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新たな旅立ち 7

投稿いたします。

是非読んでやって下さい。

「マコトさん! ご無事ですか!?」


僕の頭上の方から、ラーナさんの声がした。

ああ、馬車が転がって、横倒しになっていたんだ。扉が上にあって、そこからラーナさんが覗きこんでいた。


「大丈夫だよ。心配かけてごめんなさい」

「い、いいえ! その笑顔が見られただけで幸せです!」


幸せかどうかはこの際、関係無い気がするんだけど?

それは置いといて、僕よりも身長が高い、フィエルルシエ姫をひょいと抱きかかえる。


「キャン!」


急に僕が抱え上げたせいで、狼狽えたのか変な声を上げて、僕にしがみついて来た。


「姫様、そのまま僕にしがみついていて下さいね?」

「は、はい!」


姫様の返事を聞いて僕は、ほんの少し足に力を入れてラーナさんが覗く扉の上へと跳躍した。

そのまま、ラーナさんの隣、馬車の上に着地すると、ほんの少し先の開けた場所でアマネと2匹のニーブアームと交戦している光景が目に入ってきた。

こうして改めてみると、ニーブアームって蛇というより、ミミズみたいな頭に大きな口がついた気持ち悪い魔獣だ。しかも鎧みたいな皮膚の間から粘液みたいなものが出ていてヌルヌルした感じがなんとも言い難い気持ち悪さを倍増させている。


「ラーナさん、アマネは大丈夫でしょうか?」

「そうですね。負けはしませんが、あの粘液のせいで攻撃がなかなか通らないですし、その上あの粘液には毒性があって繊維や植物を溶かしますから、厄介なんですよ」

「溶かすって、人とかは大丈夫なんですか?!」

「まあ、長時間ほっとくと悪影響はありますが、1,2刻くらいでしたら、赤くあれる程度にはなると思います」


ほっ、と、取り敢えずは問題ないか


「でも、その粘液でどうしても私達の動きが鈍くなりますので、そこを見計らって、毒霧を浴びせられたら、筋力麻痺がおこって動けなくなってしまうんです。そうなると一方的に食われるのを感じながら死に至らしめるという、凶悪な魔獣ですね。ですから単独で挑むのは無謀ですよ?」


え?! それってまずいんじゃないの?!


「あ、アマネ粘液浴び過ぎて動けなくなっていますね。あ! 毒霧を掛けられてしまいました。ああ! ニーブアームの長い舌がアマネを舐めていますよ」

「アマネ!!」

「あ! マコトさん! だいじょ・・・、ああ、行ってしまわれた。姫様を今投げ捨てなかった? どうもマコトさん、アマネの事になるとちょっと見境が無くなるみたいですね?」


「はあ、はあ、はあ、あ、あれ? ラーナさんじゃないですか?」

「やっと追いつきました? パルティナさん」

「ひ、姫様は?!」

「ええ、無事・・・だと思いますよ? たぶんその辺りに転がっていると思います」

「へ? 転がって?」

「とにかく、パルティナさんは姫様を保護してください。その後はその辺に身を隠しておいてください。私はマコトさんの加勢に向かいますので」

「は? はあぁ」


なんとも要領を得ないパルティナをほっとき、ラーナもまたマコト同様アマネが窮地に追いやられている場所に向かって行った。



「アマネ!!」


僕は思いっきり叫んでいた。

アマネが食われる? その言葉一つで感情が逆撫ってしまい、まともに状況を把握することが出来ていなかった。

とにかく今は急いでアマネの窮地を救いたい一心で向かって突き進んだ。

そして僕は見てしまった。

動けないアマネのお尻や胸辺りを、魔獣のネトネトした細長い舌が、その感触を確かめるように這いずり廻るところを。


「う、んん!」


アマネの耐えが痛いような声がした!


「アマネに何しやがる!!」


冷静な判断なんてどうでも良い! アマネを魔獣如きが舐めるなんて許せるわけがない!

自分でも何も考えずに、勢いのまま飛び蹴りの体勢で突っ込んでいく!


「え? マ、マコト様!?」


その最中にアマネの間の抜けた声が聞こえた気がした。


「え?」


ツルン!!


「「へ?」」


僕とアマネは同時に変な声を出していた。

僕の放った飛び蹴りは、正確にニーブアームの頭にめり込んだはずだった。でも実際はその大量の粘液がクッションとなり、表面をものの見事に滑ってしまい、僕の足はあらぬ方向へと向いてしまった。

でも勢いは死ななかったので、その方向へとそのまま吹っ飛んでいく。


「「!!」」


そして運悪く? 僕の制御の効かなくなった体は、驚いた顔をしているアマネの方へと飛んでいった。


「きゃ!!」「あん!」 ドン! ドガ! バシャ! ドシャ!!

「と、止まった?」


どうしたんだ? 止まったのか? 

僕は混乱する頭を、深呼吸で落ち着かせる。


「ま、マコト様! そ、そのような、い、今は非常時ですから、ま、また後で、ですね・」


艶めかしいアマネの声が聞こえてくる。

凄くいい匂いがする。

その匂いにつられるように顔を上げると、艶やかな唇がすぐ目の前にあった。


「ア! アマネ!?」

「だ、駄目です。そんなに急に、う、動いたら、あ、当たって・」


近過ぎる! こ、これじゃあアマネを押し倒して抱き着いているのと一緒じゃないか!

それにう、動きにくい! 

なんとかして離れようとしてみるけど、勢いよくぶつかったせいか、服の裾を絞る紐や髪が変な風に絡んでしまっている。それにこの粘液のせいで余計に動きにくい!


「マ、マコト様! そ、そんなに動いたら! わ、私の、その・・の間にマコト様の足が、は入り込んで!」


これ!魔獣の毒素を含む粘液で肌が敏感になっているのか?

僕のスカートの中にもアマネの手が上手い事入り込んでしまっていて、それがう、動くと、んん!! こ、このままじゃ! 


「ご、ごめん! アマネ! 今どけるから!」

「だ、駄目です! 動いたら!」


スルン!


「え?!」

「はああああ!」


立ち上がろうとアマネの肩辺りに手を掛け踏ん張ろうとしたら、その手が滑って、胸の谷間が見える服の開いているところへと、きれいに入っていった。


「こ、この感触・・あ、あたって・・」

「だ、駄目です! び、敏感になり過ぎて!!」


ど、どうすれば良いんだよ! このままじゃあ! 外で・・・ 


読んでいただきありがとうございます。

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