危険な出来事 2
マコトが恥ずかしい状態に!
投稿いたしました。
まぁ、これくらいの鉄の鎖なら、今の僕なら簡単に引き千切れるはず、だった。
う! んんんんんんんんん!!!!
「ハァ、ハァ、ハァ、ち、千切れない?
「もう一度僕は両手で持つ鎖を確認した。これって、鉄じゃないのか?」
それは、赤みを帯びた金属に見えるけど、微かだけど淡く光っているようにみえる。それに少し熱を持っているような、温かく感じる。
「そんなことをしても千切れるわけがないだろ?」
鎖をジッと観察していると、木の陰から人が一人ゆっくりと現れた。
「あれ? どこかで見たような?」
僕はその人物に見覚えがあった。記憶が無くなる前とかじゃない。ごく最近見たんだよ?
「んんんんんんんんんんんんんんんんん? どちら様でしたでしょうか?」
考えても思い出さない。というよりこの顔見てると、何故かいやあ~な感じがして、思い出したくないって思っている?
「はっ! 人を馬鹿にするのが得意と見えるな! 私を忘れたとは言わさんぞ!」
「んんん? ん? あああーあ!!? 思い出した! あの、前髪斬られたおじさんだ!」
「誰が! おじさんだ!! 私はこう見えてまだ18歳だ!」
あ、やっぱり自分でも、こう見えてと言うことは、それなりに老け顔というのは自覚があるんだ。
その若さで、頭が寂しくなっているもの。
「それで、僕を捕まえてどうしようっていうの? まさかアマネに変な要求とか、しようってわけじゃないよね?」
僕は、わざと落ち着いて話すようにした。現状は良い状況とは言い難い。結構追い込まれてしまっているよね?
どうしても、この鎖が切れない。あの大型魔獣を一撃で倒した力があれば、普通の金属なら千切れるはずなのに・・・このままじゃアマネに嫌な事をさせてしまうことになる。それだけは絶対に阻止したい! だから今は少しでも話を作って相手から情報を引き出さないと・・・
「最初は、な。あの小生意気な顔を足蹴に出来たら、さぞ面白いだろうな? と、思ったんだが、お前を見ていたら気が変わった」
僕の方に近づいて、ほぼ真下まで来た、おじさんが上を向いて舌なめずりしているのが見えた。
ぞぞぞっぞおっぞぞぞぞぞ!!
い、今お尻の辺りから頭のてっぺんに向かって、寒気が走った!
「なかなかに、良い眺めだぞ?」
ぼ、僕を見ている! 真下から・・・?! 今、あいつ真下から僕を見上げて! 宿屋に着く前までは、どんな動きをしても良いように短めのスカートの下には、運動用の見えても良い、薄手のパンツをはいているのだけど、散歩だけと思って脱いでいたはず?!
「み、見るな! 変態! はげ! あっち行け!」
「誰が変態だ! 私には、ロエバルバという由緒ある名前があるのだぞ!」
くそ! 何が由緒ある名前だ!
僕は、なんとか、そのいやらしい視線から逃れる為に、手をお尻へと動かそうとするけど、鎖で出来た網につかまって宙吊りにされているので、殆ど動けないでいた。それどころか体をくねらせてしまい、その摩擦でスカートが余計にめくれあがっていってしまう。
「は! こいつ馬鹿だ! 自分でスカートめくっているぞ! それとも痴女なのかな?」
誰が痴女だ!
「まぁ、どちらでも私の趣味の範囲内だ」
趣味?
「私はね、博愛主義者なんだよ。どんな女性だろうと、愛を与えるのが趣味でね。君もまだガキ臭いとはいえ、一応女だからな、その対象にいれてあげようと思ったんだだが、全然問題ないな。私の趣味の一員に入れてやろう」
「そんなものの対象に勝手に入れるな!」
僕は、必死になり、鎖を千切ろうと頑張ってみるのだけど、どうしても体勢が悪いのか力が入らない。それにやっぱりこの鎖、普通じゃない。
「なんで、これ千切れないの?!」
「お前は馬鹿なのか? 普通の人間がこれをどうにか出来るわけがあるまい?」
「どういうこと?」
一応、普通の人間ではないはずなんだけど?
「この鎖は、神や悪魔でも切れんよ。その昔、神の力が薄まり悪魔が勢力を拡大していた頃、人類の高位種族達が作った、悪魔に対抗できる魔法合金、それを魔縛鋼というのだが、その鎖もそれで出来ていると言われている。だからちょっと魔操力があって力があったとしても、無理、無理!」
はあ? なんで悪魔対策が僕にも効くんだ?
「ちょっと、おじさん」
「なんだ? じゃない! おじさんと言うな!!」
やっぱり自覚があるんじゃないのか?
「この金属って神様なら、なんとかなるの?」
「そんな事は知らん! これを持ってきた商人からは、悪魔でも神でも拘束できる程の強度はあると聞いているだけだ!」
「商人? だいたいなんで商人が、おじさんに持ち掛けてくるんだよ!」
「私がアマネに仕返しがしたいと聞きつけた親切な者が、良い商人を紹介してくれていな、そいつが格安で譲ってくれたのだ! 人徳の賜物だな! はっはっはっは!」
何が! 人徳だよ! 絶対に怪しい! タイミングが良すぎる!
絶対に僕が神だと知って、こいつにこんな鎖を渡したんじゃないのか?
でも、いったい誰が? そもそも僕自身が神だなんて最近まで知らなかったし、記憶も無いのにどうやって知ったんだ?
何が何だか分からない!
「さて、そろそろ次の計画に移るか」
「おい!」
禿げ頭のロエバルバが呼ぶと、木の陰から二人の女性が姿を現した。
「あ、君たち」
彼女達は、街道で出会ったロエバルバの奴隷にされている女の子達だった。
「怪我はもう大丈夫?」
僕は、別に深い意味があったわけじゃなかったけど、彼女達の顔を見たら自然とそんな言葉で声をかけていた。
「そ、そんな、あなたは捕らわれの身なのですよ? なのに、何故先に私達の心配をして下さるのですか?!」
年上の確か、レリーアって言ったかな? 彼女が悲しそうな顔で僕に聞いてきた。
「え? だって女の子に傷が残っちゃ可哀そうだと思ってね」
あれ? 彼女ともう一人の女の子、えっとカルナちゃんだったかな? 二人ともきょとんとした顔になっている。僕、変な事言ったかな?
「あれ? それっておかしいの? 僕、変なこと言った?!」
ちょっと焦ってしまったけど、彼女達は首を大きく横に振ってくれ、笑顔を見せてくれた。
「あなた様は、女神様のようですね」
「え?」
「おい! 何をしている! 勝手に喋るな! あまり勝手な事をするとその首輪に魔力を送るぞ!」
僕達がせっかく会話しているというのに、このオッサンは!
「えっと、君達? その首輪に魔力を送るって、どういう事?」
「はい、ロエバルバ様と奴隷契約している私達のこの首輪は、契約主の魔力に反応して、大きさが変化するんです」
「え?! そんな事をしたら・・・」
僕は、その意味が何となく分かった。だからロエバルバを睨んだ。
「は! そんなに睨んでも、これはれっきとした刑罰の贖罪なんだよ! それより早くそいつのスカートをはぎ取って持ってこい! それをアマネに見せればどういう顔をするか楽しみだ」
「え!? そんなこと・・・ロエバルバ様、どうかお許しを! その様なこと私たちには出来ません」
「出来なければ、首を絞めるまでだ。でも安心しろ? 殺しはしない、ただお前達のような女性がのたうち回り、失禁するまでいたぶるだけだ。それを私に見せたいのなら構わないがな」
なんて、卑劣というか変態なんだ! このオッサン!
でも、彼女達、そこまで言われても動こうとしない。でもこのままじゃあいつに、彼女達が苦しみと辱めをうけることになる。
「君達、良いよ。僕は大丈夫だから。絶対にあいつになんか負けないから! でも今はあいつの言う事を聞くしかない。だからスカートの一枚や二枚どうってことないよ。それにいまでもめくれあがって見えちゃっているし、ね?」
うわ~! そうだった! パンツ丸見えだった! くそ~! 恥ずかしいけど我慢、ここは我慢だ!
僕の言葉に、彼女達は一瞬戸惑うけど、僕がさらに大丈夫だよと笑ってあげると、渋々鎖の網に捕らわれ身動きが出来ない僕のスカートに手を伸ばしてきた。
「初めから素直に言う事を聞いていればいいんだ! 後は私の屋敷にそいつを連れて帰るぞ! マコトとか言ったな? これからは一生私の屋敷の地下牢で暮らさせてやるからな」
そう言いながら、ロエバルバが踵を返し歩きだすと、その奥から2台の馬車と共に数人の黒装束の男達が現れ、僕の方に近づいてきた。
彼女達は、スカートを片手に持ち僕に小さく会釈をすると、急ぎ足でロエバルバについて行った。
とにかくなんとかしないと・・・・
読んでいただいてありがとうございます。




