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まだ春先なので日差しはきつくないが、木陰は風が抜けて心地よい。
「落とし穴を用意するのはどうかな。単純だけどうまくいけば捕獲もできるし」
「いいわね。被害にあった畑の両脇に作っておきましょう」
思いついた案を言うとヤヨイが賛成してくれる。
「俺が龍導でつくるよ。土掘るのは簡単だから」
土属性のユサが二カッと笑う。
「助かる。それとヤヨイが細い蔦で、足元に罠を仕掛けてくれる?」
「お安い御用よ」
木属性のヤヨイが親指を立てる。
「私は水たまりをあちこちに作って、近づいてきた音を察知できるようにする」
「水属性だもんね」
ユサの言葉にうなずく。
「ソウヤくんは」
ちらりと彼の様子をうかがう。
真っ直ぐ彼と目が合い、心臓が波打つ。
しっかりと目があったのは初めてかもしれない。
動揺を悟られないように、言葉を紡ぐ。
「落とし穴に落ちた場合、簡単に出てこられないように落とし穴の周りを火で囲んでくれる?あくまで捕獲のためだから火力は気を付けて」
少し偉そうだったかと不安になり、後半の言葉が尻すぼみになる。
そっと様子を伺うと
「了解」
と短い返事があった。
とりあえず返事があったことに安心する。
「決まりね。罠を用意しましょう」
ヤヨイの言葉で全員が立ち上がった。
いよいよ任務の始まりである。




