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新たな旅立ち 4

是非読んでやって下さい。

旅芸人とは失礼な人だな。でもたぶんこの人、僕達の事、名指し近づいて来たから、まず間違いなく依頼主か、その関係者だろう。


「はい、僕がマコトで、こちらの彼女がアマネです。あと、もう一人は・・」

「ああ、存じ上げております。冒険者組合の職員さんですね?」

「はい、ラーナさんと言います。ところであなたは?」

「ああ、これは失礼いたしました。遠目でみておりましたら、何やらお芝居の稽古か何かかと思い見入っておりましたら、先に名乗るのを忘れておりました。ご容赦願います」


芝居って、まあ確かにアマネとラーナさんのやり取りを見ていたら、そう思えても仕方ないのかな? ちょっと失礼だな。

それにしても堅苦しい感じの人だな?


「改めて、名乗らせていただきます。私、主人の警護責任者をしております、パルティナと申します。以後お見知りおきを願います」


胸の真新しい防具に手を当て、優雅にお辞儀するパルティナさん。

それにしてもこのパルティナさん、金髪ショートカットで、体格はそれほど大きくないけど、引き締まった感があって、結構鍛えているのが服の上からでも分かる。それに立ち振る舞いが、一々節目のあるキチッとしていて優雅なんだよね。これでは一般冒険者風の出で立ちをしていても、騎士か貴族とか、丸わかりだけど大丈夫なのだろうか?


「えっと、パルティナさん? とお呼びすれば良いですか?」

「はい、構いません」

「そうですか、ではパルティナさん、一つお聞きしても宜しいですか?」

「はい、どうぞ?」

「その貴女は騎士か貴族の方ですよね? 冒険者っぽい格好をされていますけど、態度がどうみても普通の冒険者には見えませんよ? それにその格好も物が良すぎます。防具や剣の鞘や柄にこれ程の装飾を施していては、嫌でも目立ちますけどよろしいのですか?」


僕は一応気づいた事を彼女に指摘してみたら、澄ました顔から一変して目を大きく見開き本当に驚いた表情を僕に向けてきた。


「そ、そうなんですか?! それはまずいです! ど、どうしたら良いでしょうか?!」


いきなり僕にしがみついて困惑の表情で迫って来たパルティナさん。

それを見たアマネの表情も一変した。


「あなた! 何をしているのです! すぐにその手を離しなさい! マコト様が痛がっておられます!」


いや、別に痛くはないんだけど?


「こ、これは申し訳ありません! ですが私達はあまり目立ってはいけないのです! マコトさんの指摘が本当なら、王都からここまで隠密行動をとってきたはずなのに、意味が無かった事になります! こでは姫様のご計画が台無しに。」


僕は、慌てふためき大声で、言ってはならないだろう言葉が出てきていたので、慌ててパルティナさんの口を手で塞いだ。


「あー! マ、マコト様! な、何をしておられるんですか!」

「こら! そこの女冒険者! マコトさんから離れなさい!」


いきなり、ラーナさんがパルティナさんの襟元をむんずと捕まえると後方へとぶん投げた?!

そのタイミングでアマネが僕の手をとり、何処から取り出したのか、綺麗な布を取り出し、一生懸命に拭き始めた。

さっきまで、喧嘩をしていた二人の息ぴったりの行動に、僕は呆れる前に感心してしまった。

案外、この二人いい友達になれるかもしれないな。

それにしても、パルティナさん、物凄い力だった様な?


「パルティナさん? 凄く強いんですね?」

「え? あら! ヤダ!! 私ったらはしたないわ! ホホホホホ!」

「何を、今更。マコト様、このパルティナ、今でこそ冒険者の受付をしていますけど、現役の冒険者の頃はランクCなんです。しかも14才で、ですよ。それから暫くして、つまらなく成ったとか言って、引退した変わり者で有名なんですから。付いた二つ名が、マダラ姫」

「マダラ姫?」

「はい、気分屋で、我がままで、むらっ気が酷いことから付ら・・」

「ぅわーーーーーーー!!!! な、何、人の黒歴史をバラしているんですか! マコト様が信じたらどうするんですか!」


いえ、信じるも何も、自分でばらしてるって、言ってますよ?


「だいたい、引退したのは、そんな自分の性格が嫌だから裏方に回ったんですからね! 今では、結構落ち着いたと自分では思ってるんですよ!?」


ああ、また喧嘩してるよ。でも二人とも本気で罵り合ってるようには見えないんだよね? どちらかと言うとじゃれ合ってる?


「アマネとラーナさんって案外仲が良いんじゃない?」

「「そんな事は、ありません!!」」


ほら、二人の声がハミングしてるよ?

あ、二人とも少し赤くなってる。うんうん、可愛いじゃない二人とも。


「ただいま、お母さま?」

「あ、お帰りルリ。どうだった?」

「うん、周辺には魔物とかは特には見当たらなかったよ。ただ、これから向かうはずの王都までの道中近く周辺に魔物が集まり始めてるようなの。気を付けた方が良いかも」

「そうか、やっぱり姫様達の行動は筒抜けみたいだな」

「姫様?」

「そう、本当なら地方貴族が王都に向かう為の護衛とかの名目で、僕を呼んだんだろうけど、さっきパルティナさんが王都から、なんて言ってたからなあ。たぶん僕を連れて行きたいが為にそんな事までしようとしたんだろうけど・・・普通に来てくれって言ってくれればいいのにね?」

「そうなんだ? よく分からないけど、近くに立派な馬車がこの停留場外の林の中に隠してあったわよ? それが姫様が乗っている馬車なのかな?」


まさか、その馬車でここまで来たのか? 隠密行動って意味、知っているんだろうか? もしかしてパルティナさんもそうだけど、その主人、たぶんこの国ブルーフェルド王国の姫君も残念な人? かもしれない。


ちょっと会うのが不安になって来たよ。


「それで、お母さま。この二人は何故顔を赤くしているのですか?」

「え? そうだね、自分が思っている以上に仲が良いことに気付いて今更ながらに恥ずかしんだと思う」

「そうなんですか?」


「ち、違います!! マコト様、そんな事ないですからね!」

「そうです。アマネと私が仲が良いだなんてありえません!」


うん、文字数ピッタリだね。


「おーい! ちょっと良いかい?」


僕が赤くなる二人を微笑ましく眺めていると、僕達のやり取りを見ていたおじさんに呼ばれた。


「はい、どうかしましたか?」

「どうって、このままで良いのか? オタクらが投げ飛ばした、女冒険者がこの先で血を頭から流して、泡吹いて倒れているぞ?」

「?!!!!」

「わ、忘れていた! アマネ! ラーナさん!!」

「「は! はい!!」」


急いでパルティナさんを拾って来て、治療を始めさせる。命に係わるほどではなかったが、首の骨が折れているとか、結構重症だったので心配しました。

本当に、心配したんだよ?



またおこし下さい。

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