王都での陰謀 9
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「その盆栽、この植木なら幾ら位の値段が出せそうかな?」
「そうですね・・い、いえ! それ程高くはありませんぞ!」
あ、嘘だな。これは相当に高額なんだろう。
国王の焦り具合からすると、フィル王女には内緒なんだろうな。
ちょっと鬱陶しくなってきた。
ざっと見渡しただけでも、この庭には何十ではきかなそうな程、整然と並べられているのが見える。
一体どれだけの値段がするんだ? これを手に入れるのにどれだけの金額が必要か・・・・ってあれ?
「フィル王女、まさかこの盆栽を手に入れる為に借金しているの?」
「え? いえ王家の運営資金やエルデリード神教の運営に必要だと聞いていますけど?」
ん? 僕はフィル王女の話を聞いてチラッと国王を見たんだけど・・・冷や汗掻いている? 目線が不安定だぞ?
「国王、それは本当なのかなぁ? まさかその盆栽・・・」
「い! いえ! そのような事は?!」
狼狽え方が尋常じゃなぞ? これは当たりのようだ。なんだか腹が立ってきたぞ! こんなものを購入するのに借金しているのか? しかもフィル王女まで巻き込んで!
「分かりました。方針変更です。王家の財政を救ってあげましょう」
「ほ、本当ですか!?」
なんだその嬉しそうな顔は、まったく。とんでもない親父じゃない!
「マコト・エルデリードの名で命じます。ブルーフェルド王家の財政たて直しの為、ここにある盆栽の売却をする事。これに反した場合、国王に天罰が下ると思いなさい! それとフィル王女は暫く僕が預かります。フィエルルシエ、僕の前に来なさい!」
「は、はい!」
僕は、庭に座るフィル王女を僕のいる座敷まで上がらせ、すぐ目の前まで来させた。フィル王女は、僕の前に座ると何が何だかよく分からないようなキョトンとした顔をしていた。
「フィル、君、人が好過ぎるよ。実の父親と言ってもこんな放蕩親父の言葉に従って辛い目に会う必要はないのだからね?」
「え? え? そうなのですか? お父様が何かしたのですか?」
「王家の財政破綻は、先祖から続いていると言っていたけど、たぶんその殆どは、この王の盆栽購入が原因じゃないの? これどれくらいの金額が掛かっているか知っているの?」
「いえ、たかが植木ですから、それほどの金額ではないと聞いていますけど?」
はぁ、やっぱり内緒なのか。
「国王、僕の聞き違いでなければ、この盆栽それなりに手に入れるのに苦労したと言っておられましたよね?」
「は、はい。そうですが・・・」
「苦労して手に入れた金額が、たかが知れているんですかね?」
「い、いえ! そんな・・いや、そうです!」
「どっちなんですか?」
僕は、わざとらしく国王に聞いてみるけど、その国王ははっきりと返事が出来ないでいる。
「そ、それなりの金額・・です」
「それは、どれくらいですか?」
「それは・・・」
「それは?」
「こ、こちらの盆栽一つで1000万ルぺ、です」
「お、お父様!! い、1000万って、大金貨1000枚ですか?!」
うん、と小さく頷く国王に、唖然とするフィル王女。
「馬鹿ですか?! その金額は王家の運営予算の2年分ですよ?! それをそんな植木がですか?!」
そんなにフィル王女と出会ってから経っていないけど、こんな風に怒れるんだと思うくらいの激しい怒りを父王にぶつけていた。そりゃそうなるよね。
しかも、大金貨1000枚する盆栽が、庭のあちこちに置かれているのだから。
一体この庭にどれだけの盆栽があるのやら。
「たぶん・・・たぶんですが、100以上はあると思います」
「100?ですか?!」
「ち、違う! 私が購入したのは精々、10くらいで、それ以外は先代やその前の代の国王がだな・・・」
つまり、先祖代々こんなものに時間と費用をかけて遊んでいたのか?
「これで、問題解決だね。僕のお願いでこの盆栽を全て売ってしまおう。そうすれば王家の借金も返せるでしょ? その後の事は、王家でなくてもこの国は成り立っている様だし、その大臣にでも任せて、あなたは引退しなさい。それで思う存分自分の力で盆栽を楽しんで下さい」
僕の言葉に肩を落とし、顔を青ざめる国王。
とんだ茶番だな。でも国王がこんな体たらくで良く国家が成り立っていたものだ。案外その大臣と言うのは、やり手なのかも?
「それと、国王。フィル王女は当分僕が預かるからね」
「え?」
「え?ええ?」
国王とフィル王女が同時に驚いている。
「マコト様! それはどういうことですか?!」
「あれ? フィル王女は僕と一緒はいや?」
「い、いえ! むしろ嬉しくて天にも昇る気持ちですけど?」
「なら、いいじゃない。借金の問題がなくなっても、どうもあのバクス氏は君を狙っている様だし、どんな手を使うかも分からないからね。それにこんな馬鹿親父は少し一人で頭を冷やす方が良いと思うんだ」
「駄目かな?」
「い、いえ! お供いたします!」
「そう、良かった」
「じゃあ、僕からフィル王女に恩恵を授けるからね」
そう言ってから僕はフィル王女の頭に手を乗せて念じた。
すると、僕の手が光、それがフィル王女全体を包み込んでいく。
「うん、こんな感じかな? さて状態表示はどうなったかな?」
『フィエルルシエ・ブルーフェルド 人族 女 13才』
『天職:王』
『後職:魔導士』
『魔操位:160』
『天職特性:支配』
『付属特性:主神・マコト・エルデリード神の女(従順)』
あれ? 天職が王? 特性も支配? う~ん? 生粋の王じゃん。その上に魔導士で魔操位が160ってアマネやカルナに匹敵するんじゃない? それと・・・なんだこのマコト・エルデリード神の女と言うのは!?
「マコト様、ふつつかな私ですが宜しくお願いいたします」
何時の間にか僕の正面に四指たてて正座して、うやうやしく頭を下げてきたフィル王女。
「いや、その、こちらこそだけど、なんだか急に色っぽくなってない?」
「え? そうですか? 気のせいでは? それより私は何時所望していただけますか?」
「は?」
「いえ、ですからこんな私を貰っていただくのでしたら、この体でマコト様に報いないと何もお返しする事ができませんから」
「いやいや、またそんな、何処かで聞いた様な事を言わないの!」
「え? まさか私には何もしていただけないのですか?
そんな切なそうな目で僕を見ないで!
「マコト様、その前に私の事もお忘れなく」
アマネが参戦してきたぁ!
「いいなぁ、私も混ざりたいなぁ」
「ラーナさんまで変な事いわないの!」
「姫! 及ばずながらこのパルティナ! 夜のお仕事のご助力をさえていただきます!」
「そんなの、いらないから!」
「あ~あ、マコトお母さま。モテモテですね?」
ルリが呆れていた。
と、取り敢えず、この場は一旦離れよう。それから今後の方針を考えよう。
と、現実から若干逃避しようとする僕だった。
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