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冒険者組合 1

旅立ち。投稿致しました。是非読んで下さい。

「ねぇ、ルリ?」

「何? お姉さま」

「さっきの、その、マコト様がされた事だけど・・・」

「お姉さまも、ですか?」

「じゃあ、ルリちゃんも?」

「はい。あれは気持ち良かったです!」

「そ、そうね」

「あれ? アマネお姉さまも気持ちよくなかったです?」

「え! その・・気持ち・・・・良かった」

「ですよねぇ~! 絶対にまたしてもらいましょうね!」

「そ、そうね、うん、そうね! あんなに気持ち良かったのって初めてだった! こう、体の芯から疼くような、体の中を突き抜けるようなあの感覚・・・さすがマコト様です! 絶対にまたしてもらいましょう!」

「うん! 賛成!」


今、僕達はコルコネ村の正門の前にいるんだけど、後ろの方で、アマネとルリが二人で変な話で盛り上がっていた。


「マコト様、あの二人は何の話をしておりますのじゃ?」


マリア村長が不思議そうな顔をして、二人の盛り上がりを気にしている。僕にも全然分かりません。

僕は首を横に振って分からないと表現すると、マリア村長はため息混じりだけど、どこか嬉しそうにアマネの事を見ているような気がした。


「マリア村長、アマネがどうかしたの?」

「え? いえ、あんなに表情豊かに笑うアマネを見られて、少し嬉しくなりましてな」

「そんなに珍しい事なの? 僕と居るときはたいていあんな感じだけど?」


そしたら今度は僕の顔を見てマリア村長は微笑み出した。


「マコト様、あなた様が新しい神で良かった。アマネを見つけて下さって本当に良かったですじゃ」


頭を深々と下げる。


「ど、どうしたの? 別に感謝される事でもないと思うんだけど?」

「そんな事はございませんぞ! 前の神がこの世界を投げ出し隠れられてしまったせいで、どれだけの人類が不幸を背負わされたことか。その最たるものが、アマネのような巫女達なのですじゃ。もしマコト様が前のエルデリード神と同じ様に怠惰な神ならば、もっと不幸な事が起こったはず、でも違ったのですじゃ。マコト様は皆を幸せにしてくださる神、あのアマネの顔を見ればすぐにわかりますじゃ。ですから感謝申し上げたいのですじゃよ」


また深々と頭を下げられるマリア村長に、僕は気恥ずかしくなった。どちらかというと、僕の方がアマネに助けてもらってるのに、そんなふうに言われるとねぇ。


僕が恥ずかしそうに俯いていると、アマネが僕のところにやってきた。


「マコト様、どうかなさいました? お腹でも痛みますか?」

「ううん、大丈夫だよ。でも神様でもお腹をこわすこともあるのかな?」

「そう言われるとそうですね? でも注意することにこしたことはありませんから、変な物を口にしたり、お腹を冷やさない方がよろしいですよ?」


なんだか、だんだんアマネがお母さんに思えてきた。まぁこんな感じも悪くはないいけどね。


「さて、そろそろ出発しようか?」


東の空がかなり赤みがさしてきて、山すそと空の境が明確になってきていた。僕たちは、村の人達にあまり会わないよう、早朝もかなり早い時間に村を出ることにしていた。

僕が村を出るのは必然的な事だけど、それにアマネがついて来るとなると、色々詮索される事になりかねないし、まだ、僕が神だということはなるべく隠しておいた方がいいと思ってだ。

なので、今、この場所に居るのは、僕とアマネ、ルリと、僕が神だと事情を知るマリア村長の4人だけだ。


「あ、言い忘れてた。色々旅の準備を用意していただいてありがとうございます。特にこの服、とっても動きやすいですし嬉しいです。ただちょっと恥ずかしいですけどね・・・・」


そう、僕は村長から旅に出る前に幾つかの服と食料や金銭を幾らか戴いていた。その中でも今着ているのは、このコルコネ村の服装に似て、前で重ね合わせる上着に、ピッタリとした感じのちょっと短めのスカートで、その上から後ろが長めの外套を羽織る形になっていた。外套も頑丈なものらしいけど、結構軽いし、服装も所々魔獣の表皮で作られたガードであてがった軽装な感じに仕上がっていてとても動きやすかった。

ただ、ちょっとスカートが腰にピッタリとした上に短めだったのでちょっと下半身が恥ずかしい気がしていたんだけど・・・


「マコト様ほどの美少女女神は、これぐらいの可愛らしいスカートの方が絶対に嬉しい、じゃなくて、お似合いです!」


と、アマネの半ば趣味? なのかな、その言葉に押し切られたので仕方ないと諦めました。

それと他の荷物は、アマネが空間収納の魔法を習得しているという事なので全部収納してもらっています。

なるほど、それで急に刀が表れたりしたんだ。

僕も習得できるか頑張ってみよう。これって凄く便利だもんね。

ちなみにルリも同じ様な服装を作ってもらいました。僕が白を基調として全体に白く、そこに赤や錦糸で縫われている。アマネが白を基調に赤のスカートに赤いブーツ。ルリは白を基調に緑色が多く取り入られている。


「お~い! ま、まにあったぞ!!」


あれ? 重たい体をドシンドシン言わせながら、ドルガさんが僕らのところに走ってきた。


「ドルガさん、どうしたんです? そんなに慌てて?」


僕たちのところに着いたものの、急いで走ってきたせいか、ゼーハー、ゼーハー荒い呼吸で両膝に両手を乗せ、かがんでいたので、声が出せない状態だった。

暫くして、呼吸が整ったのか、背筋を伸ばし僕を正面に見てきた。


「これを渡したくてな探してたんだが、中々見つからなくて手間取ってしまったぞ」


そう言って、僕の方へひとふりの刀を差し出してきた。


「これって、アマネの刀に似てるけど?」

「ああ、アマネのもそうなんだが、昔わしが冒険者をしていた頃知り合った女性から貰ったものなんだよ。その女性も天職が巫女だったんだが、アマネと同じ様に天職を真っ当出来ずにいてな、それでも冒険者を続けて後職で掴んだ剣士を極めた凄いお人だったんだ。その後大きな怪我をして、現役を引退したのが10年前だったんだが、その時にはアマネがこの村に拾われて居ることを知っておってな、将来使う事があるかもしれないと、二振りの刀を預かっておったんだよ」

「その一振りが私が使わせていただいている、この黒龍丸です」


いつのまにかドルガさんとの話しを聞いていたアマネが、いつも使ってる刀を手に持ち前に出してきた。


「でだ、もう一振りの刀、白龍丸をマコト様に使ってもらいたいと思って持ってきた」

「え、でもドルガさんが預かった物で、アマネに託すための刀なんじゃ?」

「わしが持っておっても宝の持ち腐れじゃからの」

「私もこの黒龍丸があれば十分ですから、それに刀は降るってこそ価値を発揮します。どうかマコト様が使ってあげてください」


アマネが小さく頭を下げる。ドルガさんがそれに合わせて僕へ白龍丸を差し出して来る。

ここまで言われたら、遠慮するのも無礼だし、ここは素直に使わせてもらった方が良いよね?


「わかった。じゃあ使わせてもらうね」


僕は白龍丸をドルガさんから受け取る。

お、ずっしりとくる。この重みがこの刀の性能を現しているようだ。

少し興味が出たので、僕は片方の手で鞘を持ち刀身を見ようと抜いてみた。

・・・・・・「あれ?」


僕はめいいっぱいに手を伸ばしてるんだけど、刀が鞘から全て抜けなかった。


「う~ん! だ、駄目だ手が短くて抜けないよ!」

「ぷっ」

「ア・マ・ネ、今笑ったね?」

「い、いえ! ふ、ふふ!」


あ~あ、お腹を抱えて目に涙を浮かべてるよ。でも必死に声には出さないところが健気。でもそこまで可笑しいい?

あ、マリア村長とドルガさんまで、少し離れて後ろを向いてる。どうみても肩が震えてる。


「別に良いもん、いざとなったら鞘を投げ飛ばすもん!」

「は、はい! そんなマコト様も世界一可愛いです!」


フォローになってないよ?


「お母さま、そろそろ陽が昇るよ。皆が起きてくるから出発しないと」


一人笑ってないルリが声をかけてきてくれた。


「あ、本当だ。アマネそろそろ行くけど、最後にマリア村長に挨拶してくるんだよ」

「は、はい」


笑顔だったアマネの表情が少し硬くなった。


「ババ様」

「ふっ、何しけた顔してるんだい。そんなんじゃあ、マコト様に愛想つかされてしまうぞ?」

「だ、大丈夫です! マコト様はそんな事しません!」

「ふふ、信頼してるんだね。良かったじゃないか。これでわしも安心出来るってものじゃ!」

「ババ様・・・」

「また、辛気臭い顔になってるよ」

「ババ様、でも、でも・・・」


アマネの瞳から今度は違う涙が一滴、流れだした。

そんなアマネを背伸びをしてマリア村長が抱きしめていた。


「神様を信用していない者いるし、高位種族の連中もどう出てくるか分からんが、しっかりお守りするんじゃぞ?」

「・・・は、はい・・」


マリア村長は、アマネの頭をポンポンと優しくたたくと、自分から引き離す。


「行っといで! マコト様と一緒にこの世界良き世界へと導くんじゃ!」

「・・・はい! 今まで育ててくれてありがとうございました! 必ずマコト様を立派な成神となるまでお守りします! マコト様が成神となったその時に、また戻ってきますね!」

「・・・ああ、待っとるよ」


マリア村長がもう一度アマネの肩を押すと、その反動を利用したようにアマネが僕の方へと歩きだした。


「マコト様、アマネを頼みますじゃ!」


その言葉と共に大きく頭を下げるマリア村長。それに合わせてドルガさんも直立不動になる。


「マコト様、俺たちの事覚えておいてくれよ! その刀大事に使ってくれ!」

「当たり前ですよ。これだけお世話になったんですから忘れるわけがありません。この刀大事に使わせてもらいますね」

「ああ、ありがとうよ!」


そしてドルガさんも深々と頭を下げられた。

暫くの間二人は頭を下げたままだったが、ようやく顔が見えたところで、僕達も一礼してから、踵を返し外へと向かって歩きだす。何度か振り返りながら二人の姿を確認し、さらに前へと進む。そして二人の姿が見えなくなった。


「さて、マリアちゃん、また会えると思うか?」

「・・さあね、神様と巫女様だからね。あの方々は永遠に近い時を過ごす存在じゃからの、わしらの時間では足りないじゃろう」

「そうだろうな。それじゃあ年寄り同士で、仲良くやっていくしかないな」

「だれが、馬鹿ドンと仲良くしなきゃいけないんだい!」

「つれないなぁ、マリアちゃん」

「その呼び方すんじゃないよ!」


二人はいつまでもマコト達と別れた村の正門前で、話し合っていたそうだ。


また、読んで下さい。

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