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新たな旅立ち 12

投稿いたしました。

「あら~、ぼこぼこですね」


そう、今、僕の目の前に10人程の男が顔を腫らし、歯を折られ体中に痣を作って縛られていた。

ちょっとやり過ぎなのでは?


「マコト様に刃を向けるとは、魂が冥府に落ちないだけ喜ぶことね」


相変わらずアマネは僕に敵対する者には容赦ないです。

それよりも、ボコボコになっている男達の向こう側で、一人落ち込んでいる女の子がいた。


「パルティナさん、どうしたんですか王女様は?」


そう王女様が何故か落ち込んで座り込み地面に、グルグルと意味の無い字を書き続けていた。


「あ、マコト様。実は先程、馬車から飛び出した時ですね、勢い余って自分で扉をぶち破ってしまったようで、そのままこうしてずっとおられるんですよ」


なるほど、そう言えばこの馬車を壊したらその賠償金が圧し掛かり今までの借金もあって、奴隷にさせられると言っていたかな?

そりゃあ、自分で壊してしまったら余計に落ち込むよね?


「王女様、フィエルルシエ王女様!」

「あ、マコト様・・・私・・どうしましょう・・」


あ~あ、もう涙で顔がグシャグシャだよ。せっかくの美人が台無しだ。

でも、こうなったのも僕のせいだよね? 

勢いで僕が命令してしまったから、王女様まで飛び出してしまったんだよね。ここは僕がちゃんと責任を取らないといけないな。


「王女様、大丈夫ですよ。この馬車、僕とルリでちゃんと直して見せます」

「え? ほ、本当ですか?!」

「はい、こう見えて、僕って物を創造することは今でも結構うまいみたいなんですよね。それにルリの世界樹としての力も使って綺麗に仕上げますから心配しないでくださいね」

「うう・・・・グシュ!」


僕が心配ないと声を掛けてあげると、王女様はいっそう泣き出して、僕にしがみついてきた。


「マコトさまぁああ!! ありぎゃとうごじゃいますうううう!! 一生、マコトしゃまに着いて行きましゅ!!」

「良かったです! 姫様ああ!」


パルティナさんまで泣き出してしまった。

取り敢えず二人にはそこで休んでもらっとくとして・・・


「さて、あなた達は何者ですか? 神教王国、ブルーフェルドの王女、フィエルルシエ様と知っての強行ですか?」

「・・・・・・・・」


一見、山賊とか盗賊の様な出で立ちに見える彼らだが、その持っている剣や防具の手入れが行き届き過ぎているのが気になる。

それに、アマネやラーナさんだから簡単に捕まえる事ができたけど、こう言っては怒られるかもしれないけど、パルティナさん程度の騎士では太刀打ち出来ない程の組織だった動きをしていたように感じたんだけど?


「喋らないのですか? 困りましたね。どうみても盗賊とかには見えないんですよ。結構、組織として鍛えられている様に見えるんですけど?」

「違う! 我らはただの盗賊団だ!」


いきなりリーダー格の男性が大きな声で否定してきた。でも・・・


「我ら、ですか。そんな喋り方する盗賊団がいると思いますか? それなりの身分のお方ですか? そのあたり喋っていただけませんか?」

「し、知らん!」


隊長格の男性が僕を睨みつけながら完全に否定しきた。


「でも、盗賊がそんなに小綺麗にしているのって変ですよ? 無精髭も無いし、髪も清潔感のある整った髪型ですしね?」

「・・・・・・・」


どうしても喋らないか。

僕は、肩に乗るルリに意識を向けると、分かった様に僕の頬へ寄り添ってくる。その間もガンとして僕を睨みつけるリーダー格の男を睨み返しながら、相手に聞こえないように内緒話をする。

それが気になったのか、その男は縛られながらも少しだけ前に体を移動させ聞き耳を立てているようだった。


「フフ」

「!?」


僕は、商悪そうな顔をしているつもりで小さく笑うと、男はビクッと体を強張らせていた。


「分かったわ。お母さま」


ルリの返事を待って僕は男に笑みを贈る。

すると男はさらに体を固くして背筋がピンと伸ばしてしまっていた。


「フフ、喋らないなら喋らせてあげましょう。」

「ヒッ!」

「ルリ! やっておしまい!!」

「あら、ほ・・・・・・お母さま、この掛け声何か意味があるのですか?」


頭を横に振る僕。

何故だかこうして欲しかっただけです。

取り敢えず、僕の掛け声で、ルリが集中し始める。


「ギャァアアアアア!!!」


リーダー格の男は、地中からいきなり現れた蔓や木の根に驚愕の声を張り上げ、身を捩り逃げようとするが、拘束されていてはそれもままならず、一瞬での囲まれ飲み込まれて地中の中に消えていってしまった。


「ヒィエィィィィエィエエ!!!!!?」


地中に飲み込まれてしまったリーダーの男を見て他の男達が、悲鳴をあげて顔を青ざめさせる。


「皆さん? 喋る気になりましたか?」


僕の問い掛けに、10人程の男達が一斉に頭を縦に大きく振り始めた。


「マコト様、女神様ですよね?」


ラーナさんが、変な事を聞いてきた。


「当たり前です! どこをどう見ても最高の女神様にしか見えないでしょう!?」


ラーナさんの言葉にアマネが食いつく。


「そう、ですよね?」


うん、たぶんそうだと思いますよ? でも悪い事をする人に慈悲の心なんてまだ持てません!

そこからはトントン拍子に話してくれた。


「5大新興宗教団体?」

「はいお母さま。この者達はその宗教団体に所属する施設軍の者みたいですね」


ルリの質問に素直に答える男達が組織の名前を教えてくれた。


「それってなんですか?」

「マコト様は知られませんか?」

「うん、よく分からないかな? エルデリード神教とはまた違う宗教ってことだよね?」

「はい。5大新興宗教、それは、神がお隠れになってしまい悪魔が蔓延り始めたこの世界をその魔手からお救いいただいた5大高位種族、竜族、獣人族、ハイエルフ族、鬼人族、そして吸血鬼族の英雄を奉る新興宗教団体です」


ラーナさんが、5大新興宗教団体について話してくれた。

つまり、フィエルルシエ王女のエルデリード神を祀る神教王国とは違う宗教団体ということみたい?


「でも、その新興宗教団体が王女様を襲って何の得があるんですか?」


僕は王女様に今一度聞いてみた。するととんでもない話が返って来た。


「得、ですか? それは前のエルデリード神様がこの世界の秩序の放棄をして悪魔が蔓延り人々を死への恐怖へと追いやった罪神だという事を広めたい5大新興宗教団体は、その罪神を崇める者はこうなるという、みせしめに私達王族を落ちぶれさせたいのだと思います」


はあ? また極端な考えだな? 別に王女様が悪い事をしたわけじゃないだろうに? それにしても、そこまでエルデリード神教を潰そうとするのは何故なんだろう? だいたい、自分達が盾になり、この世界を悪魔から救った英雄の5大族が、エルデリード神教だからといって、それを信仰するものをここまで追い詰める必要があるのだろうか?


「おかげで、エルデリード神教を信仰する者が表立っては、いなくなったんです」


王女の言葉に僕も少なからず責任を感じてしまっていた。



読んでくださりありがとうございます。

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