泣き崩れる私。 すまんな、もう贅沢品は出来ない。 悪役令嬢で生活している人もいるんです。俺は主人公を絶対に許さない
『親と上司は選べない』と言われるが、今の私はそれに『転生先も選べない』という言葉を付け加えたい気分だ。
というのも私が転生したのは、剣と魔法の世界でもなくましてやロボットが飛び交うSF世界でもなかったからだ……
私の個人的な望みであるならば女神様に会い、素敵な能力を貰い、異世界で無双しハーレムを築く。これは男のロマンだ。おっぱいがポヨンポヨンと揺れる巨乳エルフとかとさぁ……会いたかったじゃん。
けれどけれど……・残念ながら転生した先は、乙女ゲーム「凍星と六分儀」の世界。しかも主人公でもなく、ライバルでもなく、ボスでもなかった。
モブよりはマシ?いやいや、一番やばい人物、悪役令嬢鶴上シロの妹鶴上クロに転生してしまったからだ。
もちろん女神様になんて会ってないから能力も貰ってない。
ここでおさらいである。
では何故悪役令嬢鶴上シロの妹鶴上クロがやばいと言われるのか。
乙女ゲーム「凍星と六分儀」での最大不幸キャラだからだ。
とにかくよく死ぬ。ストーリー中でも姉の身代わりとしてあっさり死ぬパターン20種類。そして姉が失脚すれば一つの除き確実に死ぬのだ。しかもどれも苦しんで死ぬという。
噂では鶴上クロは元々主人公キャラとして作られたらしいんだが、死ぬパターンだけ流用されたとか。どうして?どうしてなの?
鶴上クロ……名前に似合わず3/4白人の血が流れる日本人クォーター。見た目は金髪碧眼美少女キャラ。だがゲームデザイナーはこんなあり得ない人物を生み出す為に、無理に無理をさせた。ロシア系愛人の子に産ませたキャラとして設定したのだ。しかも産ませた父親も元ブルガリア系愛人の子。
そして不幸な事に、私が転生者として覚醒したのが最悪のタイミング。そう姉の失脚した日だった。
残された道は生存の可能性のあるたったひとつの道。
それは確実に死しか残って居なかった筈の鶴上クロが、「凍星と六分儀」2の隠しキャラとして出ている事にかけるしかない。
関西の神戸にある名門中高一貫校、港南帝王学園へ転入し、学業優秀で特待生として特例で東京に舞い戻ってきたという設定
つまりそれをなぞれば、私は生き残れる可能性はあるのだ。
今の私には運命をそれにかけるしかなかったのだ。