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新たな旅立ち 3

新しい仲間? になるのか? それとも?

新章、本編スタートします。是非読んでやってください。


「マコト様、この停留場で待ち合わせとなるようです」


アマネが指で示したこの場所に、マリナエルス組合長からの直々の使命依頼があった雇い主との待ち合わせ場所を教えてくれた。

ここは、トルタの街から歩いて半日程の距離にある、街道沿いに設けられた停留場だ。

停留場とは、徒歩で旅するものの他、馬車等で旅をする商人などの隊を一晩駐留出来る開けた場所の事だそうだ。ここには、飲み水になる井戸や、馬の餌なども備蓄してある小屋や、簡易の寝床となる小屋なども完備してある。

その上、周囲には小さいながらも堀が作られ、柵などで囲われているので、魔獣などから身の安全を確保できる場所としても重要である。

ただし、宿場町より物資が高く、水以外、馬の餌や宿泊にも結構な値段をとられるという問題はあるようだが、命には代えられないと利用するものは結構いるようだ。


「アマネ、今日は他に誰も利用していないみたいだね?」

「そうですね。まあその方が都合がよろしいかと思います」

「うん。それとルリ?」

「なあに、お母さま?」

「周辺の探索お願いできるかな?」

「任せといて!」


そう言ってルリは僕の肩の上から姿を消した。

ルリは、世界樹の大精霊だ。その世界樹の根がかなりの広範囲で各地の木々と繋がっている様で、そこから得られる情報を全て認識することができるというのだ。あまり細かいことまでは分からないが、人の動きや魔力、魔獣の動きなどの異変を、一早く感知できるみたいだ。


「さて、依頼主が来るまで、僕達は休んでおこうか?」

「はい! マコト様! では私がお茶を淹れて差し上げますね!」

「はは、元気が良いね、ラーナさんって」

「ただの馬鹿なんでしょう」


トルタの街を出発してからずっと、アマネの機嫌がものすごく悪いんだ。

その原因が、今、お茶の用意をしているラーナさんにあるようだ。


「どうして、こんな足手まといな人間と同行する必要があるんですか?!」

「ん~、マリナエルス組合長のたっての願いだからかな?」

「確かに、冒険者組合の指名依頼の場合、監督員として職員が同行する事はよくありますけど、何も彼女でなくてもいいじゃないですか! 彼女は危険です。いつマコト様に襲い掛かろうとするか注意が必要な人物です!」


アマネの拒絶反応が凄いな。できたらこの依頼中は仲良くとまではいかなくても、仲間として行動してほしいんだけどなぁ。


「ごめんね。アマネが僕の事を一番に考えてくれているのは判かるし、とても嬉しいんだけど、今回は仕事だからね、我慢してほしいんだ。僕も注意するしね? それにラーナさんってそれほど悪い子には見えないんだよね」

「甘い!! です。あの手の歳の割には若作りの女に限って、変態少女趣味だったりするんですよ?!」


変態少女趣味って、どんな趣味なんだよ?


「えらい、言われようですね?」


僕とアマネのところに、ラーナが金属製の小さめのポットとコップを三つ持ちながら、会話に入ってきた。


「別に間違った事を言っているわけではないですから」


フン! って感じで顔を横に背け少し唇を尖らすアマネ。こういうところはまだ15歳の女の子だよね。いつもは凄くしっかりしているし、年上のレリーアからお姉さまとか言われているから大人に思ってしまうんだけどね。


「間違っています! どうして私が変態少女趣味なんですか?」


あ、聞かれていたんですね。


「私は、美少女趣味なんです! そこのところ間違わないようにお願いしますね?」


どこが違うんだ?


「やっぱりラーナさんって変態じゃないですか?」

「あら、だったらアマネさんだって立派な変態じゃないですか? 15歳の成人女性が見た目10才以下のマコト様にメロメロじゃないですか!」


10才以下って、何気にラーナさん鋭いな。一応公証では13才ですからね?


「私はいいのです! 私はマコト様の所有物なんです! この心も体も全てを捧げているのです。そこら辺の変態と一緒にしないでください!」

「所有物って? それこそ変態じゃないですか!」


「なんだぁ?」

「喧嘩かぁ?」

「痴話げんからしいぞ?」

「いや、三角関係の揉め事らしいぞ?」


あれ? いつの間にか人がいるぞ? あ、商隊の馬車が入って来たんだ。


「私には愛があるんです。マコト様への無償の愛が! そしてマコト様も私の事を毎夜毎夜優しく・・・ポッ・・・・」

「何を思い出して照れているんです?! それに愛なら私だって負けていません! 依頼を私だけに囁いてくれるあの、美声! 依頼書を差し出すときに向けてくれる私への熱い眼差し、その全てが私への愛を感じるのです!」


それって、ただ単に冒険者の依頼を受け付けてもらっているだけですけど? いつもそんな事を思って対応していたんですか? そう言えばやたらと視線がまとわりつくように感じていたのはそのせいなのか?

それにしても話がだんだん際どい話になってない? ちょっと、というよりかなり恥ずかしいんだけど。


「そんなのが愛だなんて片腹痛いですよ! 私なんかこの胸を優しく撫でていただく時のマコト様の仕草を思い出すだけで・・ああ~!!」

「な!? なんですか! それは卑怯です! でしたらどちらの胸の触り心地が良いかマコト様に触ってもらって決めようじゃないですか!」

「良いですとも! 受けて立とうじゃありませんか!」


「て! 二人とも上着を脱ぎ始めちゃ駄目だって! 他の人が見ているよ!」

「「え?」」


僕の言葉に、二人とも気付いてくれたみたいだ。


「お? なんだ続けろよ! 姉ちゃん達!」

「そうだ、脱げ脱げ!!」


野次馬の中にいる男二人が、アマネとラーナさんに向かって下品な言葉を投げつけてきたんで、僕は咄嗟に威圧を抑えることなく、二人を見てしまったようだ。

二人とも泡を吹いて倒れてしまった。その二人に気付いた商隊の仲間が、倒れた男を抱えてその場を去っていった。

ちょっとやり過ぎたかな? アマネを下品な対象で見ているのが我慢ならなかったんだもん。


「「マ、マコト様」」


アマネとラーナさんが僕に詰め寄ってきた。あ、なんだか瞳が潤んでいるぞ? や、やけに色っぽいんだけど? 


「マコト様が私を庇ってくださった」

「何を言うのです。庇って下さいましたのは私ですよ!」

「「ああ、マコト様、素敵です」」


さらに僕に詰めよるアマネとラーナさん。ちょっとは落ち着きましょう! 二人とも!


「あなた達、マコトさんとアマネさんですか? 旅の芸人とかじゃないですよね?」


突然、僕達三人の所に、真新しい防具や装備を身に着けた女性冒険者風の人が現れ、失礼な事を言ってきた。

誰が、芸人ですか! 

と、いうか、この人、冒険者ぽくないみたい。この女性が依頼主なのでしょうか?


読んでいただきありがとうございます。またお越し下さい。

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