調和
在りし頃の情景が太陽の光に打ち砕かれていく。
邪な灰が雲に陰り刺々しい光が空を天球の端に追いやっていく。天上はヘドロと赤錆に侵されきっていた。
恥丘の如き山裾は押しつぶされ光が漏れ出し埋もれていく。母なる大地は澱んだ色に染まっていた。
この混沌に立ち尽くす者は夕日に導かれる。その円環の中の無を目指す。
ただ言えることは、「光と闇」に我を失い勝利の栄光を掴む者はいない。
☆
崇拝者はその肩を支え合った。
何かが空を包んで逃さぬ中でその先にある太陽をじっと見た。
風に吹かれたならその穂で拝み倒すしかない。
観測者は冷めた目で天地を見極める。
求めるように枝を伸ばすが日に当たることを常に嫌った。
だが照らされなければ枯れ果て、見られたものではない。
畜群はいつも地と共に生きた。
この惑星の地といえる全てを埋め尽くし沈黙していた。
とりとめのない流れに流されて時折波打たせるだけである。
黄金野原にあるのは光であり、残されたのは怒りであった。
人はこれに魅入られ美しいという――夜への恐れの為に。
ただ言えることは、「光と闇」に我を失い、全てが望みの色に染まるだけであった。
追記:
黄金野原にあるのは怒りであった。
一人のススキは頭を垂れ、群がり、身を引き、幾度も拝み倒す。
金に見合った造形を見せ、顫える時は顫え佇む時は佇み我が身で影を落とす。
光に希望を見出しながらも地に落つ房は豊かなものであった。
原はただ暗い色と焼けた色とでその身を波打たせてた。
押しつぶされた者もいるなら、低い姿勢で腰を上げる者もいる。
光の野原の多くの住民である、地を這う下衆であった。
星々の観測者は光に虚しく当たる。
大きくでしゃばるなら光に大きくぶつかる。さっと避けるなら小さく当たるしかない。
光がなければ生きれず、哀愁だけを身に溜め込み、そっと墜ちていくだけであった。
刺々しい円環の光は今日も山裾に押し掛り全ての色を押したおす。
その輪の中は全てを無の色にする穴がぽっかりと空いている。
ただ、地平線の彼方には少女の望む柔い色が密かに練り込まれていた。
月の暗黒面の様にかけ離れた夜闇のそれは絶望のない空間に通じていた。
だが、いつもの視線の遠くに留まり黄金野原に追いつくことはなかった。
あとは視界の全てが一色に染まるのを待つだけである。望みの色はなく……




