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新たな旅立ち 8

続けて投稿いたします。

是非読んでみてください!

「アマネ、あんた一体何しているの? 場所をわきまえなさい! そういう事は部屋の中でしなさい!」


たぶん、あられもない姿で絡み合う僕とアマネを、上から覗き込むようにしているラーナさんの姿が見えた。


「ラ、ラーナさん?! ど、どうして普通に立っていられるの?!」


僕達がこの粘液でまともに動けないのに、ラーナさんは平然として立っていた。


「アマネは知っていると思うけど、この粘液は熱に物凄く弱い。だから魔力操作で足裏に熱を作り出しれ粘液を蒸発させれば問題なく動けるでしょ?」


呆れたように言うラーナさん。それって本当なの?


「そ、そうだけど、マコト様の、その体が密着していて気持ち良すぎて、その、集中できなくて・・」


顔を赤くして涙目のアマネ。なんか僕、余計な事をしたのかな?


「ご、ごめんね。アマネ。僕余計な事した?」

「い、いえ! そんな事! むしろこれはご褒美です!」


そんな事言い切らないで! 顔から火が出るよ。


「はぁ、これは貸しだからね。今度お礼はちゃんとしてもらうわよ」


そう言うとラーナさん、僕らとは反対の方向に向き直る。僕もその方を見ると、2匹のニーブアームが僕らを見つけたのか、突進してくるのが見えた。


「ラーナさん!!」

「マコトさん。あなたも冒険者なら、色々勉強してください。力押しだけでは勝てないものもあるんですから」


ラーナさんが、ニーブアームへと走り出す。

それに気付いたニーブアームもラーナさんに向かって毒霧を放つ! しかしその毒霧はラーナさんに届く前に、双剣で薙ぎ払われ風圧で霧散した。


「す、凄い、才能とたぶん努力なんだろうけど、鍛えると神の眷属にならなくてもここまでの事ができるんだ」


改めてラーナさんの凄さが分かる。鍛えればなんとか! じゃないけど人の身でここまでできるんだ。


毒霧を霧散させられたニーブアームは、勢いを殺さず1匹が、口を大きく開けラーナさんに突っ込む! しかしそれを空中に跳び上がり軽くかわすが、それを見計らったように、もう一匹のニーブアームが尾の方を振り上げ、空中で踏ん張りの効かないラーナさん目掛けて叩きつけてくる。

でも、ラーナさんはその尾が当たりそうになる瞬間体を捻り、ニーブアームの丸い体に沿うように滑り攻撃をかわしてしまった。粘液を逆に利用してしまっている。

凄い!

ラーナさんはそのまま2匹のニーブアームの粘液だらけの真ん中に飛び降りる。

すると、そこで動きを止めてしまった。


「あれ? それってさっきアマネがしていたのと同じ間合いだぞ?」


ニーブアームも先程と同じ様に、ラーナさんを挟み睨むと、2匹同時に毒霧を降り掛けた。

それはラーナさんを直撃してしまった。


「ラーナさん!!」


でも、ラーナさんは両手に剣を握ったままだけど、特に動こうとしない。そんな状況を確認しているのかニーブアームは少しの間、様子を伺うように眺めている。すると先程、アマネの時の様に口から長い舌を出してきてラーナさんを舐めだし始めた。


そうか、あの魔獣はこうして毒がまわっているのを確認して餌が動かないか、確認しているのか?


そして、微動だにしないラーナさんを確認したのか、舌を引っ込めたニーブアームは、2匹同時に大きな口を開け、ラーナさんを左右からかぶりつこうと襲い掛かった。


「ラーナさん!!」


その瞬間、ラーナさんは剣を持つ両手を左右に勢いおく伸ばし、あえてニーブアームの口に押し入れてしまった!

次の瞬間、ラーナさんに手を加えたニーブアームの口が一瞬膨張したように見えた。そしてその膨張は一気に膨れ上がり赤くなり始めた。


ドッガァァン!!!!


耳をつんざく轟音が辺りに轟く。

その後に熱風が僕の方まで届いてきた。轟音と熱風が納まり、辺りに静けさが戻る。

そして、その中心にいるラーナさんは、両手を左右に突き出した形のまま静かに佇んでいた。

でもその手には剣は見えてもニーブアームの頭はもう存在していなかった。

たぶん首辺りだろうところから上の頭は消し飛び、胴体だけが地面に転がっているだけだった。


「凄い、ラーナさん。簡単にニーブアームを退治してしまった」

「どうです。ニーブアームは確かに厄介な魔獣ですけど、ある程度の知識を持ち、それなりのスピードと魔力操作ができれば、ちょっと恥ずかしいのを我慢できれば、なんともない魔獣なんです」


僕の方に駆け寄って、そう説明してくれるラーナさん。

凄く頼もしく思える、さすが先輩冒険者で、天才と言われた人だ。


「それより、早く姫様達と合流してしまいましょう。それにそのままじゃ、停留場に戻っても色魔の目で見られますから、何処かで体を洗いましょう。近くに川がありますからそこへ向かいます」

「は、はい! 先輩!」

「せ、先輩?」


僕はつい、ラーナさんを先輩と呼んでしまった。

だって凄くカッコ良かったんだもん。

あ、アマネは別だよ? 僕にとってはアマネは特別だからね。


「それで、そのアマネはどうします? 完全にいってしまっていますよ?」


あ?! 

アマネそんな幸せそうな顔でヨダレを垂らしながら気絶しないで! という僕も全く動けません。ちょっとでも動くとアマネの胸をムニムニしそうで・・・


「ラーナ先輩、た、助けてもらえます?」


助けを求める僕に、何故かニタニタ笑いながら近寄ってくるラーナ先輩。

とっても嫌な予感がするのは気のせいでしょうか? 


「ら、乱暴にしなでね?」


つい出た言葉にラーナ先輩の動きが止まった?


ブウゥウウウウウウウ!!!


「ラ、ラーナ先輩!?」


動きが止まったと思ったら、今度は大量の鼻血を噴き出して後ろに倒れてしまった! ど、どうしよう!!


それから僕達は、商隊の人達に発見されるまで、その場に取り残される事になりました。

当然、気を失ってない僕は無茶苦茶、恥ずかしい思いをいたしました。

反省しよう。


読んでいただきありがとうございます。

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