王都での陰謀 19
短くてすみません! それでも読んでみてください!
場所は変わって、赤竜帝教団、ブルーフェルド王国支部の教会内部。
「カルガナル様!」
大人が5人程並んで歩いても余裕のある石造りの廊下に、男性の声が響きわたった。
自分の名前を呼ばれた男性は、足を止め、声のした後ろの方に顔を向ける。
すると、緩やかに曲線を描く廊下の壁から出て来た男性が、急ぎ足で近づいて来るのが見えた。
「どうしたのだ? 教会の廊下を走るものではないぞ!」
カルガナルと呼ばれた男は、小走りに近づくまだ若い男性に対して強い口調でしかりつける。
「カルガナル様! 大変でございます!」
相当に急いでいたらしく、すこし小太り気味な男性が追いつくと、その場でカルガナルに大きな声をかけてきた。
それを真面に聞くはめになったカルガナルは、あからさまに嫌そうな顔で男性を睨む。
「うるさいぞ! この神聖な赤竜帝様が祀られる教会の中を走り大声を出すなど、聖職者にあるまじき行為だぞ!」
その場に両膝を軽く曲げそこに両手を付いて肩で大きく息をする男性をしかりつける。
「も、申し訳ありません! しかし、事は急を有する事かと思い、司教様でもあり、ブルーフェルド王国の宰相であられる、カルガナル様にはお耳に入れなければと思いましたので!」
その男が、しかられるのを覚悟していたのか、注意の声に謝罪するものの、そのような事は些細な事だと言わんばかりのいい様に、カルガナルは余計に腹立たしく思えてきている様だ。
「いったい何だというのだ?」
「そ、それが、このブルーフェルド王国の王都に竜族の御方が居られるとの情報があり、ご報告をと思いましたので」
「なんだと?」
カルガナルの顔つきが一層厳しくなった。
「その情報はどこからだ?」
「はい、バスク商会のバスク様からの使者が、先程お見えになりまして、竜族の方をカルガナル様にお引き合わせしたいとの用件を持って来られました」
「バスクが、か?」
これは、良いタイミングではないか?
このブルーフェルド王国は、王家を政務から遠ざけ、ほぼ私の思い通りに動かすことが出来るようになった。そこに竜族の方がこの私の前に現れるとは・・・この神のいない世界に私だけの神が顕現されたようではないか! これで赤竜帝教団の中でも大きな力を得る事が出来そうだぞ。
「よし! バスク殿へ使いを出せ! 我が今晩、そちらに伺うと伝えよ」
「はい。申し承りました」
用件を伝えに来た信者の男性が小走りに元来た廊下へと去って行く。それを見ながらカルガナルは、ほくそ笑む。
これで一支部の司教から本部の大司教への道筋ができたぞ! このブルーフェルド王国を基盤に教団を手中に治め、近隣諸国をも平定してみせる! 我こそ次代のエルデリード世界の神になるぞ!
野心の瞳を隠さずに、教会の廊下を颯爽と歩き出すカルガナル。その背中は自信に満ち溢れていた。
ありがとうございました。




