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転生者の魔術改革(仮)  作者: みの字
幼少期
14/30

勉強会とマルコの身の上

 突然だが、イーノーの強い希望で俺は魔術について教え合う勉強会を開くことになった。人類の発展を促す事がレウコテアーの希望なので、俺が持つこの知識をみんなに広めてもらえば、俺はその役目を果たせるだろうと考えての事だ。

 教え合うとしたのは、俺はまだこの世界の常識や魔術の一般常識と言うものを知らないためだ。それに、やる気あふれる若者達が俺の知識を身につければ、いつか誰かが俺の先行くかもしれない。そうなった時、俺にも先の知識を教えてもらおうという算段だ。

 そして朝ご飯の後、受講希望者達はクロウリー家の一室に集まった。と言っても、俺の家族とイーノー、イリュオスだけだが。

「それで、どんな事をやるんだ?」

 これはエドワードだ。友達同士で勉強会をするので部屋を使わせてくれと頼んだ所、俺も参加させてくれと言われた。

「それは俺からもみんなに聞きたいです。どんな事を知りたいですか?」

 教え合う事は山ほどある。

「ふむ、術式言語の読み方は外せないだろうな。」

 まぁ、エドワードはそう言うだろうな。

「他には?」

「マルコお兄ちゃんが作った魔術の事を知りたいです!」

 この様に俺を呼ぶのはイーノーだ。いい加減、名前で読んでほしいのだが…。

「マルコ、俺は剣の技術を知りたい。」

 イリュオス!お前!魔術教室だっつてんだろ!貯蓄魔力量を持たないイリュオスは剣で冒険者になりたいらしい。そういえばイリュオスは俺達と遊ぶ際も、暇さえあれば走り込みをしている。真面目なのはいい事だが俺に聞かれても困る…。

「「「……。」」」

 ほら、場が白けた。

「…他には?」

「お兄ちゃんの事。」

 これはエミリー。「あ、私も」とかイーノーが手を上げて叫ぶ。我が妹よ、魔術教室だって言ってんだろ?と思ったが理由は割りと真面目な話だった。

「だって、魔術の知識を広めて人類の発展を目指してるのはレウコテアー様でしょ?冒険者になっ有名になるのも知識を広める手段。強くなろうとするのも私達を守るためなんでしょ?お兄ちゃん自身は何したいの?」

 俺は魔術について学べれば満足なのだが、この知識欲は前世の仕事柄だろう。どう答えようか…。ちなみにレウコテアー様の事を話していないイーノーとイリュオスは名前を聞いて驚いた顔をしているが、今はほっとこう。

「マルコの事は私も聞きたいわ。」

 これはアンナだ。

「マルコはホントに手のかからない子だったわ。夜泣きはしない、乳離れはすんなりと行くし、好き嫌いはしない。これだけだったらいい子だ済む話。だけど、気がついたらいつのまにか言葉や文字を覚えて、欲しいとワガママを言ったのは魔術の入門書だけ。変な子だと思っていたけれど、レウコテアー様の神託を得たと言う。もしかして今までのあなたの行動には何かあるんじゃないかしら?」

 はぁ。母上には隠し事できないなぁ。ほんとよく見てる。他のみんなは真剣に俺の言葉を待つ。

「はぁ、分かりました。ここに居るみんなには隠すのは辞めます。大小ありますが、既に一部は話してますからね、今更でしょう。」

 おお、と喜ぶ一同。俺はそれにただし、と言い皆の反応を治める。

「私の身の上はくれぐれも他言無用です。言っても信じてもらえないかもしれませんが、これは絶対です。あと、これはできればで良いのですが…。」

 と言い淀む。気が重い。これを言うと今まで良くしてくれた皆が離れていくかもしれない。そんな恐怖を感じる。

「話した後も、どうか今までと同じ様に…いえ、気持ち悪がらないでくれると嬉しいです。」

 今までと同じ様に付き合うのは無理でも、せめて俺を避けるようにならないで欲しい。

 そう言葉を絞り出して、俺は様々な話を始めた。

 前世の記憶を引き継いでいる事、科学技術が発達した前世の世界の話、その世界で過ごした前世の俺の一生、前世の俺の仕事内容、死んだ経緯、生まれ変わった経緯、術式が機械を動かす命令文と同じ事いろんな事を思いついた順に話した。まるで、前世で過ごした一生が俺の罪であるかのように、皆に許しを乞う様に告白した。話し終わった頃には、いつのまにか外は日が落ちようとしていた。

「俺の身の上の話は以上だ。今日はもう遅い、イーノーとイリュオスは早く帰ろう。皆が集まってくれるなら、明日続きをしようと思う。」

 イーノーとイリュオスは何も言葉を発する事なく頷いて帰っていった。その日の夕食は、いつもお喋りなエミリーでさえも喋ることはせず、とても静かで…。俺は悲しくなった。


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