1/21
伝心
追伸
夢はまたいつか始まりを告げ、またいつか終わりを告げるーー。
人は夢を見る限り、いつかの夢の中で生きねばなるまい。仕方がないから、夢は夢で愉しめばいい。
一体、何を言ったのか分からなかった。距離もないのに声が夜闇に紛れていった心地がする。
そこでふと気付き、俺は少年を怪しんだ。黒闇々とし た中に佇む彼は背は低かろうが顔だけが闇に埋もれて いる。ただ見える手足は灰に塗れたように不健康な色をしている。
笑ったのであろうか――気味が悪いので早々に帰ることにした。彼が一度声を荒げたが、口もきかずに行くと追ってはこなかった。
その後、どういうふうに行ったかはわからないが、街灯に照らされた道に着き、そこを通って駅まで赴いたのは覚えている。
明くる日、小学校の同窓会があった。
いつぞやすっかり忘れていた街に平凡な思い出を重ねていると、あの少年が幼少時の自分に思えてならない。
何故、生きているのかーー今は諭されたようにそれらばかり考えている。