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危険な出来事 5

読んでいただけると幸いです。

「何と申されても、腕を斬って差し上げただけですが?」


飄々と喋るその姿は、人の腕を斬ったなどとは思えない程の冷静な態度だ。

この執事、絶対に今までにも人を殺している。それも尋常じゃない程の数をだ。


「ロエバルバ様! これは一体!?」

「ハハ、何、これから私がこの少女二人とずっと楽しむためには、此処の事を知っている人間を排除すれば、誰もこの地下に二人の少女がいることなど知る事はないのだよ。分かるかね? 君達がこの世からいなくなれば、私は何の心配もせず、安心して楽しめるという訳だよ。そう思わないかい?」


こいつ、狂てるのか? 貴族はこういう奴がいっぱいいるのか?

人の命をなんだと思っているんだ?!


「さて、ということなので、君達男性陣は退場願おうか」


「い、嫌だ! 助けてくれ!! ロエバルバ様の言うことなら何でも聞く! そうだ! もっと良い女をさらって来いというなら、いくらでもする!」

「そ、そうだ! こいつの言う通りですぜ! 俺達、ロエバルバ様の役に必ずたちますから、どうか命だけは!」


一人は片腕を斬られながらも、二人で命乞いを必死でしている。自分達が今までして来たことなんかちっとも考えてもいないくせに、なんて身勝手なんだ。


「・・・・・・・・そうですか? そこまで言うのなら考えましょうか?」

「ほ、本当ですか?」


「お前達!!」


あ、声が出た!


「何ですか? 君は黙っていて欲しかったんですが、魔力操作が途切れたみたいだな?」


自分の指に嵌められた指輪を見ながら、嫌そうに呟くロエバルバ。


「お前達! 早く逃げろ! こいつが考えを変えると思うのか?!」


僕は、ついこの男達に逃げるように叫んでいた。

ロエバルバは、こいつらを絶対に逃がすわけがない。そう思ったからつい言葉に出してしまった。アマネに悪態をついたこいつ等を助けようと思ったわけでは、ないのに。


「は! ガキが何を言いやがる! 変なことを言ってロエバルバ様の機嫌を損ねるな!」


こいつら、せっかく僕が言ってやったのに、分からないのか?


「あなた達、マコト様の忠告を聞かないのですか?」

「は! 何を言っているんだ! 無能のアマネの為に助けにいく子供の言う事なんか、まともに聞けると思っているのか?」


アマネが悲しそうな顔で、二人の男を見ている。


「そうだとも! 君達の言う通りだよ。こんなガキの言うことなど、聞く必要などないに決まっているじゃないか。君たちは私の役に立てばそれで良い」

「は! はい! なんなりと、お申しつけ・・・」


ザッ、 シュウ!


「え?」


一瞬だった。執事のラーデンが足を一歩踏み出したと思った瞬間、片腕を斬られた男とは違うもう一人の男の頭が宙に舞った。


「ひ! ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!」


片腕の男はその場に尻もちをつき、悲鳴を挙げた。


「や、約束が、違うじゃねぇか!?」

「え? 君達が私の役に立ちたいというから、こうして命を奪たんだが、何か違ったのかな? 私にとってこれ以上ない役立つ姿だったのだが、違うというのか?」


もう、尻もちをついた男は、顔を青ざめ過呼吸状態となり、失禁までしてしまっていた。


「は、情けない男ですね? そいつの処分は後回しにするぞ。ラーデン、こいつを部屋の片隅にでも捨て置け! それより私もそろそろ我慢の限界だからな、君達と楽しむ事にしようではないか!」


一段と笑みを増し、僕とアマネを交互に見るロエバルバ。

そしてその視線が僕の方に向けられた瞬間、


ギィィィィンン!!!


金属のぶつかり合う音が、この石で覆われた部屋に響いた。


「ヒィ?! ウヒィワァアヒャウアア!」


情けない声を発し、後ろへと仰け反るロエバルバ。その勢いのまま、後ろに倒れ込み、先程腕を斬られた男の血が溜まる床の近くに倒れ込んでしまった。


「まさか! 私の斬撃を防ぐ人がいるなんて・・・」

「いや、私も驚きました。これほどの太刀筋を見るなんて何時ぶりでしょう?」


そういって余裕ぶっている執事のラーデン。でもその額には冷や汗がながれ、ギリギリだったことを表していた。それほどにアマネの一撃は鋭かったのだが、それを防ぐこのラーデンという執事、なんでこんなどうしようもない貴族に仕えているんだ?


「ロエバルバ様、お怪我はございませんか?」

「な、何をしていた! これを見ろ! 私の服が血塗れではないか!」

「は、申し訳ございません」


わざとらしく、服の袖についた少しの血を見せびらかし、激怒するロエバルバ。その一方で執事のラーデンは無表情のまま、謝っていた。なんだかこの執事、本当にロエバルバを守る気があるの? そんな気さへしそうなほど、主人に無関心に見えた。

それにしても何処が血塗れなんだか、ちょっと血が付いたくらいじゃないか。


「おい! アマネ! 今度こんな真似をしてみろ、速攻でお前の大切なこのガキの頭の中を炎で燃やしてやるからな!」

「!? きさま! もしそんな事をしてみろ! お前を一生をかけて地獄の縁で躍らせてやるぞ!」


アマネの表情が鬼の様に見えた。それほど怒りを露わにしているのだろう。僕はアマネにそんな顔をさせてしまう事が許せなかった。


「は、はは、そんな脅しは、き、効かない、か、らなぁ~」


ロエバルバ、震えているじゃないか。

でも、その前に執事が立ちふさがった事で、アマネは悟り苦渋の表情で、刀の白竜丸をラーデンに預け両手を頭に後ろで組み、抵抗の無いという事を意思表示した。


「そ、それで良いんだ! 今度こそ! 分かったな!!」

「ああ、」


顔が引きつりながらも、自分が優位にたったことで笑みがこぼれるロエバルバ。


「よ、よし! お前達、入ってくるがいいぞ!」


機嫌を少し治したのか、大きな声を出し、誰かを呼んだのだが、それに応え扉から入って来たのは、彼女達だった。


「君達は!」

「・・・・・・・」


僕の呼びかけに答えることはしなかったが、体がピクっと本能していたので、僕のことは判っているようだ。


「レリーア、カルナ! まずはお前達がこいつらの相手をしてやれ。そして快楽がどんなものなのかを教えてやるんだ!」


馬鹿ロエバルバの命令に、彼女達は、一瞬躊躇うものの、小さく頷くと、舞台上にいる僕の所にはカルナが、アマネの所にはレリーアが近づいてくる。

それにしても、なんだこの格好は? ロエバルバの趣味なんだろうが、彼女達、殆ど裸みたいな状態でほんの少しの布切れを身に絡ませている程度だった。

僕もちょっとドキッとしてしまうくらい、女性らしさを強調させる格好なのだが、それ以上に可哀想に見えてしまう。

だって、彼女達の顔、とっても辛そうだもの。


「そうだ、アマネは私の目の前に立つんだ! そこでレリーアにされるがままの姿を私に見せつけろ。ん? なんだその顔は? 少しでも変な気を起こしたらあのガキの頭が吹っ飛んでもしらんぞ?」


椅子に腰かけ、肩ひじをテーブルにつきながら、ニタニタと笑うロエバルバを上から睨みつけるアマネ。


「ロエバルバ様、先程の事もございます。この女にも魔縛鋼の鎖をしておいた方がよろしいかと」


ロエバルバの後ろに控え耳元で囁くように進言する執事のラーデン。


「そ、そだな。よしラーデン、鎖で手足を縛れ!」

「はい」


返事とともにラーデンは、準備良く鎖を取り出し、アマネを後ろ手にさせると、慣れた手つきで拘束していった。


「よし、これで大丈夫だな?」

「では、さっそく初めるんだ!」

「「はい、御主人様・・」」


どうでしたでしょうか?

またおこし下さい。

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