし、任務完了」
四人で穴を覗き込み、終わりを告げる。
初めての任務は無事成功である。




