第四幕 現実と幻実
お久しぶりです。フランです。やっと、やっと物語が動きかけます。かなり長文ですがゆっくりしていっね。
«博麗神社»
「じゃあ、説明していくわよ。まず何処から話しましょうか···。」
悩んでいる少女の様子を見かねて奥の金髪の少女が口を挟む。
「なあ霊夢、まずは自己紹介からじゃないか?」
「・・・それもそうね。」
「まあ、立ち話も何だ。こっちに来て座って話そうぜ」
「そうね。お茶入れ直して来るわ。」
霊夢と呼ばれていた少女は台所に消えていった。それを見て金髪の少女が声をかけてくれる。
「お前もこっち来て座ってな。話しはそれからだぜ」
「し、失礼します。」
金髪の少女に招かれるまま古そうだが光沢のある机~恐らく杉~に向かい腰を下ろす。俺から見て右側に金髪の少女、左側に、白髪の少女が座っている。しばらくして霊夢と呼ばれていた少女がお茶を持って来てくれた。全員にお茶を差し出してから俺の正面に腰を下ろし、お茶を一口啜ってから口を開く。
「じゃあ、まず自己紹介からね。私は博麗霊夢此処、博麗神社の巫女であり管理人。博麗の巫女と呼ばれているわ。まあ、その話しはまた後で話してあげる。んで、そっちの金髪が···」
霊夢が視線を動かし金髪の少女を見た。金髪の少女は霊夢より少し低いハキハキとした声で言った。
「私は霧雨魔理沙、困った事があったら私の店にきな。何でも解決してやるぜ!」
霊夢が細かく教えてくれる。
「魔理沙は何でも屋をやっているのよ。でも、そんなにオススメはしないわ。どうしても会いたいのなら魔理沙の家より、此処に来なさい。大抵此処に居るから。」
ため息混じりの声は霊夢の苦労が感じられる様だった。魔理沙の話しが終わったのを見計らって白髪の少女が話し始めた。
「私は魂魄妖夢といいます。白玉楼で庭師をしていますが今は訳あって此方に泊めてもらってます。よろしくお願いします。」
この中で最も丁寧でまともな自己紹介だった。だが、疑問は増えていく一方だった。俺の心を読んだかのように霊夢が苦笑いしながら聞いてきた。
「質問が多いって顔してるわよ。でも、先に貴方自身の自己紹介をしなさい。」
諭される様に言われ何気無しに十四年間使い続けた自分の名前を口にしようとして今更ながらにあることに気がつき絶句した。
「名前が思い出せない···」
三人は俺の言葉に驚きもせず当然の様に頷いた。
「そう。先に言っておくわ。この世界では、外から来た人間を外来人と呼び、外来人が記憶を失っているのはそんなに珍しいことじゃないのよ。」
「そう、なんですか···。じゃあ名前どうしましょう?」
「何かの拍子に記憶が戻るなんてこともあるから、思い出そうと努力しなさい。そんなに心配しなくてもすぐに思い出すわ。ところであんたたち、さっきからニヤニヤしてどうしたのよ。」
そう言われ二人の方に顔を向けると本当にニヤニヤしていた。魔理沙は笑いながら霊夢に言う。
「いやー、霊夢がそんなに外来人に優しくするのは珍しくてな。ついつい笑ってしまったぜ。なあ、妖夢」
話しを振られこちらも笑いながら優しく言う。
「はい。霊夢さんが人とこんなに早く仲良くなるのは珍しいですね。見てて和みます。」
今の俺達の会話のどこに和み要素があったかわ不明だが、妖夢は優しく笑うのみだった。霊夢は恥ずかしさのあまり赤面しながら話題を変えるためこちらに話しを振ってきた。
「そんなことはどうでもいいのよ!それより貴方、他に質問は?」
何から聞けば良いか、大いに悩むところだかまずは一番聞きたかったことを···。
「此処は?貴女はさっき"この世界„と言っていましたが此処はどこなんですか?」
一番したかった質問、それは今自分が立っているこの場所についてだ。霊夢はお茶を一口啜ってから話し始めた。
「まあ、まずはそこになるわよねー。後、”貴女”じゃなくて霊夢で良いわ。じゃあまず、この世界のことから話しましょうか。此処は幻想郷。幻想の者が住まう場所。」
意味をいまいち理解出来ずにただ言葉だけを繰り返す。
「幻、想、郷?」
いつの間にか三人からは笑顔が消え、真剣な空気が漂っていた。
「これだけは覚えておきなさい。貴方が此処にいるという事は貴方の現実が崩れ、壊れて始めているという事。貴方が此処に存在し続けるなら、いつか貴方の現実は完全に破壊され、幻実となるわ。そうなったら貴方はもう向こう側に存在し続けることは出来なくなるわ。」
俺はこの言葉を聞いたとき確かな戦慄を感じていた。俺はこの時から戦慄の道を進もうとしていた。その道の先に確かな道があるかを確認せずに···。
長文お疲れ様でした。如何でしょうか?次回も説明になる気がします。いつもどうりコメント等お待ちしております。
次回、~少女達~ 自分がどう有るかではなく、どう有りたいかだ。