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一仕事終えた後は? 3

投稿いたします。

「それでは、依頼内容と、討伐した証と採取した現物の提出願います」


僕達はあの後、トルタの街に夕刻にはトルタの街に戻り、今は、冒険者組合の受付へとやって来ていた。


「えっと、それじゃあ、まず薬草の採取からですね。まずはこれが依頼内容です」


そう言って僕が懐にしまっていた依頼内容が書かれた、羊皮紙を取り出し受付のお姉さんに手渡した。何故か手渡したお姉さんが顔を赤くしているのは気のせい? 何故かそれに反応してアマネとレリーア、カルナが不機嫌そうな顔をしているのも気のせい?


「お母さまは存在そのものが癒しですから仕方ないですよ」


と、ルリは言うけど、それって本当なの?


「それでは、確認いたしますね。ハイリイレーフの薬草10束の採取ですね。えっと期日は来月?! え? 依頼取得、今日?!! え! え~!! 本当に採取されたんですか?!」


受付のカウンター越しに話していた、彼女がカウンターの乗揚げそうな体勢になってまで、僕に詰め寄ってきたよ。

ちょっと、怖いです。


「は、はい。依頼の数量とは違いますけど、採取出来た分を早くお出しした方が新鮮で良いと思いましてお持ちしました」

「そ、そうですか。そうですよね。こんな希少価値の薬草を一日で規定数量を見つけられるわけがありませんものね。オホホホ!」


おばさんキャラになっていますよ、お姉さん。


「それでは、確認しますので提出お願いできますか?」

「はい。アマネ出してあげて」

「はい」


そういうと、空中に左手をかざし時空門を構成させ、その中へと右手を入れると、一束の薬草が新鮮なまま取り出されてきた。


「これは、物凄く状態がいいですね。一束10本ですね。通常なら800ルぺですけど、これなら1000ルぺで買い取らせていただく事ができますね」

「さすが、マコト様です。丁寧なお仕事しておられましたから当然ですね!」


僕が褒められると、アマネ達も喜んでくれる。それは良いんだけど、こう人が多いところで叫ばれると、ただ恥ずかしいんだよ?


「では、これで・・・」

「あ、ちょっと待って下さい。まだありますから」


僕は、集計してしまおうとしている受付のお姉さんに、待ったをかけてアマネに残りの薬草を取り出し始めてもらう。


ドサッ、ドサッ!


「え?」


ドサッ、ドサッ!


「あ、あの~」


ドサッ、ドサッ! ドサッ! ドサッ!!


「ヒィィィィィィィィ!! か、勘弁してください!」


何故に、訛るの?

あ、でも受付のお姉さんが見えなくなってしまった。ちょっと薬草を積みすぎたかな?


「あ、あの~、受付のお姉さん、これくらいだと少し多いですけど、買い取ってもらえますか?」


僕は、山積みになった薬草越しに受付のお姉さんに、確認してみたけど、返事が返ってこない?


「お姉さん! 大丈夫ですか? 聞こえますか?」

「・・・・・・・・・」

「ん?」


バン!!!


「うお!?」


いきなり受付のカウンターから少し離れたところの職員さんが通る場所のカウンターが跳ね上がり、勢いよく飛び出してきた受付のお姉さんが、僕の所に駆けこんで来た。

何か、凄い形相なんだけど?


「あ、あ、あ、あなた! この量のハイリイレーフの薬草をどうしたんですかぁ!?」

「え? どうしたって、採取してきたんですけど?」

「さ、採取って、これだけの量をしかも一日でなんて、不可能ですよ!」

「え? でもこうして採取してきたわけですし」

「何処かから、買ってきたんですか!? それとも盗んできたとか!」

「そんなことしま・・あ!」

「マコト様に向かって無礼な態度、あなた死にたいのですか?」

「! ヒッィィィィィィ!!!」


冷たく鋭い小さな声で、受付のお姉さんを脅し、首筋に白竜丸を突き付けているアマネ。その刀の先が爪程の隙間を残し、受付のお姉さんの首筋に当てられていた。

その異様な光景に、辺りが騒めき、ただならぬ雰囲気を作り出してしまった。

アマネの自重もなかなか難しいね。


「僕のことで怒ってくれるのは嬉しいけど、こんな人前で女の子に刀を突き付けるのは止めようね?」

「しかし、マコト様を盗人呼ばわりするのは、我慢できません!」

「まあ、まあ。お姉さんもお仕事でそう言ってくれているんだから、しかたないよ。ねぇ、お姉さん?」


ブンブンと頭だけ上下に動かす受付のお姉さん。起用だな。


「何事だ! 騒々しい!」


そこへ、厳しい声を上げながらマリナエルス組合長が階段を下りてくるのが見えた。


「マコトさ、さん、ではありませんか。ん? アマネ、内の受付嬢が何か失態でもしたのか?」

「いえ、ちょっと依頼の内容の事で、勘違いが双方にあっただけですから。それもちゃんと分かり合えましたので問題ないですよ」


僕の言葉に、最初は渋い顔だったマリナエルス組合長だったが、小さく息を吐いてから笑みを浮かべた。


「ラーナ、この方たちの事は私が保証する。採取してきたものも問題ない」


このお姉さん、ラーナさんって言うのか。


「組合長がそう仰るのであれば、私も問題ありません。先程は失礼な物言いをして申し訳ありませんでした」


丁寧に謝罪の言葉をくれ、頭を下げられる彼女に僕は微笑みかける。


「いえ、こちらこそご迷惑をおかけしました。ラーナさんの真剣に仕事をまっとうするお姿は、とても素晴らしいと思います。これからも何かまずい所がありましたら、ご教授下さいね」


かぁああああああああ


「は、はい! 喜んで!」


一気に顔を赤くして、返事を返してくれたラーナさん。でも喜んで? って、どういう意味なのだろう?


「それで、この薬草で問題ないですよね?」

「は、はい! マコト様! 問題ありません! 全部で20束確認いたしました! 品質も最良ですので、1束1,000ルぺで、合計20,000ルぺで買い取らせていただきます!」


そういうと、奥から他の職員が現れ、カウンター上の薬草を大事そうに奥へと運び込んでいった。その間に、ラーナさんもカウンタの奥に戻り所定の位置で何やら書いているようだった。

「それでは、これが証文になります。これを組合の換金窓口に持っていきましたら、そこで換金いたします」


そう言いながら、その証文を僕に手渡してくる。


「これは大事なものですから、大切に扱って下さい。」


そう言って、僕の手にその証文を渡してくれたんだけど、その時僕の手は、ラーナさんの手で握られていた。


「フフ、可愛らしい手ですね」

「おい、今度こそ死にたいのか?」

「ま、負けませんよ! これくらいの障害乗り越えてみせます!」


刀を突き付けるアマネに真っ向から向かうラーナさん。案外肝が据わっています。やっぱり荒くれの冒険者を取りまとめるだけの事はあるのかな?


「お母さま、二人はほっといて帰りましょう。もう一つの依頼分は明日にしましょう」

「そうですね。まだ続きそうですから」

「私もぅ、賛成ですぅ」


という事で、僕達は仲良く見つめ合っている、アマネとラーナさんを置いて、取り敢えず宿に帰ろう。

マリナエルス組合長に挨拶をすると、後は任せて欲しいと、請け負ってくれた。


よろしくお願いします。


読んでいただきありがとうございます。

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