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王都での陰謀 13

更新いたしました。

「本当に、上手くいくのでしょうか?」


王都の大通りを、歩きながらフィル王女が僕に心配そうに問いかけて来た。


「え? まぁね。僕も絶対とは言えないけど、フィルが借金の担保になっているのが癪に障るし、そんな物ははやく解消したいしね。それに試しにラーナさんに他の商会にあの盆栽の一つを持って行ったら、一つがなんと800万ルぺで売れたそうだよ? 一度に売却すると価格の暴落の可能性もあるから慎重にした方がいいとは思うけど、これで返済の目処はたったしね。とにかくフィルが担保になっている、この盆栽を返して、借用書を破棄させようね」

「はい! ありがとうございます!」


しかし、実の娘を売ってまで盆栽にのめり込むかね普通? どうにも納得がいかないんだけど?


「マコト様、もう直ぐバスク商会に着きます」


アマネが僕の横に立ちそう教えてくれた。

よし、とにかく先ずはフィルの事だけ考えよう。その後色々と調べるとしよう。

僕は、パルティナさんが引く荷車を見る。これにはフィルを担保に借金をして買った、あの王家の館の中にあった一番高価な盆栽が積んであった。

まぁ、これの価値がどうかは知らないけど、自分の娘の価値があのたくさんある盆栽の中でも一番高価だと言うのがせめてもの救いかなと思ったりもした。

もし、フィルの借金のかたである盆栽が他の盆栽より値打ちが無かったらその場で国王に一発おみまいしていたかもしれなかったもの。


「お母さま、ちょっと目立っていません?」


僕が羽織る外套の首元の隙間から顔を覗かせて、周囲を見回すルリが心配そうに話しかけてきた。


「ん~、どうだろう? 一応目立たないように、フード付きの外套を皆に着てもらって、荷車にも中身が分からないように布を被せてもらっているけど・・・そうだね。そんな集団が小さくない荷車を引いて大通りを歩いていたら、目立つかな?」

「目立たないと思う方が無理があります」


アマネがぼそっと呟いていた。


「う~、アマネだって名案だって賛成してくれたじゃないか」

僕はちょっと拗ねた感じでアマネに反論したけど、何故が身震いして顔を赤くしているアマネの顔がフードの陰から見えた。

何故ガッツポーズする?


「アマネお姉さまのお母さま愛が飛びぬけて来ていますね。もう何言ってもお母さまの言葉はアマネ姉さまにとってご褒美でしかないのかも?」


それはある意味困った事だぞ?

などと、馬鹿な事を考えていたら、バスク商会の正面玄関に着いていた。


「たのもう!!」

「アマネ! 道場破りじゃないんだからね、普通に入ろう?」

「え? 力ずくで踏み込むのではないのですか?」

「なんで? そんな事をしたら僕達犯罪者だよ?」

「神であるマコト様に刑罰を与えられる存在などこの世界には存在しませんよ?」

「そんな力いっぱい力説しなくても、駄目なものは駄目だからね?」


僕に駄目だしされて意気消沈してしまったアマネ。

そんな姿を見せられると、別に良いよと言ってしまいそうだ。


「駄目ですよ。犯罪は犯罪ですから」

「判っているよ。ルリ」


「何だぁ貴様ら?!」


ガラの悪そうな大男が、バクス商会から出て来た。

う~ん、いかにも用心棒って感じの男だ。一応これでもお客様なんだけどなぁ。その態度は良くないと思うよ?


「あのう、バクス商会のブルルロエ・バスク様は御在宅でしょうか?」

「あ~ん? なんだ? 大旦那の客人か?」

「はぁ、まあたぶん上得意様だと思いますけど?」


僕が少し嫌味っぽく言ってやったけど、まともに受け取ったのか、頭を下げて来た。


「す、すんません。お客様にしては少し怪しい恰好でしたもので。先程も変な露出狂の女が店の前で、騒いでおりやしたので」


へぇ、それで僕達を警戒していたのか? それにしてもそんな変態がこの近くにいるのか、ちょっと怖いな。


「大丈夫です。このアマネがマコト様をお守りいたしますので」

「いえ、それはこのフィルにお任せを!」

「姫様には、私がフォローいたします!」

「あ、ありがとう。取り敢えず刀や魔法の詠唱は控えようね」


あ、ちょっと引いてしまっているぞ。この用心棒さん。


「ああ、ごめんなさい。バクス様にお目通りしたいと、フィエルルシエ・ブルーフェルド様が来られたとお伝えできませんか?」


僕は一度仕切り直して、フィルが訪れた事をその用心棒さんに伝えると、驚いた表情になって慌てた様子で店の中に戻って行ってしまった。


「それから暫くして、店の中から身なりの良い店員さんだろか? 少し線の細い青年の方が、出て来てくれた」

「これは、フィエルルシエ王女様。ようこそおいで下さいました。主が奥にお通しするようにと言伝り、ましたのでどうぞこちらへ」


その青年店員は丁寧にお辞儀をすると、先頭のフィルに向かい奥へと案内し始めた。


「ところでこちらの方々は?」

「ああ、私の従者ですわ。きょうはこちらの品をお持ちしました。これをバクス様にお渡ししたいと思いまして伺ったのです。少し荷物が大きかったので従者を少し多く連れてきたのですが、問題でもありましたでしょうか?」

「いえ、問題ありません。ではこちらへ」


僕達はフィルに続いて、バスク商会の店の中へと入っていった。


是非読んでみてください。

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