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危険な出来事 1

マコト達に魔の手がせまる回。投稿いたします、

「さて、久しぶりに一人になった? ん? コルコネ村で助けられてから一人になるのは初めてかも? 記憶が無い以前は判らないけど、あれ以来ずっとアマネが傍に居てくれていたんだ・・・・ちょっと寂しかったりして・・・」


あ~! 駄目だ! そんな事で落ち込んでいても仕方ない。アマネにこれ以上心配かけられないからね。ここは僕一人でも大丈夫と言うところを見せないといけない。


「よし! ねぇプエルちゃん、この街の見どころとかあるかな?」

「え? え~っと? そうですね、時計塔なんかどうです? 町の中心にあって、一番の高さを誇る塔で、一般の方も上まで登れますから見晴らしが良くて観光名所にもなっていますよ?」


へぇ~、ちょっと行ってみようかな?


「ありがとう。それじゃちょっと行ってみるね」

「はい、出られるときは鍵を受付で預かりますので、声掛けお願いします」

「うん、ありがとう」


その後、僕は、外套を脱ぎ軽装のまま、憩いの止まり木亭を後にして街中の散策に出かけることにした。


憩いの止まり木亭を出て、暫く大通りを街の中心に向けて歩いていると、建物と建物の間から高くそびえる白い塔が見え始めてくる。僕はその塔に向かいながら、周辺の店や行き交う人々を眺め、考えていた。


どうなんだろう? 神様がいないこの世界でも人はちゃんと生きているし、生活もそれほど乱れているようには見えないな。それにこうして見ていると、色んな人種が一緒に暮らしているのも判る。一番多いのは人族で、その次に獣人族、ドワーフか? でも人族でも亜人と呼ばれる人種がいる。それが鬼族とか、吸血鬼族とかかな? アマネ曰くこの二族とエルフ族、そして竜族は、高位種族と言って、神に最も近い能力を持つ地上世界の最強種族と呼ばれているそうだ。

見た目は人族のそれとあまり変わらいそうなので、実際は会っているかもしれないけど判らずに終わっているという事もあるそうだ。

なので、じっくりと見ながら歩いているのだけど・・・・さっぱり分からなかった。


「さて、そろそろ、塔の広場に着くのかな?」


大通りを真っ直ぐ歩いて来た僕は、大きな建物で行き止まりになっているところを右に曲がり、少し歩いてから、今度はその建物横の大きな道を左におれると・・・


「おおお! す、凄い!」


そこは本当に広場だ。石畳で敷かれた床には色違いの石で文様で描かれ、それがいたる所に見られる。いくつかの噴水もあり、人々がゆったりと寛ぎ、その時を楽しんでいた。そしてその中央に見上げる程の四角柱の塔がそびえ、その天辺近くには大きな時計が4面に設けられてあって街全体を見渡していた。


「思ったより大きいな。これ登れるはずだけど・・・」


「おい! 聞いたか? 街の西にある森近くで超大型魔獣が出たらしいぞ」

「それ本当なのか!? そんなのがこんな街近くに出るなんて聞いた事ないぞ!?」

「冒険者がすぐに向かったらしいが、急だったので人でが足らなかったらしく怪我人や死人まで出たらしいぞ」

「それってまずくねぇか? その魔獣、街に向かうんじゃ・・」

「いや、一人の冒険者が街から遠ざける為に身を挺して誘導したらしいんだが・・・」

「その冒険者は?」

「さあ、未だに帰って来ないらしい。若くて綺麗な女性で白装束で変わった黒い長剣を持っていたって聞いたぜ」


え?


「冒険者組合は、捜索隊を出すと言っているらしいが、たぶん・・・」


何を言っているんだ? 

それってアマネじゃないのか? そう言えば冒険者組合から緊急の呼び出しって言ってた。

なんで、アマネ一人で・・・それより、アマネが・・危険なのか・・駄目だ、そんなの・・


「絶対に駄目だ!!」 


街の大広場で、小さな少女の顔がみるみる青ざめて行く。そのまま下を向きぶつぶつと独り言をつぶやいたかと思ったら、急に顔を上げ一点を見つめると一瞬でその場から弾け飛ぶように走り出す。この時、その可愛らしい顔は見る影もなく、狂気と化した酷い顔になっていた。


「な、何だよ、あれは!? 普通の人間の脚力じゃねぇだろ?!」


先程、マコトのすぐ近くで噂話をしていた、二人の男の内一人がマコトが走り去って行った方を見ながら、驚きの声を上げていた。


「まぁいいじゃねぇか。これでアマネに仕返しができるんだから、ちょろいもんだぜ」


二人の男は、ごく普通の服装でただの一般人を装っていたが、よく見ると、冒険者組合でアマネの悪口を言い、誠に咎められ、ローズ組合長の叱責をかった冒険者の二人だった。


「後はあの人が手筈通りしてくれれば、連絡があるはずだ。俺らは、憩いの止まり木亭近くで待機していればいいだけだ」

「本当に上手くいくのかね?」

「いけばそれで良いし、駄目なら駄目で俺らは逃げればいいだけだからな」

「そ、そうだな。上手くいけば、あのアマネを俺らが自由に出来るんだ。今からどんな辱めをしてやろうか、楽しみだぜ」


二人は、広場を後にして、次の計画の場所へと向かうのであった。



僕は、トルタの街の防壁を抜け、今、西の森の入り口付近にやってきていた。

どうやってここまで来たのか、どういう道を通ってここまで来たのか、一切記憶になかった。

完全に冷静さを失っていたようだ。


「でも、早くアマネの行方を確認しないと!」


先程よりは、頭で考えられるだけの理性は戻ったようだけど、アマネが危険だと考えると冷静には、いられない自分がいる事に驚いていた。


「思った以上に、アマネに頼りっぱなしだったんだな」


独り言呟きながら、ゆっくりと森の中へと足を踏み入れていく。


「・・・・・・・なんだ? おかしくないか?」


僕は、周辺の違和感に戸惑っていた。


「どういうことだ? 争った痕跡がない? ここじゃないのか?」


確かに西の森は小さいと言っても、人からみればそれなりの大きさだ。少し場所が違えば分からない事はあってもおかしくはないのだけど・・

僕は、違和感を抱きながらも、アマネへの思いの方が強かったので、もう少し森の奥へと向かってみた。


「・・あれは?」


その時、僕の前方にある倒れた大木の根元に見た事のある物が突き刺さっているのを見つけた。でもこの大木は、薙ぎ倒されたわけでなく、朽ちて倒れたものだ。

でも、遠目には、その物が黒い刀だという事は分かった。

僕は、咄嗟に駆けだし、その刀が刺さる場所へと移動した。


「ん? 何これ? 偽物?」


目の前に刺さった刀は、遠目にはアマネの持つ黒竜丸に似ていたが、こうして間近に見ると、細部の意匠や、刀身の文様がでたらめである事にここで気付いた。

それなのに僕は、それを確認しようと手に取ってしまったんだ。


ガッ、ガシャンンン!!! ジャララララララ!!


突然、足元の土が盛り上がったかと思ったら、僕の周囲を取り囲むように何かが、せり上がってきた! 


気を抜き過ぎた!


気付いた時には遅く、僕は細かく鉄の鎖で作られた獣などを捕獲する網に捕らわれてしまっていた。


「しまった! 罠か?!」


その鉄の鎖の網が僕を包み、吊り上げられてしまった。ちょっと窮屈な体制でぶら下がってる。身動きがとれない!

読んでいただきありがとうございます。

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