王都での陰謀 12
「それで何方をお探しなのでしょうか?」
「それは言えん」
「ハア?」
「故合って、素性は話せんのぉ」
「馬鹿にされておるのですか? それでどうやって探せと仰るのですかな?!」
冷静に話しをしようとするブルルロエもさすがにこれには頭に来ていた。
「まあ、落ち着け。特徴はある。歳の頃は8~12、3歳くらいの絶世の美少女じゃ。銀色に輝く美しい長い髪に、鮮やかなグリーンの瞳には、キラキラと輝く星の瞬きが見え、その四肢は、柳の様なしなやかさと、白磁の様な肌が合わさり、可憐という言葉がそのまま当てはまるお姿をされておってな、そのお声は、涼音のような清らかさで発せられ、この世界の聖なるものを思い起こさせる。この素晴らしい・・・」
「わ!分かりました! もう十分ですから!」
「そうか? その方の素晴らしさはこれくらいでは言い表せないのだがな?」
もう、良いわい! なんじゃその馬鹿みたいな対象は? 竜族がそれほど褒める者がこの世に存在するのか? まぁ、逆に考えればそれだけ目立つともいえるのか・・・しかし一方的にこちらが下でに出るのも癪に障るな。
「分かりました。それを参考に該当する者を探してみましょう」
「助かる。それとこれはタダでとは言わぬが、今手持ちの物が無くての、何か願い事があれば聞き入れるがどうじゃ?」
お、これは丁度良い。そちらから言ってくれるのなら遠慮なく。
「でしたら、一つお願いがございます」
「なんじゃ? 非道な事いがいなら引き受けるぞ?」
「はい。いえそれほど難しい事ではないのですが、私共が貸しているお金をなかなか返していただけない者がおります」
「ほう、我にその借金の返済取り立てでもしろというのか?」
竜族の女の目が一気に鋭くなる。
「い、いえ! その様な汚れ仕事を貴女様にさせては人族として責めを負わなくてはならなくなりますよ。そうではなく最近その者に入れ知恵する者がおる様で、借金を踏み倒そうとでも思っておるのやもしれません」
「なんと、借りたものを返さない者が居るのか?」
竜族の女は本当に驚いている様だ。
竜族にとって嘘をつく行為は、処刑されてもおかしくない程の重罪なのだ。特に借りたものを返す、という初歩的な行為を出来ないなど、考えるに値しない程の当たり前なのだ。
「けしかん! それならば、我が自身でその者を懲らしめてやろう!
「助かります! もうじき今月の返済日でしてその者がやってくると思いますので、それまで当家にご滞在いただければと思いますが、如何でしょうか?」
「それは、助かる。一門も無くなっておったのじゃ。一宿一飯の恩義はちゃんとかえすからの」
「それは、嬉しい限りでございますな。ではお部屋をご用意いたしますので、暫くお待ちください」
「ああ、すまんの」
ふふ、まあ借金の事はどうでも良いが、たぶんあれは竜族の者だな。上手く恩を売る事が出来れば、何かと役立つやもしれんからの。
腹黒なブルルロエは、竜族であろうとも利用できるものは、と考えているようだった。
しかし、そう簡単に物事が進むのであろうか?
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