王都での陰謀 3
投稿いたします。
「つまり、ラーナ先輩が上手くやってくれた、ということですね?」
「え? あのラーナさんのあれは、始めからそうされる予定だったんですか?」
パルティナが、僕に詰め寄よってきた。
「え? ええ、たぶんその商会も組んでの事だとは思いましたから、ラーナ先輩にお願いして対応してもらったんですけど、やっぱり仕組んでいましたか」
僕は、おおよその検討が当たったので、少しホッとしていた。
「えっとですね、マコト様」
「何? ラーナ先輩」
「その、先輩は辞めてほしいのですうが・・」
「どうしてですか? 冒険者としても先輩ですし、色々な対応や考えが僕にとっては良い勉強になるので、先輩と呼ばせてほしいのですが・・」
「いえ、その、さすがに女神様に先輩と呼んでいただくのは色々と面倒な事になりそうで」
「そうなの?」
「はい! それはもう絶対です!!」
物凄く力強く肯定されてしまった。
そんなに難しく考えなくてもいいのにと僕は思うんだけどな?
「それは無理ですよ」
ルリが口を挟んできた。
「そうなの?」
「はい、もしマコトお母さまから、敬語で喋られた相手がいたとすると、その周りの人が何故そいつばかりと妬みます。もしお母さま以外の神が存在し、その神がマコトお母様が普通の人間に敬語で喋られたりすると、神の威厳を損ねると、お母さまに謝罪を求め、その相手を末梢しようとするかもしれません」
い!? そうなの?
たかがそれだけの事で、そんな大事になるんだろうか? でもそれが本当ならラーナさんが消されてしまう事になる。
「それは駄目だよ! そんな事になるくらいなら、先輩って呼ぶのはやめるよ!」
「ほ、本当ですか? ありがとうございます!」
ラーナさんが大きくお辞儀をして、感謝された。
そんなに先輩って言われるの、嫌だったのか。
「それは置いといて、じゃあラーナさん」
「ラーナでいいです」
「でも・・」
「ラーナです!」
「は、はい、ラーナ!」
ラーナの強い要望に、はい、と言うしかないよね?
「それでだね、ラーナ。相手は動いてくるのかな?」
「え。ええたぶん。ただバクス商会の方は、ただたんに王女様を奴隷にしたいだけみたですけどね。あの色ぼけおやじの目つきが厭らしくて気持ち悪かったですから」
そうか、じゃあバクス商会と5大新興宗教団体は直接的な関わりと言うよりは、別々の思惑で動いているのかな?
「フィエルルシエ王女様、そもそもこの国の政治は今どうなってるんですか?」
「え? ええそうですわね。ちゃんとお話しなければいけませんね」
マコトの質問に王女は真剣な顔で話始めた。
「今の政治は全て、5大新興宗教団体の内、竜族の英雄、赤竜帝を奉る団体がこの国ブルーフィルド王国を実質動かしています。私たち王族はお飾り扱いですね」
「と、言うことはその団体って竜族が運営しているということですか?」
「いえ、殆どは人族が運営しています」
「は?」
僕は、ちょっと驚いた。なんで竜を崇める宗教団体が、人族で運営されているんだ?
「それはおかしくない? 赤竜帝を奉っているんだろ?」
「はい、でも他の宗教団体もその一族は殆ど関わらず、人族が運営しています」
「それってどういう事なのかな?」
「昔、5大高位種族の英雄達を、実際に奉り、神のいない事の不安を無くすために、新興宗教がそれぞれ作られ、その当時は、それぞれの種族が中枢を形作っていましたが、長い年月が経ち、自分達では神に成り代わる事は出来ないと、高位種族達は宗教団体を無くそうとしたのです。それを一部の人族が、今、高位種族の英雄を奉る教団がなくなるのは人族にとって不安を大きくするだけと反発があり、それを受け入れた5大高位種族達は人族に宗教団体の活動継続を認めたのです」
「で、5大高位種族の英雄を奉る団体という名を利用して、このブルーフィルド王国の様に乗っとろうと企てている人族がいるということなのかな?」
「それは私どもとしても分かりません。単純に私達、王族の怠慢が原因かもしれません」
フィエルルシエ王女を見る限り、政務を怠るとも思えないけどな?
ただ、誰が国を治めても、その土地に住む人々が少しでも不安の無い生活を送れるのが一番だと、僕は思うんだけど違うかな?
「とにかく、一度王女様のご家族とお会いしたいし、教団の事ももっと調べてみたい。その上で考えるよ。はっきり言って僕、自分の事を万能な神だなんんて思ってもないから。たぶん無理なものは無理と諦めると思うよ?」
「はい、それでもこの世界に現れていただいた、女神マコト様に今の世界を見ていただいて、考えていただきたいと、私は思います。それでもし見放されるのであればそれも仕方ない事かと覚悟はしております」
そこまで言われると、責任を感じるけど、ちゃんと見るだけは見てみよう。
それはそれとして、納得出来ない事がある。
「なんでその5大高位種族達本人が、自分達の英雄の名を借りて、人族の国を乗っとろうとする輩に寛大なの?」
「えっと、寛大というよりは、結局人族同士の争いなので、どうでも良いと考えておられるようです。自分達の英雄を利用しているのは気にくわないみたいで、教団に寄り付きもしないみたいです」
それもどうなの? いくら別種族の事だからといってほっとくというのもどうなんだ?
そのあたりもちゃんと見てみよう。
「フィエルルシエ王女様、これから僕はどうしたら良い?」
「はい、今回こうしてまでお会いしたのは、そういった国や教団の現状を見ていただきたいので、まずは我が父王にお会いしていただきたのです」
父王か。
「分かった。じゃあ案内よろしくね。フィエルルシエ王女様」
「はい! それと私のことはフィルと呼んでいただけませんか?」
「ん~、やっぱりその方が良いの? ラーナさんにも言われたけど、僕に様付けされたら落ち着かない?」
「それは、そうですよ。生きた心地がしません」
「それほどなの?」
「「「はい」」」
王女だけじゃなく、パルティナさんやラーナさんまで大きく頷いてる。
「分かりました。今後は気をつけます」
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