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HEART Of STEEL  作者: ブッチ
Mad Man
32/44

血戦

 情報参謀部部長アーチボルト・クラークがその司令室に到着した数分後、第43番ガレージから少し離れたガレージの影に、情報参謀部歩兵部隊二小隊、そして頭部の装甲が一部消失した深緑のG・Sに乗ったケビンが居た。


「隊長、こいつを聞きましたか!?」

「あぁ。どうやら電子戦で収集を付けるのは不可能らしいな…」


 部下からの呼びかけに、今回派遣された二小隊の一つ、アルファチームの指揮を執るラグ・チェンバーは苦々しい口調で返事を返す。

 たった今無線に飛び込んできた通信の内容は彼らに驚きともう一つ、多大な焦りを彼らに与えた。

 自分達の手で解決しなければ状況は収まらず、敵の目的が達成するまで時間も無い。だというのに、ガレージの影に追い込まれて身動きが取れないという事実は、彼らの焦燥感を煽るのには十分だった。


「クソッ…。アイツさえ居なければ……!」


 ラグはガレージの影から顔を出して、第四十三番ガレージの正面に陣取っているG・Sを見て悪態を吐く。

 そのG・Sは青と白の塗装をした中型機で、胸の辺りに女の首を掲げた戦士が描かれた無駄にヒロイックな外見は、まるで彼らに対する挑発の様でもあった。武装は両手に中~遠距離用ライフル、背部にリリスを二つ搭載した標準的なもので、二つの銃口を彼等が隠れているガレージに向けたまま佇んでいた。 そのまま暫くG・Sを忌々しげに見つめていると、部下がラグの肩を叩く。


「隊長、応援はまだなんですか?」


 目に見えて焦りに駆られている部下が予想通りの切羽詰まった口調でラグに問いかける。


「まだだろうな。敵の守りはかなり固い、武装も豊富だ。恐らくは、対策を練っている最中だろう。間に合うかどうかは分からないがな」


 ラグの返答を聞いた部下は悪態を吐くと、装備しているインカムを使って真横で停まっているG・Sに乗っているケビンに罵声を飛ばす。


「オイ、地下三階職員!テメェも黙ってないで何とか言えよ!お前はあのG・Sを殺る為に此処に居るんだろうが!」

「倒したいの山々なんすけどね。今言っても殺されるのがオチっすよ?」


 ラグは、ケビンの不完全な敬語が頭に来たのか、さらに罵声を飛ばそうとする部下の首を掴んで自分の許に引き寄せる。


「止めろ、あいつは充分に働いてる。あれを生き残っただけでもな」

「しかし、隊長…」

「あんたも悪かったな。何かいい策が浮かんだら言ってくれ」

「了解」


 ラグは部下の未練染みた言葉を無視して、インカムを通してケビンに謝辞を述べる。

 事の始まりは数十分程前だった。

 地下三階職員から状況を引き継いだ彼等は、援軍としてG・Sが送られてくるのまで待機し、侵入者側のG・Sの動きを封じている間に突入するといった作戦を立て、今と同じ様に侵入者の通常火器の射程範囲外で待機していた。

 少しして、ケビンとその他三名の地下三階職員がG・Sと共に合流し、突入作戦が開始。しかし、その結果は予想を大きく越えて、惨々たるものとなった。

 まず、作戦が開始されて部隊と四機のG・Sが物影から飛び出した直後、最前線にいたG・Sの頭部がライフルによる狙撃で破壊、状況を理解するまでにもう一機の頭部も破壊される。状況を理解し、慌てて回避行動をとったG・Sは、その動きを完全に読まれて同じ様に頭部を撃ち抜かれる。

 この状況を前に彼等は作戦の仕切り直しを決定し、突入を諦めて現在の位置に退避。唯一、回避行動ではなく両腕を交差させて頭部を防御していたケビンの機体のみが退避に成功。他の三機はそのまま流れ作業の如く、胸部に正確な射撃を受け、機能停止となった。


「とにかく、今は身内で揉めてる暇は無い。分かったか?」

「…了解」


 ラグは部下そう言うと部下の首を話して、荒々しく突き放す。部下は納得のいかなさそうな返事を返すと、ガレージの壁にもたれ掛って座り込む。


「隊長、あいつ等、何かやっている様です」


 ラグが溜め息を吐いて再び第43番ガレージの様子を確認しようとすると、ラグの隣でスナイパーライフルのスコープを使って様子を見ていた部下がラグに声をかける。


「どうした、動きがあったか?」

「はい。奴ら、空薬莢を回収し始めました」

「何?」


 ラグが部下からスナイパーライフルを借りてスコープを覗き込むと、部下の言う通り、何人かの戦闘服姿の男達がG・Sのライフルから排莢された空薬莢を転がして移動させていた。


「何やってんでしょうね、あいつ等?」

「さぁな。……ちょっと待てよ…」


 ラグは部下との会話を中断して侵入者達の動きに集中する。当の侵入者達は空薬莢をガレージの入り口などに並べると、数人がかりで立て始める


「そうか…、奴等、空薬莢を利用して遮蔽物を増やす気か…。面倒な事を」


 ラグが侵入者達の思惑に気付き、悪態を吐く。

 G・Sの使用する武器の排莢する空薬莢の大きさは武器によって異なるが、少なくとも成人男性の平均的身長は優に超えており、重量も相まってそれなりの安定感もある為、爆発物はともかく通常火器なら充分に遮蔽物として機能する事は可能である。もっとも、そんな事が必要になる事態などたかが知れているので、普通は思いつかない様な行動でもあった。


「隊長、狙撃しますか?」

「いや、今確実に殺れるのは最初の一人だけだろう。無駄に刺激しない方が得策だ」


 ラグは部下の提案に返答すると、スナイパーライフルを部下に戻す。

 そして、とにかく何らかの打開策を検討しようと部下達に声をかけようとしたその時だった。


『聞こえるかしら?アルファチーム隊長ログ・チェンバー。及び、ベータチーム隊長マック・オラハルト』


 インカムを通して、待ち望んだ通信が入ってきた。

「此方ラグ・チェンバー、アルファチーム隊長です」


 近くでベータチーム隊長のマック・オラハルトが無線に応答するのを聞きながら、ラグも返答する。


『増援要請の件だけど、地下三階職員以外は派遣出来ない。奴等にエレベーターのコントロールを奪われていてね』

「クソッ…。回復の見通しは?」

『恐らく不可能よ。我々に出来るのは足止めのみ、というのが現状なのよ。忌々しい事にね。奴等が適応率九割の人材を使い捨てる気が無いのなら、離脱の際に奪い返せる可能性はあるわ。尤も、奴等も此処から出るにはエレベーターを使わないといけないから、一筋縄では行きそうにないでしょうけど』

「了解…。では、この戦力で何とかやってみます」


 ラグはそう返答して通信を切ると、部下に向かって首を横に振る。それを見た部下達の中から落胆の色が滲み出ているのを、ラグは苦々しい気分で眺める。


(士気が低い…。これでは出来るものも出来なくなる……)


 作戦開始以来全く好転しない戦況、ましてや解決の糸口すら掴めないとなっては、彼等の士気が下がるのも無理は無い話であった。その上、部下の大半は人手不足の為に採用された実力重視の新人で構成されており、精神面でも脆いものがあった。

 とにかく、士気を上げるべくラグが発破を掛けようとした、その時だった。


「クラーク隊長、奴に近づく方法を思いついたんですけど、聞いて貰えますか?」


 今まで沈黙を貫いていたケビンの言葉が、ラグの耳に飛び込んできた。





「クソッ、暇だなァ…。さっさと死にに来ればいいのによォ、腰抜け共がァ…」


 G・Sの狭い操縦席で男は愚痴を呟く。

 男達がガレージを占拠してハッキングを仕掛けてからそれなりの時間が経過していた。特に作戦に支障も無く思惑通りに事は進んでいたが、その結果起こった戦闘は先ほどの一回のみであり、指揮官の判断能力が高いのか、本格的な戦闘に入る前に撤退してしまい、男としては物足りなさを覚えていた。


「つっても、G・Sが相手じゃなきゃつまんねェのには変わりねェんだけどよォ…」


 男はそうぼやくと、ガレージ内で待機している部下に連絡を取って、作戦の進行具合を確認する。


「おゥ、今どんな感じだァ?」

『順調に進んでいます。予定時間との誤差も修正可能範囲で、使用者のバイタルも安定しています。目標遂行まであと一息といったところです。』

「そうか。んじゃ、早くしろよォ。いい加減に欲求不満でくたばりそうなんでなァ」


 男がつまらなさそうに部下との通信を切るのとほぼ同時に、男のG・Sの熱源探知レーダーが新たな反応を捉える。


「んっとォ……装甲車か。オォイ!仕掛けてくんぞォ、ケツの穴締めとけよォ!」


 男は、G・Sが熱源の大きさから判断した新たな反応の正体を確認すると、部下に激を飛ばしてから、G・Sの両手のライフルの銃口をケビン達が隠れているガレージに向け、姿を見せた瞬間に攻撃を仕掛けられる様にする。


「さてと、メインディッシュに取りかかる前に楽しませてくれよ…?」


 男はレーダーとモニターに映し出される光景を同時に確認しながら、動き出すのを待つ。

 時間にして一、二分程して、男の待ちわびた瞬間が訪れる。


「まずはお前かァ!いいぜ、ファックしてやる!」


 レーダーに表示された動き出した熱源が動き出したのを確認して、男は歓喜の声を上げる。

 動き出したのは装甲車ではなくG・S、しかも先程の戦闘で唯一生き残った機体だった。

 男はレーダーを確認しタイミングを合わせる。そして、両手に装備されたライフルが火を吹き、発射された弾丸が、ガレージの影から姿を表したばかりのG・Sの頭部を撃ち抜く“筈だった”。


「ヒュウ~、そうきたかァ…」


 虚しい金属音と共に弾かれるライフルの弾丸。男はその光景を見て口の端を吊り上げる。

 そこには照明を反射して鈍い銀色に輝く鉄塊…リリスを両手で構えて楯の様にしている深緑のG・Sがが立っていた。


「ステゴロか、悪くねェなァ…。Come on(来ォい)!」


 男は、深緑のG・Sが背部のブースターから炎が噴き出し、爆音を轟かせながら男のG・S目がけて猛進するのを見て、ますます口の端を吊り上げながら咆哮を上げた。




「ウオオオオオオォ!」


 ケビンは咆哮を上げながら、自らの愛機を青と白のG・S目がけて猛進させる。楯にして構えているリリスにはライフルの弾丸が次々と撃ち込まれ、跳弾が装甲を少しずつ抉り取る。被弾した事による警告がモニターに表示され、ヘルメット内で鳴り響く度に腹の底から湧き出てくる恐怖を抑え込みながら機体を操縦する。それはケビンにとって確かに恐ろしいし、苦痛でもあった。だが、そこに逃げたいという欲求だけは存在しなかった。


Come on(来ォい)!』


 無線に割り込んできた、青と白のG・Sのパイロットと思わしき声。返事は返さずに機体の動きで応える。


Die(死ね)!」


 ケビンは咆哮と共にリリスを構えたまま敵機に突っ込む。青と白のG・Sも両手のライフルを捨てて、それに真っ正面から応える。


「クッ…!」


 機体のスピードが一気にマックスからゼロに。機体に走る一瞬の衝撃に、ケビンは顔を歪める。

 楯として使用していたリリスを挟んで二機のG・Sが向かい合う。突撃を敢行した深緑のG・Sと、それを真っ向から受け止めた青と白のG・S。互いの機体に描かれたエンブレムすら確認出来そうな至近距離で、二機の戦闘は幕を開けた。


「チッ…!クソがっ…!」


 忌々しそうに呟きながら、後退しかける機体を持ち直す、ケビン。

 同じG・S同士でのパワーファイト(力比べ)、当然ながら両者は拮抗し、二機とも大きな動きは無かった。だが、軽装甲にリリスを片方楯にしているケビンの機体と、リリスを二つとも装備した中量機では重量に差があり、少しづつだがケビンの機体は押されていた。


「とにかく、上だけはとられる訳にはいかねぇな…」


 ケビンはブースターの角度を調整しながら呟く。

 基本的に馬力そのものには手を加える事の出来ないG・Sにとって、このような状況では逆に技術を要求される。

 いくら機体に重量差があろうと、それはあくまで有利なだけで、決着を付ける事は出来ない。転倒させるにしろ引き剥がすにしろ、明確な力の差を生み出す事の出来る状況にもっていく事が出来なければ、勝利は訪れない。


『どうした?オメェから誘ってきた割には、根性ねェなァ?』

「うるせぇんだよ、気持ち悪ぃ声だすな…!」


 どう考えても楽しんでるとしか思えない青と白のG・Sのパイロットの声に悪態を吐く、ケビン。言葉とは裏腹に冷静さを宿した頭で打開策を探っていると、不意に通信が入る。


『此方、アルファチームリーダー。今装甲車で突入した。制圧完了までそいつを抑えといてくれ』

「流石の手際だ。気付かなかったぜ」


 いつの間にかに他の職員達が装甲車で突入していた知り、ケビンは作戦自体が円滑に進んでいる事に安堵する。


『ボッシュ、レド、シールドを構えて前進しろ!敵の攻撃を防げ!』

『そこの空薬莢の裏に敵が隠れてる!グレネードだ!』

『次の遮蔽物に移動する、援護を!』

『HBECWは二階だ!急げ!』

『階段の上から撃ってきている奴を黙らせろ!』

『隊長!ピートが撃たれた!』

『グロッサム、テイラー!ピートをここまで運んでこい!他は援護だ!面攻撃で奴らの頭を上げさせるな!』


(簡単にケリは付きそうにないな…。それまでこいつを抑えておけるかどうか…)

 

無線から流れ込んでくるガレージ内での戦闘の様子をBGMにしつつ、ケビンは目の前の敵の対処に意識を集中させる。


『中でも随分派手にやってんなァ。俺等も派手にやるとしようやァ!』

「クソッ!」


 男の言葉に合わせて青と白のG・Sのブースターが動き、リリスの右側に力が掛かる。それによりケビンの機体が押し込まれた隙を突き、青と白のG・Sの右手がリリスの右側を押し上げ、ケビンの機体を押さえつける様な形になる。


『オォイ、どうしたァ?これで終いかァ?』


 無線から流れる、どこか残念そうな声。だが、今のケビンにそれに応じる程の余裕は無く、青と白のG・Sに押し込まれて次第に沈んでいくG・Sの体勢をどう立て直すかのみに集中していた。

 もしこのまま押し倒されてしまえば、相手のG・Sとリリスの重量が一気にケビンの機体に襲いかかる。そうなればとてもじゃないが、二本の腕と軽装甲では防ぎ様が無く、コックピットごと押し潰される形で決着が着く羽目になるのは、容易に予想出来た。

 何よりここでケビンが敗北すれば、当然の如く青と白のG・Sはガレージ内の援護を行うだろう。そうなれば、突入作戦の為に機動力を制限するような対G・S兵装を所持していないラグ達の部隊に勝目は無く、作戦は失敗する。ケビンにとってそれだけは何としても避けなくてはいけなかった。


(クソッ!腹ァくくれ、俺!何としてでも作戦だけは成功させねぇと!)


 ケビンは状況を打開する策を見つけようと頭をフル回転させる。現在の状況、敵機の性能、時機の武装、自分の実力。それら全てを踏まえた上で、ケビンは一つの結論に辿り着く。


「…賭けてみるか」


 ケビンは一言だけ呟くと、瞬時に行動に移る。

 右側に力の比重が傾いている為に右手と違い、動かす事の出来るケビンのG・Sの左手をリリスから放す。それと同時に、支えを一つ失った結果としてリリスが更に押し込まれ、モニターに警告文が表示される。


(間に合えよ…!)


 肩の装甲を砕き始めたリリスを無視し、左腕から格納武器のリストブレイドを展開、青と白のG・S目掛けて斬りかかる。


『何だよ、面白ェモン持ってんじゃねぇか』


 だが、刃が青と白のG・Sに届く前にケビンの機体の左腕に伸び、腕を掴んで刃の進行を止める。


「まだ終わってねぇぞ、バトルマニア(戦闘狂)!」


 青と白のG・Sがリストブレイドに気を取られた一瞬の隙を突いて、右腕で押し付けられていたリリスを押しのける。押しのけられたリリスが地面に向かって倒れていくのを尻目に、右腕からもリストブレイドを展開、青と白のG・Sの左手を手首の辺りで切断し、腕を腰の高さに、そして胸部目掛けて突きを繰り出し、決着を付けようとする。


「なっ!?」


 だがその目論見は瓦解した。

 青と白のG・Sは自らの胸部に向かってきた右腕に手を切断された左腕を叩きつけて軌道を変え、そのまま押し上げる様にして、身動きの取れないケビンの機体の左腕に、掴んでいる自機の右腕を巻き込みながら突き刺した。


「オイオイ、マジかよ…!」

『止せよォ、そんなに褒めたらお顔が真っ赤になるぜェ』


 ケビンは無線から流れてきた一言に顔をしかめる。


「てめぇ、いつから聞こえてやがった…?」

『ん~?今だよ、今ァ。中々面白い手品野郎だから気になってなァ。ガキに、声聴こえるようにさせたんだよゥ』


 状況と“ガキ”という呼び方から、男の話している人物がHBECWの使用者だと判断したケビンは、忌々しそうに吐き捨てる。


「随分と余裕だな、クソッタレ」

『そうでもねぇよ。驚きのあまり心臓がどうにかなっちまいそうだぜェ』

「そうかい。じゃあ、さっさとくたばりな」


 ケビンはそう言い放つと、右腕のリストブレイドを切り離す(パージ)。それと同時に右脚の装甲の一部が開き、中から現れたリボルバー式の拳銃を引き抜くと、青と白のG・Sの胸部に向かって引き金を弾く。


「うおおおおっ!?」


だが、引き金を弾くより早く、青と白のG・Sがブーストスピンで回転。左腕がリストブレイドで縫い付けられているケビンの機体もそれに引っ張られながら回転する。そして遠心力に負けて左腕が千切れ、ケビンの機体は、まるで投げ飛ばされる様にして吹き飛び、ガレージの壁を突き破って仰向けに転倒する。


「クソッ…!やりやがる…!」


 ケビンが悪態を吐き、機体を起こそうとした、その時であった。


『いいねェ、まだそんな手品(マジック)があったのかよォ。だけども、タイムアップみたいなんでそろそろ帰るわァ。次は鳩を出す以外のも考えとけよォ?』


 そう言い残すと、青と白の機体はガレージの壁の向こうに消えた。

 そして間髪入れずにラグからの無線が飛んでくる。


『オイ、大丈夫か!?』

「えぇ、まぁね。そちらは!?」

『悪いが、逃げられた。壁を爆破して退路を作りやがった。敵ながら天晴れだ』

「追うんすよね?」

『当然だ。外に出られたらかなり厄介だ』

「…かなりと言うと?」

『奴等の目的は衛星監視システムだった。現在、全衛星が停止し、再起動には一週間掛かる』

Shit(クソッ)!」


 ケビンは悪態を吐き、数秒程使って息を整えてからラグとの会話に戻る。


「じゃあ、奴等がイージスの包囲を抜ける前に、奴等のケツに鉛弾をブチ込む必要があるって事ですね?」

『そういう訳だ。分かったら、俺がお前のケツを蹴り上げる羽目になる前に起き上がってくれると助かるんだがな、若造(ルーキー)?』

了解(サー)隊長(キャプテン)。意外とあんたとは話が合いそうだ」


 ケビンは苦笑しながらそう返すと、侵入者達を追うべく、機体を立ち上がらせた。

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