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拡張版・終わりなき川  作者: 田中(1.2.3.4.5.6.7.8.10.12.14.15.16.17.18.20)バカ(2.3.9)、師匠(7.9.11.13.20)
第2章
6/21

暗黙

時計が止まると大体三十九秒でカチャカ

チャ留まっていてその動きが何かに似てた

んですよね。それがあるときふと「蜘蛛の

巣に囚われた虫」であると気づいたんです

よ。その時から私は蜘蛛が大嫌いになりま

した。巣を見るだけで吐き気がしてきて、

古い家や暗い道路脇などは避けるようにな

るほどでした。ある日、家の掃除をしてい

たらでっかい蜘蛛の巣を見つけたんです

よ。上の押入れの奥のほうの埃が溜まって

る所の宙に。とても驚きました。主はいな

いようでしたがとてもがくがくしました

ね。けれど、これをどうにかしてくれる人

物は自分の外にいなかたんですね、その時

は不幸な事に。超がつく程に蜘蛛の巣恐怖

症の私ですが一大決心して蜘蛛の巣除去を

行う事にしました。近くに裁縫の針が落ち

てたんでそれをつまんだんですね。それで

かき混ぜて蜘蛛の巣を壊してからめとろう

と思ったんですよ。判断を見誤りました

ね。そしたら、見事に針を巣に持ってかれ

ました。でも、蜘蛛の巣を壊したのには成

功したんですよ。支えの糸を切れたからな

のか、針の重みのせいなのか、針をからめ

とった巣はにゅーっと崩れていきました。

ひぃぃぃといった情けない声を私は出して

いましたね。にゅーっと崩れていくのに合

わせるように。何を恐怖したかわかりませ

んが次の瞬間には押入れを勢いよく閉めて

しまいました。お化けか何かにでくわした

ようなものです。わけがわからない恐怖で

したもの。怖い怖いとしか浮かばないので

その日は友達の家にお邪魔して気をそらし

ました。あれから、この事に関することは

何もないですね。針は今もほったらかしで

す。あの押入れを開けてすらいません。針

が蜘蛛の巣に絡まったまま地に落ちている

んですね。汚い埃の上に。

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