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後輩ちゃんの恋愛講座

後輩ちゃんの恋愛講座 デート会話編

作者: 衣谷強


『後輩ちゃんの恋愛講座』続編です。


『煌めいたのは涙か雪か』

『後輩ちゃんの恋愛講座 見た目編』

『後輩ちゃんの恋愛講座 待ち合わせ編』

『後輩ちゃんの恋愛講座 カラオケ編』

『後輩ちゃんの恋愛講座 邂逅編』

『後輩ちゃんの恋愛講座 映画編』

からの続きになります。


タイトルが予告と違う? 色々あったんです。

本文を見てお察しください……。

「いやー、面白いもんだな水族館も」

「そうですね」

「ペンギンの行進とか、何時間でも見てられる気がする」

「わかります」

「イルカのショーが水飛ばさなかったのは、ちょっと物足りなかったな。季節の問題かな?」

「そうでしょうね。この季節にびしょ濡れになったら、カゼですむかどうか」

「確かにな。他に何か気に入ったのはあったか?」

「熱帯魚の水槽は綺麗でしたね。生きてる宝石って感じでしたね」

「お、いい言い回し。今度使わせてくれ」

「ふふっ、いいですよ」


 後輩が微笑む。あ、ちょっと可愛い。

 と思ったらすぐ真顔!


「ややしゃべりすぎですが、会話の引き出し方は大分よくなりましたね」

「ふぅ……」


 三度目のデート練習は水族館。

 気楽に考えていたけど、水族館デートって大変だな!

 カラオケや映画と違って、しゃべらないでいい時間がほとんどない!

 沈黙が長くなるたびに、『……十秒……、二十秒……』って将棋みたいに小声で言ってくるし!


 覚えなきゃいけないことも多かった……。


『視界に入るもの全てを話題にするつもりで歩いてください。同じ景色を共有しているというアドバンテージを無駄にしないように』


『話は着地点を短く設定して、決めたら反応がどうであれ届かせてください。つまらない話より中途半端な話の方がストレスです』


『会話は七割相手に話させるくらいで考えてください。それでもフォローとかリアクションとかで、五分五分くらいになりますから』


『質問責めにしてはいけません。まず自分の感想の中で共感を受けそうなものを振って、口を開くように導くんです』


『質問するなら、はい、いいえで答えられる質問から、自由回答質問です。順序を間違えると救いようのない沈黙に落ちますよ』


 昼食の予約や休憩するカフェを調査して、万全だと思っていた俺は甘かった。

 でもおかげで会話術もだんだんわかってきた。

 この緊張感には慣れないけど……。


「さて、これからどうしますか?」

「そうだな……。まだ時間大丈夫か?」

「はい。ある程度は」

「腹、減ってきたんだけど、お前はどう?」

「そうですね。私も多少は」

「じゃあ軽く飯食って行かないか?」


 ぴたりと立ち止まる後輩。


「……一旦相手の事情を確認して、『時間はある』『お腹が空いてる』と言わせてからの誘いで断りにくくさせる手管、まだ教えていないはずでしたが悪くないです」

「いや、褒められたのは嬉しいけど、そうじゃなくて」

「え?」


 こいつはちょいちょい固まるなぁ。

 そんなに俺が誘うのが意外かよ。


「前にも言ったけど、いつも色々教えてもらってばっかりだからさ。お礼を兼ねてな」

「そんなの私が好……、やりたくてやってることですから気にしなくていいですよ」

「俺と飯行くの、嫌か?」

「……その訊き方はずるいです」


 なぜむくれる。


「わかりました。ご飯、行きましょう」

「やりぃ!」

「しかし先輩もドMですね。わざわざ追加でお勉強だなんて」

「え?」


 お勉強とは。


「追加講義『飲み会編』突入ですね。さぁびしばし行きますよ!」

「いや違うって! 単なるお礼なのに!」


 俺の悲鳴に近い訴えも聞かず、後輩はうきうきと駅に向かう。

 仕方ない。これで行きつけの安居酒屋なんか連れてったら何言われるかわからん。

 彼女ができた時にと思っていた、おしゃれめの小料理屋にしよう……。

 行きつけより大分高いけど、まぁお礼だししょうがないか……。




 どうしよう。

 先輩が素直に言われた通りにするからどんどん教えちゃったら、成長が早すぎる……。

 最初は「要所要所で話を振ればいいか」的な、典型的なダメデートだったのに、今じゃ教えたことほぼほぼ使いこなしてる……。

 秒読みはやりすぎた、かな。

 後半は素で楽しかった。

 指導する内容がなくて困ったくらい。

 思わずご飯のお誘い、オッケーしちゃったけど、大丈夫、だよね。


 ……いや、むしろこれはチャンスかも。

 先輩も成長と手応えを感じているだろうし、ここで試験と言って適当な課題をクリアさせたら……!

 そうしよう。頑張ろう。

 致命的に壊れる前に、綺麗に幕を引こう。

 あの映画の二の舞になんか、なりたくないから。

読了ありがとうございます。


案の定、告白練習まで辿り着きませんでしたよ!

いきなり告白の練習って何! ムードも大事でしょ! デートのラストに持ってこないと!

とデート終わりから書き始めたのに、後輩の指導が厳しすぎてダメでした。

いや、書き上げはしたんですよ?

ただ上書きした時に五千文字を超えてるのを見てしまったら、もう分割しかないじゃない!

ということで、『告白練習編』は別で投稿させて頂きます。

今しばらくお付き合いください。

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― 新着の感想 ―
[一言] おい!やめろ! ソイツは「魔女」だ! 着飾らせ、美味しく好みに太らせたらアタマからかぶりついて中身をチュウチュウ吸い取るんだ!(意味深) 気を付けろ!!
[良い点] ペンギンの行進、よちよちと歩いてる姿が可愛いですよね! >そんなの私が好 好きでやってる、と言っしまっていたらぶわっと真っ赤になって言い訳をしてたのでしょうか、後輩ちゃん可愛い。 [気に…
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