昼食のお兄様
時刻は午後12時。そろそろ昼食の時間。勉強をしていた私は、キリの良い所でやめ、昼食を食べるために1階へと降ります。そうしたら、いつの間にかお兄様は私の後ろに居るというのが、いつもの決まりです。
「ふぃっふぃ〜」
御昼もお兄様は御機嫌な御様子。この謎の言葉は機嫌が良い時のみに出るそうです。
「こんにちは、お兄様」
お兄様に御昼の御挨拶。
「あ、ちょっと。あ、ちょっと。あ、ちょっと」
そう言い右往左往をし、最終的に自席に着き何事も無かったかの様に振舞うお兄様。その後、昼食が始まります。
毎回この昼食時に、お母様はお兄様にある事を尋ねます。
「コタロウさん、明日は学校へ行く御予定はありますか?」
「っ!?」
お兄様はあまり学校に行かない御人です。たまに登校したりはするのですが……。それを心配し、お母様は毎回お兄様に御予定を聞いています。
「そろそろお友達も出来た頃でしょうか? お友達もコタロウさんがあまり学校に出てこなくて、心配なさっているかもしれませんわね。どうです? 明日は学校に出られてみてわ?」
「ふぁっ、ふぁっ、ふぁぁあ〜くっ」
お兄様のクシャミです。お兄様はお母様の「学校」と言う言葉に反応し、よく、クシャミをするのです。
「お風邪、長引きそうですね。お兄様」
「だ、だいじょぶ」
「まぁ、そうですの? それでは明日は大事をとって、学校はお休みした方がよろしいですわね」
「お薬をお持ちしましょうか? お兄様」
「ふ~。だ、だいじょぶ、ぐっじょぶ」
「? そうですか。分かりました」
昼食を終え、一息。お兄様の方を見ると、いつの間にか何処かへと居なくなっていました。