新たな旅立ち 2
投稿いたしました。
「申し訳ない!」
いきなりの謝罪に僕は戸惑っていた。
「あ、あのうマリナエルス組合長、どうしたんですか?」
「どうもこうも、我が組合の受付嬢であり審査官である、ラーナが大変ご迷惑をお掛けしたようで申し訳なかった!」
なんだ、そんな事か。
「別に良いですよ。半分はこちらにも非がありますし、痛み分けという事でいいじゃないですか?」
「そうですか? そう言ってもらえると嬉しいのですが、組合の職員ともあろう者が冒険者の事で公衆の面前で鼻血を出して倒れるとは! 指を鼻の穴に突っ込んででも耐えろと言っておくべきでした」
いやいや、それはちょっと違うと思いますよ?
見当違いな、組合長の話を聞いて、もしかしたらここの職員って、みんなあんな感じなのかと疑ってしまいそうだよ。
「それは置いといてですね、僕に何か言伝があったから、ラーナさんを寄こしたんじゃないのですか?」
「ああ! そうだった。忘れるところでした」
忘れないでください。
「神であるマコト様にお願いなど本当なら許される事ではないと存じ上げていますが、どうしてもマコト様のパーティーに組合から指名依頼を受けてもらいたいと思っておりまして、今回、こちらに赴いていただきました」
「指名依頼ですか?」
「ええ、時々冒険者組合に、高貴な方が依頼をされることがあるのですが、そんな方々にその辺の冒険者を充てるわけにもいかないし、かと、言ってほっとく訳にもいかないのです。冒険者組合も信頼あって成り立っている組織ですから」
「はあ、そこで組合長さんは、信頼のある冒険者を名指しで指名して、事にあたらせようと思っているわけなのですか?」
「そうです。さすがマコト様でありますね」
感心したように頷く、マリナエルス組合長。
まあ普通に考えればそうなんだろうけど、高貴な方というのは、貴族でも上位の位を持つ方か? それとも王家に繋がる人? 商人とか、役人、軍人を高貴な方なんて言わないだろうし、でも今はあまり関わりたくはないんだけど・・
「もし、僕がその指名依頼を断ったらどうなりますか?」
「そうですね。冒険者ランクの降格、組合員の責務不履行で罰金が課せられます」
「確か、冒険者になる時の説明にそのような事が謳われていたような?」
「はい、マコト様、確かに規約に書かれています」
アマネが僕の考えている事を補足してくれた。
そうか、こういう時の為の規約だったんだ。
まぁ、でもそのくらいの処分なら、断ってもいいかもしれないな。
「マリナエルス組合長、その程度の処分なら今回はお断りさせてもらった方が良いと思います。あまり関わりたくないように思えますから・・・」
「そうですか・・・」
肩をがっくりと落としてしまうマリナエルス組合長。
「あまり詳しくは言えませんが、今回の依頼主はとある高貴な貴族様のご令嬢なのですが、護衛は全て女性で構成されています。しかも密命の為、公に護衛隊を組織するわけにもいかず、数人規模での護衛のみとなるしかないのです。しかし彼女等は、護衛としては一流の騎士なのですが、いかんせん、魔獣の討伐等は経験が浅く、対処できない可能性があるそうです。その為、どうしても実践経験の多い者で、できれば若い女性パーティーをという依頼でして」
それが僕とアマネという訳だ。
「でも、それなら僕達でなくても問題ないのでは?」
「はあ、それが現在、この街にいる冒険者で若い女性パーティーが他におりません」
「え? さっきの筋肉ムキムキの女性パーティーがいたと思いますけど?」
「ああ、あれは駄目です。貴族のご令嬢の趣味に当てはまらないので」
なんですかそれ? 趣味で護衛を選ぶなんて、貴族にありがちな我がまま令嬢なのか?
それにしても、
マリナエルス組合長の期待感の眼差しが痛いです。
「どうしても、僕が良いのですか?」
「神の御幼体であられるマコト様にお願いするようなことではないとは重々承知しておりますが、どうかお聞き願えませんか?」
頭を大きく下げ頼み込んでくる組合長。
「分かりました。今回はその依頼お受けいたします。でも今回だけですよ?」
「はい! ありがとうございます!!」
お世話になっている事だし、今回は受けましょう。
「それでは、依頼の内容については、ラーナから明日お話させますので、今日の所はお休みください。アマネの方は気が付くまでこちらで預からせていただきますので」
「あ、お願いします」
僕は、マリナエルス組合長にアマネをお願いし、組合を後にした。
「ルリ、何か分かった?」
「はい。お母さま」
組合の建物を出て少し歩き、大通りを少し離れ路地に入ったところで、僕が声を掛けると、ルリが現れ僕の肩に乗って来た。
「やはり隣の部屋に数人、人がいて、こちらの事を聞き耳をたてていたわよ」
「そう、やっぱり何か裏があるみたいだね?」
「お母さま、この依頼やめません? なんだかコソコソと怪しいですよ?」
ルリの言葉はもっともなんだけどね。
「まあ、マリナエルス組合長がそんなに僕に対して悪い事を企てているとは思えないしね、ここは、あちらの企みに乗ってみてもいいんじゃないかな」
「お母さまがそういうのでしたら、でも危ないと思ったら、容赦はしませんよ?」
「うん、分かっている。その時はお願いね」
さて、この護衛依頼にどんな事が待っているのやら。不安はさほどない、どちらかというと楽しみだな。
そう思いなながら、頬にすり寄るルリと共に、宿屋へ向かって歩いた行った。
まだ続きますので読みに来てやって下さい




