(4) デルタ村翌朝
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寒い。…ここは?
俺は、何故、こんな寒い場所に防寒装備も着用せずに横たわっているのだ?…朦朧とする意識を、首を強く振って覚醒させようと試みる。
何とか目の焦点だけは正常に合わせられるようになってきて、俺は、やっと自分が一人ではないことに気が付いた。少し離れた場所に、俺と同じ碧色の森泉国の国軍第1従者隊にいたジストン准尉が倒れている。俺の体も同じだが、奴の体にも降り始めた雪が積もりつつあり、いつから二人でここに倒れているのかは判断がつかぬが…このままでは確実に凍死する。
「おい。…おい、ジストン准尉。目を覚ませ。…でないと死ぬぞ」
揺り動かしても、返事はない。…が、しかし、苦しそうに眉根を寄せて小さく呻いたことから、息のあることは確認できた。俺は、少々手荒でもしかたないだろうと判断し、左手でジストン准尉の襟首を掴んで両頬を平手打ちにする。
「貴様、どのような理由があるにせよ、栄光ある国軍第1従者隊の一員として、無様に気を失うとは何事か!」
俺の喝を込めた叱咤に、軍人として肌身に染み込んだ性なのか、やっとジストン准尉の目が開く。
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「…あ…。も、申し訳ありません。リックウェル隊長殿…」
「おぅ。正確には『元』隊長だがな…まぁ、そんなことより早く意識を覚醒させないと貴様も俺も凍え死ぬぞ」
「うぅ…な…あぁ…何処でありますか?此処は?…さ、寒い…」
「…だから、寝るな!…目を覚ましやがれって言ってるだろう!」
俺たち軍人…いや、訓練を受けた従者であれば、このぐらいの寒さは、実際にはどうとでも対処できる。炎系の因子の所有者であれば、薄い炎を体にまとえば良いし、無の系統が得意なものであれば、外部と自分との間に薄い無の領域を幕のように張って冷気を遮断すれば良いのだ。水でも風でも、訓練により応用力の十分にある従者であれば凍死するなどという無様な最後は、本来は無縁のハズなのだ。
しかし、今、二人は自らの置かれた状況が理解できないぐらい、まだ精神が覚醒に至っていない。因子の能力を発揮し、しかも微調整するためには、自らの意志をしっかりとイメージして、因子や要素へと伝達しなければならないのだ。
例えば、俺が、下手にここで不十分な覚醒状態のまま、炎系の術を発現させようとし、失敗して最大出力で炎を顕現させてしまったら…ジストン准尉が一瞬で燃え尽きるだけでなく、この辺り一帯が焼け野原と化すだろう。…俺も、伊達に国軍第一従者隊の長を任された…経歴を持つ…わけではないのだ。最大出力を出せば、未熟な小隊の10や20は、俺一人で一蹴できる。…まぁ。こんな寒い平原で、寒さに凍えながら自分の力量を誇示しても全く無意味なのだが…
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二人で背中を強く押しつけ合いながら、外気に触れる表面積を極力小さくするとともに、筋肉を動かすことで体温の上昇を試みる。寒冷地域における最悪の事態を想定した訓練により、そのような対処法をジストン准尉も俺も共有していた。…しばらくそうやって互いの体を温め、二人ともやっとのことで意識の覚醒に成功する。ジストン准尉も俺も、ここがどこだかわからないため、もっとも環境への影響が小さい「風」の術を展開し、体の表面を覆う空気の層をもってして冷気を遮断することにする。幸い、俺たちは二人とも複数の因子を所有している。それぞれの得意とする因子をもって力を合わせれば、ある程度の窮地は何とか対処できそうだ。
「…ふう。これで、とりあえず寒さには何とか耐えられそうだ。『元』隊長でしかない俺が偉そうに指示するのもなんだが…ジストン准尉、他に外傷や体調におかしな点はないか念のため確認しておくといい」
「…だ、大丈夫のようです。どこも不具合はありません。リックウェル隊長は、お怪我などはありませんか?」
「あぁ。大丈夫だ。だから…隊長はよせ。貴様も知ってのとおり、俺はもう『元』でしかないんだからよ」
「…あ。そ、それを言うなら…ちょ、ちょっと申し上げ難いんですが…実は自分も『元』でして…」
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「あ?…貴様も『元』?…何だ?…除隊にでもなったか?」
「ん…いぇ。まぁ…そんな感じですかね?…お互い、少なくとも…もう准尉やら隊長やらといった肩書きは…意味が無さそうなんで…止めませんか?」
「おぅよ。俺は、別に構わんぞ。じゃぁ…俺は、貴様をジストンと呼び捨てさせて貰おう。いいか?」
「ありがとうございます。じゃぁ、私は、リックウェルさん…と呼ばせていただくことにします。よろしいですか?」
「…はは。…何だか…気恥ずかしいもんだな。実際、呼ばれてみると。軍の位階や隊での役職なんてのは堅苦しいだけのものかと思っていたが…案外、ああいう規則のお陰で悩まずに済んでいたのかも知れんな」
無駄口を叩きながらも、俺とジストンの二人は自分たちの置かれた状況を一つひとつ確認していく。軍や従者としての訓練が骨身に染み渡っているから、半ば無意識の行動だ。
ここまでの会話中に、俺は上部空間を風の術にて観測。左右の腕をアンテナの様に広げ、様々に角度を変えて風を読む。ジストンは、水の技を持って地の状況を調べている。片膝をついて片手の掌を地に押しつけ、水を走らせて状況を読む。
俺の記憶は、とにかく断片的だ。さっき、この場所で目を覚ますより以前の…最後の記憶は…何故か俺はファーマス殿下に異世界へと連れて行かれて…白暮の石塔国の末姫様の気配を追え…そう指示されて…気配のする方へと走った…そんなような記憶が残っている。…しかし、それが夢だったのか…それとも現実だったのか…それが判然としない。
・・・
「…ジストン。変なことを言うようだが…ここは基盤で間違いないよな?」
「えぇ。そうですね。…この銀光を放つ特徴的な氷原…は…おそらく…銀雪の氷原国でしょうね。…ただ、異世界にも、似たような氷原の土地があるなら…異世界で無いとは言い切れませんが…」
「なんというか…夢でも見てたのか?…って笑われそうなんで嫌なんだが…記憶が少し、おかしな感じになっててな…俺は、そもそもダルガバス宰相の不興を買って…国軍第一従者隊の隊長の職を解かれ…ファーマス殿下とマルルィア殿を警護する…という名目で、実のところ3人そろって第三象限外苑荒野に幽閉された。ここまでは、間違いないと思うんだが…」
「そうですね。リックウェル隊…失礼、リックウェルさんが第三象限外苑荒野へと赴任…という名の幽閉をされたのは…間違いない事実です。私の把握する事実とも一致しています」
「…ところが…な?…外苑荒野の宿営地…というか…まぁ幽閉用の小屋だな。そこへ着いて、最初のメシを食ったところまではハッキリとした記憶があるんだが…。次の記憶からが、おかしな具合に不連続で…断片的なんだよな?」
「断片的…ですか?」
「あぁ。…笑うなよ?…なんとな、次の記憶では、俺は異世界にいるのさ。でな…ファーマス様のご命令で、石塔国の末姫の気配を追って…見ず知らぬ異世界の地を全速力で走っている…のさ」
「・・・」
「…でな。そんな記憶がありながら…次の記憶が…もう無いんだ。末姫様の気配をかなり間近に感じるところまで接近した………ような…気がするんだが…もう、その次の記憶が…ここなんだ。貴様と一緒に、ここで目を覚ました…だから…異世界での記憶が、事実なのか…間抜けな夢だったのか…何ともスッキリしないんだ」
・・・
「あの…夢では無いと思います。私も…実は、リックウェルさんと同じような経緯で、ファーマス様の宿営地へと赴任したのですが…現地へ到達した途端、異世界へと送られ…その…異世界にてリックウェルさんと全く同じ任務に当たっていましたから…」
「ぬ。貴様もか!?………ふむ…では…夢を見た…とか…寝ぼけている…とか言うのではないのだな?」
「えぇ。そうですね。…ただ、ファーマス様も人が悪いですね。リックウェルさんと、私が同じ任務に当たるのであれば、一言、教えて頂ければ…連携を図ることも可能でしたでしょうに…」
「…うむ。が、しかし、結局、目的を果たすこと無く、再び戻ってきてしまったのだから…何というか…連携もクソも有りはしないんだがな………。で、どう思うジストン?…我々の任は解かれた…と考えるか?…それとも…」
「私は…状況はまだ継続中であるとの仮定で行動すべきだと思います」
「…だよな。ダルガバス宰相の元へ戻るワケにはいかんだろうし…そうなると、ファーマス殿下の配下としての位置は保持したい。…なれば、状況が終了したという確証が得られるまでは、可能な限りファーマス殿下の意に添うような行動を選択すべきだろうな」
俺たちは、そのような会話を交わしながら…おそらくは…氷原国の集落があると思われる方向…つまり、森泉国から離れる方向へと歩いていく。この場所は、おそらく氷原国でも、かなり森泉国に近い辺境に位置すると思われる。これは勘に頼っているのではない。この地域は、過去、二国間で何度も領土争奪戦の戦端が開かれた地であり、その地形はジストンと俺の二人の記憶とピッタリ一致しているからだ。
後は、それが間違い無い…ということを、何らかの方法で確認できれば良いのだが…
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…と、その時、前方から荷馬車が雪煙を巻き上げながら接近してくる。
この先にあるのは…確かデルタ村だ。デルタ村からこちら側には、森泉国との国境か第二象限外苑荒野への狭道しかない。あのような商家が使用するタイプの荷馬車で一般人が、外苑荒野へと向かうなどということは、通常は考えられない。
「…おい、ジストン。商家の一般人が…他国との国境に向かって疾走するってのは…いったいどんな場合なんだろうな?」
「さぁ…。分かりかねますが…我々も、一応は森泉国の軍人…ですし、このまま見過ごして…ファーマス様の知らない情報が、ダルガバス宰相の耳に入る…というのは、何となく面白くありませんねぇ」
「お。気が合うじゃないか。考えてることは一緒のようだから…細かい打ち合わせは抜きでいいな?」
「了解しました。…では、停めます」
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「…で?…動きを察知されて…逃げられたと…?」
その問いには答えず、村長は、その家族とともにひたすら平身低頭で詫びるだけだった。村長の妻や子どもたちの説明は、要領を得ないばかりか不自然な点も所々に散見され…まぁ…つまり明らかに嘘が混じっている。
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「ふむ。一つだけ再度、確認させてもらおう。この縄に縛られていたのは、奥さんとお子さんたち…ということで間違いないな?」
「…は、はい。ご一行は、既にご就寝中だと思っておりましたら…どうも夫たちの動きにお気づきになったご様子で…て、手荒な事はなさいませんでしたが…この場所に、私たちをお縛りになって…」
この者たちは、やはり一般人だな。因子の能力について、あまり知識が無いようだ。
「まぁ…優れた能力者ばかりの従者隊を、一般人が…出し抜こうというのが…まず無理な話なのだ。本気でお前たちの思惑どおりにしようと思ったら、次からは食事に眠り薬を忍ばせる…か、いっそのこと毒でも仕込んで…永遠に眠らせるか…もっとも、その目論見すら従者隊なら察知するであろうがな」
「クスッ…」
「ふふふ」
?…無茶なことを計画した村人たちを、少しばかり怖がらせてやろうかと、物騒な話を敢えてしたのだが…意外にも、子どもたち…男の子と女の子…二人が小さな笑い声を上げた。…な、何か今…俺は、面白いことをいったか?
「こ、これ!リュイス…な、何が可笑しいの?…失礼をお詫びしなさい!」
「ご、ゴメンなさい。で、でも、兵隊さんが、姫様の従者さんと全く同じことを言うんだもの…ねぇ、ステラ?」
「う、うん。わ、私も、余りにも同じことを仰るので…つ、つい…ご、ごめんなさい…」
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「ふむ。よろしい。良く分かった。…が、今回に限っては…お前たちが、薬や毒を使わないでくれて良かった。俺たちにとっても…そして、お前たちにとってもな」
「は?」
「ジストン!…俺は、説明とか苦手なんだよ。お前から説明してやってくれ」
肩をすくめる仕草をしながら苦笑して、ジストンは困惑する村人たちに状況を説明する。
一、確かに、現在、我が森泉国と姫の石塔国を含む連合とは敵対関係にある。
二、しかし、それはダルガバス宰相の独断によるもので、森泉国の真の王となるべきファーマス殿下の意志によるものではないこと。
三、一時期、森泉国を離れていたファーマス殿下が、間も無く帰り王位につくと思われること。
四、ファーマス殿下は、石塔国の末姫、ニューラ姫を正室として迎えることを強く希望されており、国を一時期離れていたのも末姫を救出する目的であったこと。
ジストンが柔和な笑みを浮かべながら、村人に対し分かりやすく状況を説明していく。一つを説明するたびに、村人たちが面白いように表情を変える。どうやら、幸運にも自分たちが大きな過ちを起こさずに済んだことに、やっと気が付いたようだ。
それからジストンは、俺の方をチラっと盗み見て俺と目が合うと、イタズラっぽい笑顔で舌の先を少し出し…ペロっと…何か企みを思いついたような顔をする。
「…そして、私とそちらのリックウェル少尉は、そのファーマス王の直属の諜報軍属を務めており………お前たちの村のあたりにニューラ姫の気配を感知して、姫のお助けをするよう派遣されてきたところ………ちょうど、お前たちの荷馬車と遭遇した…と、こういうわけなのだ」
・・・
少々、無理がある説明にも思えたが…村人たちは完全にジストンの話を信じ込み…お陰で、俺は今こうして、温かい暖炉の傍で、久しぶりに家庭的で美味い料理を腹一杯に食うことができている。
従者としての矜持からか今まで「腹が減った」とは一言も口にしなかったジストンも…温かく湯気を立たせた食事を前にして、さっきから無言で黙々と食事を口に運んでいる。
「…さて。あなた方には、これで一飯の恩義ができました。…とても美味しかったですよ。…ですからニューラ姫への無礼について不問にさせていただきましょう。ファーマス殿下には、姫がこの村で手厚くもてなされた…とでも報告しておけば問題ないでしょう」
もの凄く偉そうで…こちらばかりに都合の良い解釈だが…村人たちは安堵の表情を浮かべて、中には感謝の意を口にするものまでいる。さすがの俺も、若干の罪悪感と居心地の悪さが胸に生じる。だが、案外、ジストンはこういう駆け引き的なものが得意だったようで、涼しい顔であること無いことを次々と言っている。
(…おい。ジストン…いい加減にしとけよ。あんまりだと…バレるぞ?)
(大丈夫ですよ。こういうのは堂々と涼しげに…その方が、相手は不自然さを感じたとしても、自分でその不自然の理由を勝手に思い浮かべて…都合のいいように解釈して納得してくれるものなんです…)
(…ふむ…そんなもんなのか?…まさか、貴様にこんな才能があったとはな…)
・・・
小規模な因子通信で交わすナイショ話は、相当な能力の使い手でなければ絶対に聞き取ることは出来ない。…ハズなのだが…俺たち二人をジッと見つめる視線に気づいて…俺はギョッとする。
「ねぇ?…おじさんたち?」
「!…な、なんだ…お前は…えっと…」
「リュイスだよ。村長の子どもの…」
「あ…あぁ。…で、何だ?」
「お食事終わったよね?…じゃぁ…早くお姫様を助けに行ってよ」
「む。あぁ。言われなくとも…」
「違うよ。そうじゃなくてね、お姫様たちも、森泉国の兵隊に捕まっちゃうって勘違いしてて、それでね、お爺ちゃんの牧場の雪石竜子を貰って行く…って言ってたから…早くしないと、追いつけなくなっちゃうよ?」
・・・
・・・
慌てて駆けつけたものの…ニューラ姫たち一行が「極めて平和的に」雪石竜子たちを奪っていったのは、既に数刻前のこととなっていた。
「…飯なんか呑気に食っている場合じゃ…無かったな」
「いえ。今の話からすると、我々が村に着いた頃には、既にニューラ姫たちは雪石竜子を手に入れていた…ということのようですから…どちらにしても手遅れでしたね」
・・・
呆然とする俺たち二人の間を、銀の雪交じりの風が吹き抜けていく。この後に想定していた展開が音を立てて崩れおちた後の…俺たちの心に吹く風同様に…冷たい風。
村長の古着の内から、俺たちは防寒着を有り難く貰い受け…寒さに関して言えば、因子の能力を使わなくとも何とか耐えられるようになってはいたが…しかし…この展開は、ちょっと寒い展開だな。
「…やられましたね。近くに気配が残っているので油断しましたが…まさか惑乱用の気配を残した上で…高速移動中…とは」
「ジストン…。上には上がいるってことだな。確か、姫様付きの筆頭従者は…ラサ。そう、ラサ・クロノ・ロスト…とかいう名だったか?…石塔国のような小国に身を埋もらせておくのは勿体ない程の…使い手だと聞いたことがあるぞ」
「ふうん。それなら、我々が急いで追いつき警護にあたらなくとも…問題は無いのかもしれませんね」
「?」
今…何となくだが…俺は、ジストンの物言いに喩えようのない違和感を覚えた。
何だ?…俺は、自分が何に対して違和感を覚えたのか…。しかし…
「リックウェルさん…さて、どうしたら良いと思いますか?…我々も、ここの雪石竜子を借りて…追いますか?」
そう相談しながら思案するジストンからは、もう何の違和感もなくなっていた。
・・・
「追う…って言ったって、どういう経路で移動しているかが分からんぞ?」
考えても違和感について明らかになることはなさそうだ。俺は、諦めていつも通りの思考で答えを返す。
「そうですね。外苑部に添って氷原国の中枢地域を迂回する…可能性は高いですが…」
「あぁ。だが、その場合には氷原国の首都がある第一象限主街区域を通らないと、その向こうの薄紅の桜花国へ出ることが出来ないな…」
「最短距離を進むなら短軸正域境界に沿って外回廊方面から内回廊へ抜けるか…」
「いや。それよりも多少の危険は覚悟の上で、第一象限主生産区を抜けて第一象限中原内回廊へ抜けた方が距離は短いぞ?」
俺たちは、それぞれにニューラ姫の帰還進路について予想を立てるが、何を重視して行動指針としているか…それが分からないため決め手がない。結論としては…
「…闇雲に追っても…遭遇できる可能性は低いな…」
「そうですね。一度、村長の所へ戻って………また、上手いこと言いくるめて一宿の提供を願いますか?」
「あぁ。ちょいと、体を休めさせてもらっても…罰は当たらんだろうよ。村の儀式場を借りて、ファーマス殿下に因子通信で呼びかけてみるか…何か指示をいただけるかもしれない」
結局、俺たちは、その後しばらくの期間、デルタ村の世話になることになる…
だが…今は知る者の方が少ない、この小さな辺境の村が、今後、世界中の視線を集めることになろうとは…俺は思いもしなかった。
・・・
次回、「銀雪の狼」登場?するかな?