まさに圧倒的な魔力量
「ふう、お待たせさまです。だいたいの準備は整いました。かなり時間がかかってしまって……お兄さまが地面を掘ってる間に準備しておくべきでした。すみません……」
魔法陣を描き終え疲れた様子のレェラはそんなふうに俺に謝る。
「謝る必要はない。俺も手伝えなくてごめんな」
「だ、大丈夫です! お兄さまが謝る必要こそありません……!」
「はは、ありがとう。とにかくレェラは何も気負わなくていい。もし失敗したとしても一緒に他の手を考える。安心してくれ」
「……ありがとうございます。 お兄さま!」
彼女はそう言うと深呼吸をして息を整える。
そうして落ち着いた頃に彼女はいくつかの魔法陣が重なっている場の中心に立った。
「それでは始めさせていただきます……。はぁっ!」
そんな気合いの入った声と共に彼女はスッと目を閉じ、魔術を想像し始める。足元の魔法陣が青い光を放ち始めた。彼女の魔力が魔法陣を流れ始めたのだ。その後すぐに彼女の周りに彼女の操る魔力が見えるようになった。
(すごいな。期待以上の魔力量。やっぱりレェラのこれはそこそこの魔術師程度なら比にならないほどだ。ただまあ……経験が足りないな、やっぱり)
彼女は、俺が彼女に傷をつけさせたくないという思いのまま過保護に育ててきたせいであまり魔物との戦闘をしたことがない。自分の身を守るには力とそれを活かせる経験が必要だ。俺は彼女に、将来的には自分で自分の身を守ることのできる実力者になってもらいたい。
(はあ……経験をつけさせることも必要だ。やっぱりこのままの育て方からは少し変えなければいけないかもな。ただ……レェラに魔物と戦ってもらうとして、そこでレェラが怪我を負ってしまうかもと考えると……させたくないな……)
そんなことを思いながら彼女を眺めていると、青白い光が彼女を包み、そして川予定地の上あたりに巨大な水球が形成されていた。それは巨大ではあるが、ぱっと見川一つを埋め尽くせるほどの水量には見えない。
(あれの本質は"凝縮"か。恐ろしい量の魔力をあれから感じる。つまり相応の水があれに凝縮されてるわけだ。よくみたらあの水球の大きさはすっぽり川にはまるくらいの大きさ。あの量の水をほとんど凝縮せずに水球にしたら家どころか山を陰にしてしまうだろうな。てか下手したら川から溢れるんじゃないか。わりと多い量が。これは対策しておかなきゃな)
そう俺が力を練り始めると、レェラの口が開いた。
「ウォーターボールッ!」
瞬間、その水球は川に落とされたのだった。




