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現代魔王の世界征服  作者: クマさんの腹筋
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が出来たらいいなと思いつつバイトする。

「それじゃ、みんな楽しみな通知表返すぞー」


担任の金やんが嬉しそうに言ってくる。

通知表を見て自分の成長がわかると、みんなわくわくしている。


「私魔法適性がついてる!」

「俺も!」

「あたし卒業までにランク2いけるんじゃないかなー!」

「それなら私はランク3!」「俺も!」「私はランク4にしようかな!」



「みんな優秀で先生嬉しいわ」




世界にレベルアップシステムが生まれたのは20年前のことだという。




21世紀前半にあらゆる情報を高度管理する技術は発達し、健康を管理する技術が発達、健康技術を越え能力を数値化させることに成功。ステータスという形で数値化した。


ステータスの上昇を観察した結果、ある一点を越えたときにステータスの急上昇が見られた。その特異点を越えたことをレベルアップしたと発想したのは、想像出来る。



つまり想像が現実に追い付いた、いや誰かの妄想が現実に追い付いた。

それどころか、妄想が現実を追い越したといえる。



レベルアップシステムにより世界は変わった。

様々な技術はスキルと呼ばれるようになりスキルレベルにより管理出来るようになった。


スキルレベルが上がりやすい人は向いている、上がりずらい人は向いていない。ということになる。



・・・わかりずらいって?



例えば、料理スキル。

料理自体はほとんど誰でも出来る。作り方がわからなくても本やネットで作り方を調べればいいし、難解な料理書を解読できれば高レベル料理人の熟練したスキルで作られた料理をある程度再現できる。



再現されたものが美味しいかどうかはスキルレベルで図ることが出来る。

どんな道具を使っているか、塩を入れるタイミング、どんな塩を選ぶかなど。

気が遠くなるほど細やかな選択を出来て、先人の書いたレシピ以上のものも産み出すこと可能性がある者が高レベルの料理人になれる人。


見た目が似ていて、味も美味しいもの。これくらいの再現が出来る者が料理適正があり それなりのスキルレベルに達せられる人。


見た目が似ていて味が美味しくない者、見た目も味も美味しくない者、そもそもその通りに作れない者。彼らが適正の無い者だ。



大体の人間は死ぬになるまでに1~2個のスキルはスキルレベルは5くらいになり、他はスキルレベル3~4くらいになる。



学生の時はレベル適正を色々探し、レベル2を目指す。就職してスキルレベルを上げていく。

そのときに大抵の人はスキルレベルに合わせた仕事を選ぶ。

様々にあるスキル適正、その数値の高さが就職の目安になるわけだ。

みんな自分にあった仕事をしたい、就職先もスキル適正が高い学生が欲しい。


winwinってやつだ。

外れが少なくなったが夢が無くなった。


なにせどんな不良でも10はスキル適正があり、多ければ50もスキル適正がある優等生もいる。




なのに・・・




「はぁー」


夏休みを間近に控えた最終日。

1学期を終えた俺は渡された通知書を手に憂鬱を持て余していた。


「ランク0ってなんだよ。1ですらないのか?普通1つけるだろ。ここの教師は将来有望な生徒の成長を妨げるつもりか?」




そう、誰でも10個は適正があり優等生は50個以上持っているスキル適正。


俺はスキル適正0という偉業を達成した。

そもそも学生はスキル身につける。スキルレベルを上げるという段階ではばく

基本的に適正があるかを発見する程度。


大学にいき適正のあるスキルに基づいたカリキュラムを受ければスキルを発現する事もあるという。



「これでランク5を目指すなんて夢のまた夢だな・・・」


ランクとはー平たく言えばスキルレベルによる人間の格付け。

とはいっても、誰でも基本的にはランク3になれる。ランク5はプロフェッショナル。ランク2はアマチュア。

俺たち学生はみんなランク1。アマチュアですらない。

まぁ、たまに天才がいて10代でランク5になるやつもいるけど。そんなの夢のまた夢。



とはいっても俺も男だ、ランク5になり女の子のモテてモテてモテまくりたい。そして1流の会社にはいり、自分で仕事はせず人に任せて偉い顔をして過ごしたい!


建前だがランク5になり社会に貢献できる人間に・・・なんて今さら考えても遅いか。


はは、1つすらないんだぜそりゃランクも0になるよな。

いつも授業中に麻雀してる不良達も聞いたら10以上スキル適正あった。

あいつらにあんな動揺させた顔させたのはきっと俺くらいだと思う。

不良でも目が泳ぐんだな、ははは。目が泳ぐオリンピックがあれば金メダルとれたんじゃないか。


目泳ぎバタフライ金メダルとか。

目泳ぎクロールとかな。


そうして現実逃避しているなかで、終業のチャイムがなり夏休みに入った。



早いやつはもう推薦で大学を決めてるし、就職組も決まってる。

もう進学も就職スキル適正次第のこの世の中で俺は決めることすら出来ない。


「はぁー」


本日何度目かわからないため息を付き、本屋で立ち読みをして、川原を走る美人陸上部の太ももを眺め、その後偶然会った不良行きつけの喫茶店に一緒に行きその店のマスターに珈琲を奢ってもらい



夕焼けのなか帰っている。

どうしたものか。




あぁー誰か養ってくれないかなぁー




「ただいまー。」

「お帰りーカイ。」


「・・・なんでいるんだ?」


俺の家に当然のようにいて、帰ってきた俺のことをお兄さまと呼び猫耳を着けて挨拶をしてきたのは妹ではなく幼馴染みの都。生意気だが活発で可愛い、年下で本当に妹のように思える大事な存在だ。


「お兄さまなんて呼んでないし猫耳も着けてないわよ気持ち悪い。」


心の声を聞くなよ!


「大事な存在の言葉に免じて許してあげるけどね。」


こ、心のプライバシー返せよ!



大事な存在とはいっても本当に妹のようで付き合うとかではない気がする。それは都もそうだと思う。家族というか。

こいつは顔は可愛いしあっという間に嫁にいってしまうんだろうなぁ。

そう考えたら嫌だなぁという位の距離感。


俺の好みでいうと、同じクラスの先月転入してきた可憐な転校生みたいな綺麗系いいなぁ。


それはともかく。


「で?」

「で?ってなによ失礼ね。」

「いや、家に帰って幼馴染がいたら何の用か気になるだろ。」


というか同じクラスで俺の方が先に帰ったはずなのになんで先にいるんだ?


「あんたには興味ないわよ。今日はリカちゃんと一緒にドラマ見る約束してるの!」

「母さんか・・・」


母さんとこの幼馴染の都は仲がいい。

俺がいなくても遊びに行っているらしい。


「お帰り。カイ。」

「ただいま、母さん。」

「都ちゃんそろそろご飯だからね。」

「わかったーリカちゃんお夕飯何?」


息子よりも幼馴染を優先する母。

娘のような会話をしている幼馴染。

キャイキャイ騒いでいる二人を置いて荷物を置きに自分の部屋へ行き

着替えてリビングに降りてくると父がいた。


「お帰り。今日は早かったんだな。」

「ただいま、父さん。」


父は海外の人の血が入っているのか顔の彫りが深く

髪も白髪混じった金色だ。なかなかなナイスミドルだと思う。

アジア人以外の血が入っているかは明瞭だが聞いても教えてくれず、子どもには聞かせられない複雑な事情があるんだと思う。


しばらくして我が家は夕飯になり、明日から夏休みであることや母さんはテレビの話をして都は夏休みに何するかを話している。食べ終わる頃に都と母は一緒に皿を洗い、ドラマが始まると一緒にソファーに座り見始めた。


なんでもない平和な時間が過ぎた。



俺は二階の自分の部屋に入り机に向かい合い早2時間。

いつも通りの落ちこぼれた日々で明日から夏休みで

スキル0だと就職も出来ないからこの夏で死ぬ気で勉強をして公立の大学に入って



なんて考えつつも全然ペンが進まない。

そうしてグダグダしていたら扉がノックされた。


「カイ、今いい?」

「うん、いいけど、なに?」


母さんだ。今勉強しようとしてたのに!やる気が無くなった!


「ちょっと話があるんだけど、、準備ができたら下に来てくれる?」


その一言に俺は戦慄を覚えた。

きた、、、完全にお説教だ。


「それじゃあ、、」

そういい母が階段を降りていく音がする。


母の気持ちははわかる。高2のこの時期に0だぜ。そりゃ親も怒るわ。

いや怒るならまだいい。泣かれたらどうしよう。

さすがに嫌だなぁ。



・・・よし、腹を決めた。いっちょズバッと怒られて!明日から勉強頑張ろう!



階段を降りるとリビングのテーブルに父さんと母さん、さらに雪が神妙な面持ちで座っている。



なぜ都まで?

いや、気まずいから成績の話なんて都の前ではしたくないんだけど、、、

でも。鬼気迫るようなこの場の空気。何か一言でも間違えたら家を追い出される気すらする。黙っとこう。



「来たけど、、、」


「ああ、座ってくれ。」



重たいこの空気。

成績の話じゃないのか?まさか父さん首になったんじゃ



「成績表見たよ。」


成績の話でした。はい、そうですよね0なんて前代未聞な数字を見たら鬼気迫りますよねすいません。


「それでだ、お前に一つ言っておかなければいけないことがあってな。」


今までにないほどの重圧を感じる父の言葉。



「カイ、あのな」


重苦し空気の中、父はこう切り出した。




「カイ、あのな。お父さんは実は魔王だったんだよ。」


は?



「カイ、驚かないで聞いてね?お母さんは本当はエリート悪魔神官のネクロマンシー部隊の隊長だったのよ。」


はぁあ?


はぁあああああ?



「カイよ、お前が優秀だったらこのまま何事もなく過ごしてもらってもよかったんだけどな。どうやらそうでもないみたいだし。

どうかお父さんお母さんの悲願だった世界征服を代わりにしてくれないか?」




はあああああああああああああ?



「え?え?え?なに?え、なんだって?」


言っている意味が分からない。

魔王?悪魔神官?この21世紀に何言ってんだ?

聞き間違い?



隣を見ると都がいやに冷静に聞いている。

「み、都二人はなに言ってるんだ?どういうことなんだ?というかなんで都そんな落ち着いてるんだ?パジャマ新しいの買ったんだな?よく似合ってる。」


俺は努めて冷静に都に質問をした。

というか俺以外の3人は極めて普通なのだ。

聞き間違いか?あれドッキリか?さっきの話が本当ならこんな変な打ち上げ話に都がいるはず無いもんな。


「もう、カイったら落ち着いてよ。慌てちゃっておかしいの。ちょっとは冷静になりなさいよ。」

「冷静にっていったって!」。


「急に自分の理知外の言われたとしても家族なんだし、まずは受け入れなきゃ。」

「そうだな・・・?本当に二人は魔王と魔王夫人の悪魔神官なのか、、、?」

口に出してみてももはや自分が何を言っているかもよくわからない。


「というか都今の話しっていたのか?!

事実だとして、なんでお前が先に知ってるんだよ。」


いつものやり取りとは話の次元が違う!

重大すぎる!




「え、知ってたよ。だって私はあんたの婚約者だし。」



ぷぴー。



こいつらは何を言ってるんだ。


すべて何かの聞き間違いかもしれない。というか全員酔ってるのかもしれない。

俺は冷静な頭で冷静に物事を考え冷静に判断をした。


「オケまるー!てへっ!じゃあとりあえず僕もう寝るね!お休みんこ!」


俺はいつも以上に冷静に3人にそう言い残し努めて冷静に自室に帰り鍵を閉め

念のため勉強机を扉の前におき本棚を倒し扉を鍵を使っても開かないようにした。



そしてそのまま冷静な俺は冷静にいつも通りにベットに潜った。

さて、現実にそろそろ帰ろうかな!


明日になればいつもの生活が戻ってきてるはず!

そうして俺は電気を消し瞳を閉じた。

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