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畑は四つに分かれていた。
綺麗に四角になっており、それぞれの間に通路がある。
「被害はどの畑ですか?すべてでしょうか」
ヤヨイがおじいさんに問いかける。
「いや、生のままでも食べることができる作物を育てている手前のふたつじゃ」
「生のままでもか。たしかに動物か、反対に選んでいるところを見ると人間か。判断が難しいね」
畑を見回しながらユサが言う。
「被害はいつも夜間ということでしたよね」
「そうじゃ」
ヤヨイの確認におじいさんがうなずく。
「それでは明るいうちに畑をしっかり見せていただいて、対策を考えます」
「すまんね。夜ご飯はうちで食べておくれ。夜に向けて部屋で休んでくれても良い。何かあれば声をかけてくれ」
「ありがとうございます」
おじいさんの優しさに頭を下げる。
昼は用意してきていたが、夜はこれから仕入れなければと思っていたのでありがたい。
「さて、さっそく対策を練りましょうか」
「そうだね。まずは被害の様子を見て、犯人、動物かもしれないけど、の特徴をつかみたいね」
畑に近づき、作物を近くで観察する。
「たしかにむしり取られたような跡があるわね」
茎の先が中途半端な位置でなくなっている部分がある。
「売り物にしようとして盗ったわけじゃなさそうだね」
「その割には数も少ないしね」
ユサの言葉に同意する。
「低い位置に盗った形跡があるから、子どもか小さめの動物かな」
「四足の動物だと小型とは断定できないかもしれないわね」
「たしかに」
様々な角度から作物を眺めたり、足跡を探してみたりする。
「これといった証拠がないね」
「農作物や動物に詳しくないから、断定がむずかしいね」
「とりあえず動物と人間の両方の対策を用意するしかないか」
「そうしよう」
ユサの言葉に全員うなずき、一旦畑のわきにある木陰に移動した。




