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竜族 1

投稿いたします。

「やめろ! 赤竜! 我等一族を滅ぼす気か!!」


炎が燃え盛る。森の木々が次々と飲み込まれて行く。高温に熱せられた地面が溶け出し赤く染まりはじめる。

そんな地獄絵図の様な場所に数十の巨大な竜が、一匹の赤竜と対峙していた。


「それは、お前達の返事しだいだと言ったはずだ。神になる私について来れば、エルデリード世界の覇者になれるのだ。それを拒む弱者など最強なる竜族にはいらぬ」

「馬鹿な! どうして神になれると思えるんだ?! そんな傲慢な考えは、よすのだ!」


巨大な黒竜が、それよりも大きな赤竜と相対し、言い争いをしている。


「傲慢? お前は一族の繁栄を拒もうというのか? このエルデリードから神がいなくなって久しい。そろそろ神に成るものが居ても不思議ではないだろう?」

「それを赤竜お前が成るというのか? 片腹痛いわ! 竜族は確かに強い。しかし神に成れるなど、自惚れも程があるというものだ!」

「ふん! 自惚れかどうかお前達全員でこの俺を止めてみれば分かる事だ!」


自信をみなぎらせる赤竜。

それを眺める黒竜以下他の竜達もそれを睨みつけるだけで精一杯だった。確かに強い。赤竜はかつて竜族から生まれた唯一の神、神帝竜にもっとも近い存在なのは皆が分かってはいた。だが近いだけ、それだけだ。神帝竜にいたるまでには程遠い。そんな者が神を名乗れば、傲慢な考えの中で他者を滅ぼし、自信も滅ぼすことになる。それだけは阻止したいと思う黒竜だったが、圧倒的に力の差があるのも事実だった。


「どのみち滅びる運命ならば、このエルデリードに住む者の為に一族の命と引き換えに貴様と差し違えよう」

「馬鹿な者よ。この俺に貴様らが束になっても敵うわけがないだろう?」


二つの巨大な竜が、睨み合い大気が震える。今にも動きだそうとしたその時だった。


キィイーーーーーーーーーーーーーーーン


「「な、何だ?」」


それは空の方から聞こえてくる。燃える森の木々から立ち上る煙が覆う空の彼方からその音は鳴り響き次第にその大きさを増して来た。


「な!?」


それは突然だった。

立ち込める煙の一点から、小さな光の固まりが周囲の煙と雲を一瞬で吹き飛ばして飛び出てくると、その勢いのまま、赤竜へめがけて落ちてきた。


ドオッガガガガアガガアアカァ!!!!


「グウォオオオオオオオ!!・・・・」


光の塊が赤竜の頭に激突したと、黒竜達が見た瞬間、その激突が爆風となって周囲に一気に拡がる。

その爆風にさすがの竜族も立っていられなくなり、地面に爪をたて、飛ばされないようにするのがやっとだ。

爆風はさらに燃え上がる森の炎を一瞬でかき消してしまった。


「一体何が起きたと言うのだ?!」


爆風が収まった事を確認した黒竜は、その巨体を起こすと爆心の方を凝視する。そこは煙が立ち込め未だに状況が分からない。

すると、黒竜は大きく息を、吸い込み腹を大きくすると、その貯まった空気をお腹から一気に吹き出した。その勢いで立ち込める煙が一気に消え、その中から信じられないものが表れたのだ。


「痛っああい!! なんなんだよ! 痛たたた! あ?! 頭から血が出てる!?」


大きな声で叫ぶ者を、黒竜は目を大きく見開き見つめる。


「お、お前は誰だ!」


黒竜の声は震えていた。

先程まであの圧倒的な強さを感じた赤竜と相対していた時でさえ震えなかったのに、その小さき者に身を奮わせている事に自分自身が信じられなかった。


「大きな声で叫ばないで! 頭に響く!! って?? な、何? デ、デカイ、トカゲ?」


その小さき者は、黒竜を見て驚き、固まってしまったようだ。


「トカゲ、とは何だ? それより貴様は人間なのか? 何処から表れた!」


恐怖からだろうか? 黒竜はつい声を荒げて話してしまう。


「ト、トカゲが喋った?」

「我は、そのトカゲなる者ではない! 誇り高き竜族に身を置く黒竜だ!」

「竜? どこかで聞いた事があるような?」

 

頭を捻り考えごとの素振りを見せる、その小さき者は頭から血を流し、着ているワンピース状の布はボロボロになっており、土埃で汚れているが、それ以外は体のどこにも傷は無かった。


頭からあの赤竜に直撃したのか? それで赤竜は?


黒竜は、考え事に集中し動かなくなった小さき者から視線を外し、そこに居ただろう赤竜を探した。


「は??!」


黒竜はそのあまりの状況に口を開け驚くしかなかった。

あの赤竜が白目をむき、頭ごと、地面に減り込ませていた。しかも体の半分も地面に埋没している。


「馬鹿な!? いくら空から勢いよく降ってきたといっても、この様な小さき者がぶつかって竜が白目をむき気絶するものなのか? だいたい、なんで小さき者がここに平然と存在する! あの状況なら体なぞ消えて無くなっていて当たり前なのだぞ?」


全てが理解不能だった。黒竜は、人間にしか見えないその小さき者が、目の前に立ち、その後ろには同じ竜族であり、自分よりも実力は確かに上であるはずの赤竜が地に伏しているその状況を受け入れる事が出来ずにいた。


ありがとうございます。

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