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ウルトラファンタジーノベル編集室にて 4

 集談社のラノベ部門であるウルトラファンタジーノベルの編集室。若手編集者の前畑紘一は、先輩編集者の島田とミーティングルームで、自ら書き上げたばかりのPC原稿を読み返していた。


「自分で書いておいて言うのもなんですけど、これいったい何なんですか?」


 紘一はあまりピンときていないようであったが、島田は何かを悟ったように苦渋の表情であった。


「前畑、コマンドは見事に実行されてしまったようだ。俺たちはもう引き返せない」


「どういう意味ですか?」


「ヤマダは考えろと言ってるだろ。ヤマダが偽国境の町で名乗った名前は”カイト”だ。そして偽国境の町は本物を模しているという。カイトそして囲まれた町・・・ここから何を連想する?」


「ええと・・・いやわかりません」


「俺たちが居るこの場所。集談社ウルトラファンタジーノベル編集室の所在地はどこだ?」


「え・・・ここは大阪府枚方市大垣内町・・・」


「そう、ここはオオガイトチョウだよ、前畑。ガイトはカイトが濁ったものだ」


「ああ・・確かに。でもここは別に塀で囲まれていませんよ」


垣内(カイト)というのは昔の大阪の農村部によく見られた、垣や壕で囲った村のことだ。八尾市にも垣内という地名があるが、あちらはカイチと読む。門真市ではカキウチだ。垣内カイトと読ませるのは枚方市大垣内町しかないから、間違いなくここだ」


 紘一はまだ腑に落ちない表情だ。


「ここが国境の町ってことですか?うちは単なる出版社ですよ」


 島田は顔をしかめて首を横に振った。


「違う、違う。ウチじゃない。いいか、枚方市大垣内町というのはネット小説界ではとても重要な地名なんだ。このビルのうちの上の階、なんという会社が入ってる?」


「ああ、株式会社ビバプロジェクトさんですよね」


「そうだ。あの小説投稿サイトの最大手「小説家にNAROW」の運営会社だよ」


「な・・・NAROW!?」


 ミーティングルームに少しの間、沈黙の時間が流れた。

 やがて島田が口を開く。


「灯台下暗しだったんだ。なぜ今まで気づかなかったんだろう。おそらくは俺たちの思考にセキュリティがかけられていたんだ。隠しコマンドによってそれが解除されたんだろうな」


 紘一はまだ混乱していた。


「思考にセキュリティーとか隠しコマンドとか、島田さんはいったい何を言ってるんですか?」


 島田は鋭い視線を紘一に送った。


「前畑、俺の姓は島田だ。じゃあ名前はなんだ?」


「え?・・・名前。えーと・・すみません、度忘れしたみたいです。なんでしたっけ」


「俺にもわからないんだよ。俺の名も、俺がどこに住んでいるのかも、家族のことも何もかも。俺はただお前の先輩編集者の島田に過ぎないんだよ」


 ようやく紘一にも島田が何を言おうとしているのかが、ぼんやりとではあるが分かってきた。


「俺は単なるキャラクターだ。おそらくは小鳥遊灰音が作ったアバターなんだろう。お前はどうだ?お前には紘一という名前がある」


「僕には家族の記憶も、少年時代の思い出もちゃんとあります」


「ならばお前はおそらく転生者だ。思いだせ、お前には彼女が居ると言ってたな。大学のサークルの後輩だったという。彼女の名前はなんだ?」


(・・・彼女の名前・・・?)


「あ。。小鳥遊灰音!」

共にNAROW異世界を破壊せんとする同志たちよ、今こそ諸君の★★★★★とブクマが力となる!

強大な敵を滅ぼすために、ぜひとも諸君の力をこの禁断の書に!

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