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転生者の魔術改革(仮)  作者: みの字
幼少期
7/30

冒険者になるために

 その後、エドワードは冒険者について様々なことを教えてくれた。冒険者は冒険者ギルドで様々な依頼を受け活動する職業だ。商人や貴族の護衛、魔獣や魔族の討伐、ダンジョンや魔獣から取れる資源の収集などその依頼は多岐に渡る。実績応じて冒険者は評価ポイントを得て、そのポイント数が上位何%にいるかで評価される。

 上位1名がSSSランク、上位1%でSSランク、上位2%でSランク、上位5%でAランク、上位10%でBランク、上位25%でCランク、上位50%でDランク、上位90%でEランク、その他はFランクとなる。ランクが上がるとより多くのポイントが貰える依頼を受けられるようになるため、このランク差には大きな壁があるらしい。もっとも、その分難易度は上がるそうだが。よし、頑張ってSSSランクを目指すのだ!…と思っていたのだが、衝撃の事実を耳にする。

「しかし、魔術師で成功する冒険者はごく一握りだ。さらに言えば過去にSランク以上になった魔術師はいない。魔術大国と言われる我が国ペンドラゴン王国でも、アーサー氏がAランクとなるのが限界だった。」

 なん・・・だと・・・。

「なぜ、そこまで冒険者で成功した魔術師が少ないのですか?」

「体内に内包する魔力は限界がある。だが、威力は弓よりはあるが決定的な威力はなく、すぐにガス欠。戦士のように鍛えていないために、長期に渡る厳しい戦いにはスタミナが足りない。と言った理由でパーティーの支援的な役割になることが多いためだ。」

「そんな…。」

 騎士隊でも牽制や火力支援などで運用されるらしい。

「だが、術式を読めるのであれば、時代は変わるかもしれんな?より効率的で高火力な魔術を使えるようになれば、魔術師の評価も変わっていくだろう。」

 そうだな…。俺が先駆者となって、魔術師の地位向上を行えばいいのだ。俺はやるぞ!

「しかし、冒険者は危険な職業だ。そのため、冒険者ギルドは12歳になるまで冒険者になることを禁じている。」

 ガーンだな。出鼻をくじかれた。

「以前聞いた話では、小さい子を冒険者にしていた頃もあるそうだ。しかし、死亡率が非常に高かったり、世間を知らないために騙される事が頻発したらしい。だから、マルコも12歳になるまでは、慌てず必要な魔術を開発したり、魔力の底上げをするといいだろう。神も世間一般は教えてくれないだろうしな。」

 世知辛い話だ。前世の記憶がある俺にとって、12歳でも幼すぎると感じる。12歳といえば小学校を卒業するぐらいだ。中学生に上がったばかりの子供が命をかけて戦うのはこの世界は些か子供に厳しすぎる。

「成人してからという訳にはいかないのでしょうか?」

「あぁ、そういう話もあるらしい。しかし、それは食うに困った事のない貴族のような意見だ。我が家はそこまで困窮していないが、貧しい農村だと12歳の子を養う余裕がない。働き、食費を稼いで来ねば餓死するのだ。」

「12歳から15歳の子は育ち盛りですからね。貧しい家庭にとっては重荷でしかありませんか…。」

「あぁ、そうだ。実際12歳に上げた時も餓死による死者数は増えた。これ以上年齢を上げると、年齢を上げることで防ぐことができる死者数を、餓死者が上回るとさえ言われている。」

 体のいい口減らしのように感じるが、ここは前世の様に裕福な国ではない。割り切るしかなさそうだ。

 しかし、12歳で冒険者になるのはエドワードの言うような貧しい子供だけでなく、成人する15歳までの小遣い稼ぎとして騎士隊を志望の子供もなるらしい。また、代々騎士の家系の子は直接騎士隊には入らず士官学校に通うが、そのような家の子は戦いの経験を踏ませるために、一時的に冒険者になるのを推奨しているらしい。だからか、世の中には子供の冒険者=貧しい子供という評価図式が必ずしも成立するわけではない。

「そういえば15歳になると働くか学校に通うか選ばねばならないのですよね?」

 そう。この世界は15歳になると、冒険者以外の仕事もできる様になるだけでなく、職業訓練やコネづくりのために学校に行くことができる。職業訓練なんかは現場でやってもよさそうなものだが、政治を仕事とする貴族や、騎士隊の指揮官、それに魔術師の様に、高度な知識や技術が必要な場合は、特に学校に通った方が良いと言われている。

「なんだ?学校に興味があるのか?」

「はい。12歳で冒険者になるのはやぶさかでは無いどころか、今から楽しみなのですが…。優秀な冒険者とコネを作るために冒険者が通うような学校があるなら、15歳になってから入学したいのです。」

 なんせ学校は同世代の男女が集まる場なのだ。学校生活はあこがれる。前世では働き始めると一気に女っ気がなくなり、俺は生涯独身となってしまったのだ。今生ではもっと美人にツバをつけておきたい。

「あるぞ。士官学校や貴族学園の様に国が運営しているのではなく、冒険者ギルドの下位組織の学校だ。貴族や騎士家系の三男坊向けだが、商人の子も通う事がある。冒険者を親に持つ子もいるらしいな。」

 なるほど、私立か。そんな学校もあるんだな。その学校は冒険者学校というらしい。そのまんまだな。

「では、12歳になってから冒険者となり、15歳になったら冒険者学校に入学、卒業後はまた冒険者となろうと思います。」

「いや、冒険者学校は10歳から入学できる。」

「そうなのですか?学校は15歳と聞きましたが・・・。」

「それは王立学校の習慣だ。冒険者ギルドは世界中に広がる民間組織だ。一国の習慣には囚われていない。それに12歳で冒険者になれるのにその後に学校にって冒険者について学ぶなんておかしいだろう?」

 まぁ、そりゃそうか。

「では、10歳になりましたら冒険者学校に行きます。」

「そうか。では準備しておこう。」

 エドワードは安い冒険者学校の学費を出すぐらいの余裕があるようで、入学を許してくれた。

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