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王都での陰謀 7

投稿いたします。ちょっと短めです。

「お、お父様?」


フィルの声で皆が、その声の主が、フィルの父親であり、この国の王であるサルダナリウス・ブルーフェルド王その人に注目が集まった。


「皆の者! 畏れ多くもマコト様は、このエルデリード世界を、我がブルーフェルド王国をお救い下さる、女神様なのだぞ! 節度をわきまえないか!!」


王の言葉が、ズンと響く。けど?


「ブルーフェルド王、今、なんと言いましたか?」

「え? 女神様と?」

「いえいえ、そうではなくて、僕が何を救うと言われたのか? ということです」


僕は、庭の一角に座る国王を座敷の広間に正座して見下ろしながら、少しきつめに問い質すと、意味が分からないといった表情で僕の方を見返してきた。


「あ、あのう一体、どういう事でしょう?」

「それは、僕のセリフだよ。国王様、何故僕がエルデリード世界ならいざしらず、あなたの国、ブルーフェルド王国を守らなくてはいけないのですか?」


更なる僕の問い掛けに、次第に焦りの顔になる国王。


「いえ、我が娘からお聞きとは存じますが、今、ブルーフェルド王国は未曾有の危機に陥っておるのですぞ! 前エルデリード神様がお隠れになってから私共、神教王国はその信者を減らし、国の財政が大きく傾き、王家の土地、城、はては娘まで抵当にいれお金を工面し、王家の運営にまわしております。しかしそれも大新興宗教団体、特に赤竜帝教団、バクス商会、それと我が国の大臣カルガナルが結託し、この国を乗っ取ろうとする策略にまんまと嵌められた結果。そしてそこから救っていただけるのはマコト様しかおりませんのです!」


物凄く必死さは判るんだけど、今僕がこの王都を見た限りでは、それほど荒んだ様には感じなかったし、街の露店や店屋もそれなりに賑わっていたのは確かだ。

だから、僕は言いたい事があった。


「今、国民は何か大変な、悩みや、不満があるのですか?」

「え?」

「ですから、この国が傾くほどの災害被害や不作が続き人々が死に直面しているとか、国の政策が滞り、民衆から多くの不満を抱えているとか、そういう事ですよ」

「い、いえ。特にそう言った事は・・・」

「無いのですね?」

「は、はぁ」


なんとも歯切れに悪い返事だな。


「僕は、この世界には神が存在しなくなり、アマネの様な巫女職の子が無能と呼ばれて苦労していると聞いて、その子達の救いになればとは考えますよ? でも国王のいう救いと言うのは、王家の借金をなんとかしてほしいと言っているようにしか聞こえないのですが?」

「い、いえ! けっしてそのような事は・・」

「では、どういう事なのでしょうか? はっきり言って人の借金を何とかしてほしいなんて僕には解決する術なんかありませんよ?」

「で、ですから、先程も申し上げた通り、神の教えに準じ国を守る我が国にとって、この世界に神が存在する、しないで、大きく変わるのです!」


国王は必死に僕の存在がこの国の明暗を分けると言いたいようだ。

でもね、それは違うと思うんだよね。


「神の僕が言うのもどうかと思いますけど、以前のエルデリード神はこの国に対して何か直接的な働きをしていたのですか?」

「は、はい! 神の御業で、国全体に加護を与えていただき、国の繁栄を約束していただいておりました。それにエルデリード神が居られなくなってから悪魔がその存在を大きく拡大し、人々を苦しめたと聞きます」


悪魔の件は僕も前に聞いた事だ。まぁそれは分からないでもないけど・・何か引っかかるんだよね。それに・・・


「その加護の恩恵で国が繁栄する話ですけど、今のこの国は繁栄はしていないのですか?」

「え? それは、もう・・・」

「どうしました?」


「マコト様、それは私からお話させて下さい。」


読んでいただきありがとうございます。

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