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冒険者組合 4

ドルガさんの弟さん登場です。


「うっわー! 凄く大きいね!」


僕は、どこぞの、お上りさんかと思える程、目を大きくし大きな声を出していたと思う。

今、思えばちょっと恥ずかし。


「ここは、ブルーフェルド王国の第3の都市、トルタと言います。周辺諸国からの街道が通り、南には穀倉地帯が広がる豊かな街ですが、なんといっても青の森に一番近い街で、魔獣や大型の獣の毛皮や肉、そしてたまに捕れる魔石などを得る為に、多くの冒険者が集まる、冒険者の街でもあります」

「へぇ、で、ここの冒険者組合に僕も登録するんだね?」

「はい、ここの冒険者組合は、ドルガさんが言われていました、現役を引退した女性剣士だった、ローズさんが組合長をされているので、何かと私を気に留めていただいておりまして、マコト様の事情もお話して協力していただこうと思っているんですよ」


僕は、肩から下げている刀、白竜丸を手にとり眺める。


「この刀の持ち主だった方だよね?」 

「はい、そうです。後職の剣士でAAクラスになった有名な冒険者だった方で、私に剣術を教えて下さった方でもあります」

「あれ? でもアマネの後職って治癒士じゃなかった?」

「はい。でもいつか天職が生かされ、愛しい主神様に見初められた時に、戦闘手段を知らないというのは駄目だと思ったので・・・」


急に顔を赤くしもじもじ体をくねらすアマネ。

一応ここ、人が多く行きかう、街の正門の真ん前って事忘れているのかな? 行き来する人が皆、アマネと僕に注目している。ちょっと恥ずかしいかも。


「ねぇ、お母さま。あまり目立つのは良くないから早く移動しようよ」


僕の肩の上に乗る、ルリのささやく言葉に同意の僕は、アマネの手を取り急いで正門をくぐろうとした。


「ちょっと待って君!」

「はい? 僕のことですか?」

「そうだ、身分証の提示を忘れているぞ!」


このトルタの街を外敵から守る石造りの防壁に作られた、街の住人や、旅人、商人、冒険者など、色んな人が通行する正門。その両脇には幾人かの守衛の兵士が通行する人が掲げる小さなプレートを確認していた。

あくまでも、歩きながら提示した身分証を見るだけで、いちいち引き留めているわけではないようだった。

ただ、商人の荷馬車や、大きな荷物を持つ人等には逐一検査をしているようだ。


「あ! すみません! マコト様。今、私の身分証を出しますので」


そう言って、アマネが懐から、掌大の金属プレートを出してきた。ちなみに懐から出すように見せかけて、空間収納から取り出していたりする。

この空間収納も習得には結構センスがいるらしく、持っていると判ると、商人や貴族がこぞって勧誘してくるらしいので、アマネはその事は隠しているそうだ。


「すみません。こちらのお嬢様は、私の連れなんですが、まだコルコネ村から今日初めて街に来たもので、まだ身分証を作成しておりませので」


アマネが言い訳をしていると、その兵士はアマネの身分証を見たり、僕の方を見たり、ルリの事も厳しい目で見たりしていた。

ちょっと気分がいい感じがしない。


「ふん、そうか。身分証は街の行政機関で発行してもらうのか?」

「いえ、それだと時間がかかりますから、冒険者登録をしようと思っております」


アマネの言葉に少し驚いているようだ。


「こんなガキがか? 小っこいし女の子じゃねえか。冒険者なんかになれるのか?」

こらこらアマネ! 駄目だってば! 眺めの羽織で隠れて見えないようにしているけど、いつの間にか刀を取り出して、今にも切りかかりそうな雰囲気を作っているよ!

僕は、兵士には見えないように、片手でアマネを制しながら、前に立って兵士と相対する。


「ごめんなさい、

お兄さん! 僕も昨日で13才になって成人したんで、早く夢だった冒険者になりたくて、お姉ちゃんに頼み込んだの。審査でだめだったら諦めるけど、僕頑張ってみたいんだ!」


僕は兵士に対して、これ以上ないだろうというぐらいの笑顔を作って話したんだけど、その兵士が鼻を伸ばして、僕のこと今度は変な目で見始めてきた。


「お、お嬢さん、成人しているんだ。どうだい俺が冒険者組合に口利きしてやっても良いぜ! そうすれば審査無しでも登録させてやるから、俺とつき合わねぇか?」


僕が成人していると言った瞬間にさっきまでガキとか言っていた兵士の態度が一変した。目つきが野獣のような鋭さと、いやらしさが混ざった気持ち悪い視線で僕を下から上になめまわし始めた。

ただ、その野獣のよりもさらに鋭く殺気に満ちた視線がその兵士に投げつけられた。


「ひっ!!」

「その首から上、必要ありませんね?」


アマネの地獄の使者かと思うような、冷たく鋭い言葉が兵士に投げつけられ、今にも気絶しそうに見えるほど顔を青ざめさせていた。


「なんだ!? どうしたんだ!」


そんな膠着状態になった僕達の所に、大柄な体格の兵士がやってきた。

あれ? どこかで見たような?


「あれ? なんだ、アマネじゃねぇか。どうしたんだ? そんな物騒な表情して」


その兵士は、アマネの姿を確認すると、きさくな感じで話しかけてきた。

その声に、アマネも反応したのか、殺気を解き表情が穏やかないつものアマネに戻っていた。


「バルガさん!」


バルガさん? はてどこかで聞いたような?


「マコト様、この方はドルガさんの弟さんで、このトルタの街の警備隊の隊長さんをしている方なんですよ」


アマネが嬉しそうに紹介してくれた。

どうりで、見た事ある気がしたんだ。でもドルガさんい比べて獣率が低くないか? やっぱり都会にいると垢抜けるのかな?


「初めてお目にかかります。マコトと言います。コルコネ村ではお兄さんのドルガさんにとっても良くしてもらって感謝しています」

「これはまた丁寧な挨拶だな。アマネ、この方はどっかの貴族様なのか?」


そんなに丁寧に言っているつもりはないんだけどな?


「いえ、貴族よりもっと高貴なお方です」

「ちょ、ちょっとアマネ!」


そんな事、サラッと言わないで! 不信に思われるよ!


「あ! いえ、すみません! 言い間違えました! 私にとって命より大事なお方です」


それはそれでどうなの?


「まぁ、分かった。とにかく凄い女の子なんだろ?」

「はい!」


それで良いのですか?


「それと、そのマコトさんの肩に乗っているのって、精霊様なのか?」

「そうよ! 私こそ偉大なる青の・」

「わぁああああ!! ルリ!」

「き、木の精霊のルリよ!」


ほら! 今度は、難しい顔でこっちを睨んでいるよ。


「分かった! そういう事だな! がははははは!」


どういう事です?!


「それにしても、俺の部下が失礼な事をしたようだな。すまなかった」


バルガさんは、そう言って僕に対して深々と頭を下げられた。一応、僕って神だけど、その正体を知っているわけでもなく、ただの子供に、地位のある人が頭を下げるなんて、簡単には出来ないことだよ。


「そんな、バルガさんが謝ることじゃないですよ。実害があったわけじゃ・・まぁ、ちょっと視線が気持ち悪かったですけど、それだけですから。それに謝られるのなら、そちらのお兄さんだと僕は思いますよ?」


バルガさん、僕の話を聞いて少し驚いた顔している。


「だ、そうだ。 ほれ頭を下げてちゃんと謝るんだ! でないと今度こそ俺がクビにするぞ?」


あ、この場合のクビは、警備隊を解雇されるっていう意味だと思う。


「は、はい! も、申し訳ありませんでした!!」


警備隊の兵士のお兄さん、バルガさんの睨みに青ざめて、額が膝にぶつかるんじゃないかと思う程の勢いで、頭を深々と下げてきた。


「マコトさん、これで良いかな?」

「はい、これに凝りて、真面目にお勤めに励んでください」

「は?! はい! 頑張ります!!」


何故か、顔を赤くして逃げるように走り去って行った。何だったんだろう?

それに、アマネがまた刀に手を掛けている?


読んでいただいてありがとうございます。

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