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一仕事終えた後は?

投稿いたします。どうか一度読んでみて下さいね。


「それにしても、悪魔が復活していようとは・・・」


冒険者組合のトップでアマネの師匠でもある、ローズ・マリナエルス組合長が、僕達の報告を聞いて頭を悩ませていた。


「この300年程、悪魔の存在を確認していなかったというのに・・・・」


重い口調で話すマリナエルス組合長の表情は険しかった。

実際、僕達はこのマリナエルス組合長だけに、悪魔の死骸を見せた。なので、悪魔の存在は嘘でないことは確信してもらえていると思う。


「マコト様、この事を知るものは、ここに居る者以外はおりませんね?」


念押しするように、ソファーに座る体を前に反り出し僕に迫るマリナエルス組合長に僕は小さく頷いてから、話し出す。


「ここに居るもの以外では、ロエバルバくらいですね。この悪魔の死骸も、ルリが運んでくれたから誰にも見られていないからね」

「そうですか。本当なら悪魔を倒したという、英雄にも称えられる様な事をされたマコト様達には、報酬と地位が与えられて当然なのですが、ことがことだけに表沙汰にするのは非常にまずいので、ここは秘密にしていただき、他言無用にお願いしたいのですが?」

「別に良いよ? アマネもそれで良い?」

「え? あ、はい! 大丈夫です!」


アマネの様子が変じゃない?


「どうしたの? 少し顔、赤くない?」

「え? そうですか?」

「うん、熱でもあるの?」

「違います。マコト様。アマネ姉様は、今晩の事を思って心が昂っているのですよ」

「きゃ! レリーアったら、そんな直接的に言わないで! 恥ずかしいから!」

「大丈夫ですぅ! アマネ姉様ならぁ、マコト様を満足させることが出来ますからぁ」


ちょっと、おっとりとした感じで喋るカルナが、何か言っている。

この子達、悪魔の事より今晩の事の方が重要のようだ。

で、今晩僕はどんな事を、されるんだろうか? 物凄く不安です。うん、不安だよ? 決して楽しみなわけじゃないよ?


「お母さま。顔が少しにやけていますよ?」

「え? そ、そんな事は、な、ないよ?」

「十分、動揺してますよ?」


僕は、ルリから視線を外して、マリナエルス組合長の方に視線を固定した。


「く、組合長、悪魔の事は、お任せします」

「そう言っていただけると助かります。事が事ですので、私はこの事を国に報告しなければなりません。そうなれば、マコト様達に、何らかの接触があるかもしれません」

「国、ですか? それは王家とかでしょうか? う~ん、仕方ないですね。このまま悪魔の件を黙っておく事は許されませんでしょうし、こういう事は迅速に国にも通達した方が、いざという時の対応が違ってきますからね。ただ僕が神様と言うのはなるべくまだ秘密にしておいて下さいね」

「私としては、早くに公言していただき、このエルデリードを導いていただきたいのですが?」

「それが出来ればいいのでしょうけど、まだ僕が僕のことをよく理解していないので、世界を導くといってもどうしたらいいのか?」

「・・・・・そうでした。まだマコト様は幼生体でしたね。早く成体になられて神を名のなれる日をお持ちしております」


深々と頭を下げるマリナエルス組合長の姿に、少し責任を感じてしまう。本当に僕がこの世界の神となれるのだろうか? と。


「それで、お姉様は今宵はどのような服装で、マコト様に向かわれるのですか?」

「え~、そうですねぇ・・」


君達、幸せそうですね?


「大丈夫よ、お母さま。馬鹿していてもアマネ姉さまは、マコト様の事を常に考えていますもの。悪魔が来ようが、高位種族が来ようが、必ずマコトお母さまをお守りしますよ」

「う~ん、それもどうかと思うんだよね。守られてばかりで神様なんて言えるのかってね」


あれ? ルリ、呆れた顔している? 僕、変な事言ったかな?


「お母さま、主人は、しもべに、守られてこその主人なの。堂々と守られてください」

そう言ってもこればっかりは性格の問題だからね。


「きゃあ! お姉さまぁ。それは大胆ですぅ!」

「そうお?!」


うん。ちょっと君達、幸せを満喫し過ぎです。

これ以上ここにいても、マリナエルス組合長の仕事の邪魔でしかないな。


「では、マリナエルス組合長、僕達はこの辺で帰りますね」

「はい。ではくれぐれもお気をつけて。誰が狙ってくるか分かりませんので」


思いっきり脅してくる組合長さん。


「誰です! マコト様をつけ狙うのは!?」


アマネ、そこだけ反応しないの。


「アマネ。誰もいないから安心して。それよりみんな宿に戻るよ」

「はい! マコト様!」

「そうね。帰りましょう!」

「「・・・・・・・」」

「ん? どうしたの? レリーア、カルナ」

「あ、あの私達も、ご、一緒しても・・・」

「え? 当たり前だろ? もう家族みたいなものなんだし」

「「!」」

「「あ、ありがとうございます!」」

「良かった! これで3人で今晩マコト様とお相手できますね。一人だとちょっと恥ずかしくて・・」

「良いんですかぁ? アマネ姉さまぁ、私達もご一緒してぇ?」

「こちらからも、お願いしたいよ! 絶対に一緒に付き合って!」

「はい! 分かりました! 全力をもってお相手いたします!」

「ああ! 私を忘れちゃだめでしょ!?」

「あ、すみません。ルリ様も当然ご一緒ですね!」


・・・・・・・何だろう? 物凄い圧力を背中に感じるんだけど?


と、とにかく疲れたから、早く帰ろう。

まだ、夕ご飯に間に合うかな?


そうして僕達は何刻ぶりかの、憩いの止まり木亭戻り、レリーアとカルナの宿泊を追加でお願いすることができました。


「おねえちゃん達、何かあったの?」


宿屋の看板娘のプエルちゃんが、食堂で皆で食事をしている時に、料理を運んできた時にそんな事を僕に聞いてきた。


「え? 別に何もない・・・はず?」


た、確かに僕を見つめるみんなの目が血走って見えてきた。


「と、と、と、特に、問題ないんじゃないかな? ハハ」

「そう? それならいけど・・何かね、気が立っている冒険者さんの顔によく似ていたから、何かを狙っているのかなって?」


ハ、ハ、プエルちゃん鋭い指摘だ。確かに狙われている気がする。

それから、楽しい? 食事を終え、宿屋にある共用の洗い場で体を流して、僕達の部屋で休む事にしたんだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・休むことにした・・・・う、ん!



チュン、チュン!


あ? 鳥の声がすがすがしい。

僕は、少し足をもつれさせながら、宿屋の階段を降り、食堂に向かっていた。


「あら? おはよう! マコトちゃん!」

「あ、女将さん。おはようございます」


階段を降りきったところで、食堂の方に向かうだろう女将さんとばったりと会い、朝の挨拶をかわした。


「あ?!」


テテテテテテ!


どうしたんだろう? 女将さんのすぐ後ろにいたプエルちゃん、僕の顔を見るなり、駆け出して食堂の方に行ってしまったぞ?


「あ、プエル! ちゃんと挨拶しな!」

「女将さん、べ、別にいいですよ。それより僕何かプエルちゃんに避けられることしたんじゃないかと逆に心配ですよ?」

「まぁね、プエルはちょっと恥ずかしかったんだよ」

「恥ずかしいですか?」


意味深な言葉が気になっていたら、女将さんが僕を手招いていたので、近づくと手で口元を隠しながら僕に耳打ちされた。

それはとても小さな声だったが、今でもそれははっきり覚えている。


「その、なんだ、あまり大声でしない方がいいわね。私達が居住しているの、あなた達の部屋の真下だからね・・・」


「!!!!!!!」


朝から人生で一番恥ずかしい思いをした。

と言っても、森の中で助けられてから、それほど日にちが経ってないから、本当に少しの人生しかないけどね。

とにかく、プエルちゃんには後で謝っておこう。


ありがとうございました。

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