表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/76

新たな旅立ち 10

続けて投稿いたします。

是非に読んでやってください!

「えっと、少々お話を伺ってもよろしいですか?」

「はい、なんでございましょうか?」

「え~とですね、パルティナさんって騎士なんですよね?」

「はい、私の身辺を守る専属の騎士ですわよ?」

「では、何故冒険者の姿なんですか?」

「それは隠密に動く必要があったからですわ」

「刺客に狙われているとか? ですか」

「ま、まぁ、そんなところでございます、でしょうか?」


ちょっと動揺している?


「ルリ、どう?」


僕は真向かいに座る王女様とかにも聞こえない程の小さな声で肩にのるルリに聞いてみた。


「嘘かな? 刺客とかに狙われているという深刻な感じはないかな? でも何かに心配しているのはあるみたい?」


ルリはそう教えてくれた。

大樹の精霊は感情というものを敏感に感じるみたいで、人の言葉の裏に潜む嘘、真実を見抜く事が出来るそうだ。

本気でルリって物凄いよ。


「その割には、こんな馬車で旅をされているとは、自分をここに居ますって言いふらしているようなものですよね?」

「え? まぁ、その辺はどうなんでございますでしょうか?」


どうなんでしょうね? と僕に聞かれても知りません。


「大丈夫ですよ。逆にこんな立派な馬車に乗っている方が分かりにくいですから」

「パルティナ! 余計な事は言わなくていいのですよ!」

「あ! す、すみません!」


この二人、嘘が下手過ぎです。何か隠しているのは分かり過ぎるくらい分かるんだけど、何故かそれを知るのがいけない気がしてくる。


「と、とにかくですわ。私を無事王都まで届けてくださいまし!」

「はい、それはもちろんです。でも・・」

「でも、何でございます?」

「護衛なら、僕達は外に居て周囲を警戒した方がよろしいのでは?」

「あ! それは私も思っていたのですけど、姫様がどうしても一緒に乗りたいともうしまして」

「また! パルティナ! そんな事言わなくていいのですよ!」


どうにもパルティナさんって、口が軽すぎるのかな? 王女様も苦労されているのだろう。

でも、それでもこうして一緒にいるのだから、よっぽど王女様にとってパルティナさんは、必要な方なんだろうな。


「お母さま! 何かが近づいてきている! 人みたいだけど、この馬車を包囲するように幾つかのグループが向かって来ているよ!」


ルリが突然僕の耳元で、警告してきた。

本当に刺客がいたのか? 


「アマネ! ラーナさん! この馬車に向かってくる人影が幾つもあるみたい」

「刺客ですか?!」

「まだ、分からない。けど動きが早すぎるし、完全にこの馬車を狙って動いているわ」


ルリの言葉に馬車の中の空気が急に張りつめてきた。


「姫様! 教会のやつらでしょうか?」

「ええ、たぶん。それにしても、もう嗅ぎ付けて来たのね」


二人の緊張感が伝わってくる。よほど良くない状況なのだろう。


「王女様、あなたはここに残っていて下さい。僕達が必ずお守りしますから。パルティナさんもここに残って王女様の警護をお願いします!」


僕は、御者台に向かって馬車を止めるように指示を出そうとした時だ。


「それはいけません!」


王女が叫んだ。


「私達も、この馬車から出ますわ!」

「え? 出ますって、刺客と一戦交えるかもしれないのですよ? そんなところに王女様をお連れするなんて無理ですよ!」

「いいえ! 私が困るのです! もしこのままこの馬車にいて、敵がこの馬車を攻撃したら・・」

「その方が馬車が盾になってくれるので好都合ではないですか?」

「それが困るのです!!」


僕は王女様が何故そこまでこだわるのかが分からなかった。どうしてそこまで自分を危険な目に会おうとするのか。

もしかしたら、従者や仕える者が死地に赴くのをただ見ているだけというのが嫌なのだろうか? 指導者としては失格だけど人しては立派な心掛けだ。

僕は王女の事を見直していた。


「とにかく、私もここを離れますわ!」


確かに、王女様も万が一を考えてか服装もスカートでなくズボンを履かれているし、動くのには問題ないんだけど、さすがにそれを簡単には容認できない。


「王女様はここに居てもらいます。でないと僕達の動きが制限されてしまい窮地に陥るかもしれませんよ?」

「それででもです! 潔く散るか、惨めに生きながらえるか、どちらを取るかなんて決まっていますわ!」


惨めに生きる?


「それはどういう事ですか?」

「そ、それは・・・」


急に王女様の顔が暗沈み込み俯いてしまった。

どうしたんだ? さっきまではこの馬車から出ると息巻いておられたのに。

あれ? 膝の上に置かれた握り拳に涙? が幾つも落ちてるんじゃぁ・・・


「グス、ウ、も、もしこの馬車が、グシュ・・戦いの中に、巻き込まれて、大きく破損したら、賠償金を払う事になるの。でもでも!そんなお金なんかあるわけがないもの。ただでさえその商人からお金を大量に借りてるんだから・・ウ、ウウ、そうなると借金が返せなくなって・・奴隷として身売りをする約束になっているのですわ・・・・」


「「「「へ?」」」」


僕達、アマネ、ルリ、ラーナさんの4人はそろって変な声を出してしまった。


「借金? 奴隷? ですか?」


どういう事だ? 王女様が借金? しかも奴隷になる? まったく事情が呑み込めません!


ありがとうございました!

またお越しください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ