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王都での陰謀 18

いきなりの、超土下座に僕は驚くというより、あまりの勢いに意識がコンマ何秒か飛んでいた気がする。


「マコト様・・・・マコト様!・・・マ! コ! ト! サ! マ!!!」

「うぉお?!」


アマネが僕の強く揺さぶって呼んでくれたおかげで正気に戻った僕は改めて状況を確認した。

アマネと言い争った無駄に色気のある女性は、頭を完全に石で敷き詰められていた床をぶち破って頭をめり込ませた状態のままだ。

その少し奥では、バスクが腰を抜かしてアワアワ言っているし、僕の後ろの方では、フィル王女とパルティナさんが抱き合って震えているようだ。

まぁ、普通うら若き女性が、床に頭をぶち当ててめり込ませるなんてないだろうからね。


「マコト様、この女一体?」

「さ、さぁ? でも赤竜帝教団に影響力があるような口ぶりだったけど?」


「△〇×□! は! ×?☆ 〇!!!」


言葉にならない声が、床の下から聞こえて来た。

この女性、頭を床にめり込ませながら、何か喋っているぞ? 器用な事するなぁ。でもこのままじゃ、何言っているか分からないから、引っ張り上げるか。

僕は、女性の後ろに回ると、フリフリ動くお尻に手を掛けた。


「〇!? □×~~~~~~!! ×☆〇!!!」

「えぇいい! 何、言っているかさっぱり分からないよ!!」


な、なんだ? 何言っているか分からんけど、異様に艶めかしい声がしているような? 


「そんなにお尻をフリフリ動かすな!!」


僕は、お尻を両手でむんずと掴み、力を込めて引っ張り上げた!

ボコッ! という音がしたと思ったら、力を入れ過ぎたか?! その女性を思いっきり後ろへ投げ捨てたような恰好になってしまった。


「あ?!」

「あ~ん」

「へ?」


僕は見た。目を潤ませて恍惚とした表情で飛んでいくその女性を。


ドッ! ガラガラ! ガシャン!


後ろに跳んでいった女性が数回、床を転げまわりそのままの勢いで壁にぶつかっていった。

だ、大丈夫だろうか?


「あ、マコト様、すぐ隣にバスクが青ざめた顔で失禁しておりますが?」


ほ、本当だ。壁に激突した女性の直ぐ横に運悪くバスクがいたものだから、あとほんの少しで直撃だった。あの勢いでぶつかられたら確実に死んでいたかも?

それより、その女性だけど・・・あ、大丈夫みたい。壁に体を張り付けさせているけど、顔は恍惚とした表情のままだ。


「お姉さん。事情をお話していただけませんか?」


僕はその女性に近づき一応話を聞いてみる事にした。

すると、僕の問い掛けに反応して、表情を元に戻し真っ直ぐに僕の顔を見て来た。


「はっ! 申し訳ありませんですわ! この様なお見苦しい姿を晒し羞恥の極み。なんといってお詫びを申し上げればよろしいのか、見当もつきませんわ!」


先程までの表情とは打って変わって、キリッとした表情で真面目に話をしだした。ただ、その恰好で真面目に話し出されても、僕が困ってしまうぞ。


「あ、あのうですね。なんとかその恰好、なんとかなりませんか?」


普通に先ず話がしたかったので、彼女にお願いする。その壁に逆さの状態でへばりつき、色んなものが見えている状況をなんとかしてほしかったからだ。だいたい、パンツぐらい穿いといてよ。


「こ、これはとんだ失礼をいたしました。少々お待ちを!」


そう言って、事も無げに壁から上半身を持ち上げるように壁から抜けると、ひらりと体を回転させて床に着地する。その一連の動作は流れるようで、美しささへ感じさせる。

まぁ、恰好が恰好だったから、どんなに綺麗に着地しようと、恥ずかしい奴は変わらないけどね。


彼女は、そのまま僕の前で跪き頭を下げてきた。


「これで、2度目の拝見となります。我は竜帝の血を受け継ぐ古竜一族の末席に名を連ねる、マホロと申します」


どうにいった自己紹介だ。格式がある者と言うのは、動作に洗練さが出て来るものなのだろうか? さすが、古竜種・・・・・


「って!? 古竜!!?? 貴女は竜一族なのですか!?」


アマネが、大声を出して驚いていた。


「そんなに珍しいの?」

「そ、それはもちろんです。この世界に生きる生物の頂点の一族の一つですよ! 滅多に人里に姿を現す一族でありませんから、私も初めてお目にかかります!」

「そうなんだ? フィル王女もそうなの?」

「・・・・・・・・・」

「?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


あれ、フィル王女とパルティナまで、ブルブル震えて部屋の隅で固まってしまっている。

取り敢えずこのままにしておこう。


「で、マホロさんだっけ? その滅多に人の前に姿を現さない古竜のあなたが、どうしてこんな所にいるんですか?」

「はい! それは、あなた様、女神エルデリード様をお探しするためでございますわ」

「僕を?」

「はい、あのぅ? 覚えておられませんか? 数か月前、私共の里にご降臨された事を?」


ん? 降臨? 僕が? う~ん記憶が無いくなっているからなぁ~・・・・・でも、そう言われると竜を見たことがあるような・・・・・?


「僕が、マホロ達の所に行ったてこと?」

「はい、あれはもの凄いお力を私どもにお示しになられ、その存在を知らしめておられました。その時の衝撃で、わが一族の頂点におりました赤竜を一撃は未だに床に伏せっておりますわ」


ええ? 僕がそんな事を? 


「そう言えば、なんか頭がズキズキ痛い気が・・・」

「はい、その時の衝撃を食らわせた時に、頭を負傷しておられたようにお見受けいたしましたわ。たぶんご降臨されたばかりの幼生体のお体でしたので、竜への一撃の反動でお怪我をされたのではと思いますの。その後すぐに何処かへお飛びになられた為、このままでは御身に危険が及ぶ事を懸念いたしまして、こうして私がお迎えに参ったしだいでございますわ」


はぁ、そうか、あの頭の傷って、竜に一撃くらわした時に出来たものか?

と、言う事はその時の事をもう少し詳しく聞けば、それ以前の事を思い出せるかも?


「マホロさん?」

「いえ! マホロとお呼びください! その様に丁寧な言葉、このわたくしにはもったいない事でございますわ!」

「そ、そうなの? まぁその辺はともかく、色々と聞きたいので少し時間貰えるかな?」

「は! いくらでもご自由にしていただきますようにですわ!」


はは、なんか物凄い勢いだな。


「そ、それじゃあ、この借金の話を片付けたら、フィル王女のお城で話を聞かせてくれるかな? フィル王女もいいかな?」

「・・・・・へ? え? ひゃい! だ、だいちょうぶれす!!」


あれ? 物凄く緊張? している。いや怯えているのかな?


「畏まりましたわ。それと借金の話とかでしたら、私がこのバスク殿と話をつけさせていただきますですわ」

「いや、でも、それはマホロさんには関係ない・・」

「いえ! この様な事でエルデリード神様を煩わす事もありませんですわ! だいたいに対等に話をしようとする方が不敬でございます!」

「で、でも・・」

「いえ! ここは私にお任せを!」


ど、どうしよう。この感じではいくら言っても断れそうにもないかな?


「マコト様、ここは任せましょう」


アマネが僕の耳元で呟いて来た。


「でも、いいの?」

「いいんじゃないですか? 私もあのバスクという男がマコト様をいやらしい目で見ていたのが我慢できませんでしたし、あのままでは私が先に首を刎ねていたかもしれません」


ぶ、物騒だな・・・


「マ、マホロさん」

「マホロですわ!」

「あ、はい、マホロ、こ、殺さないよね?」

「当たり前です! 話し合いでちゃんと決着させますわ」

「ほ、本当に?」

「はい! 力ずくという名の話し合いです。私の得意分野ですわ!」


腕を上げて力こぶ見せながら叫ばないで。

はぁ、もう何も言いません。


こうして、借金のお話し合いは無事に? 終わったのでした。


読んでいただきありがとうございました。是非次回もお越しください。

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