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VS複数体の魔物

 「帰るか。ぼちぼち飯が出来上がる頃だろうし」

 

 楽しみだ。美味い料理が家で待っている。

 と言っても、今回はシルフィーアの歓迎会だ。あんまり俺が食べすぎちゃいけないな。


 俺は街から離れ、山道を駆けながらそんなことを考える。


 「おっとそうだ。この面とコートを脱いでおかないと。レェラはこのことを知っているからともかく、シルフィーアにバレると色々あって悪魔の力を俺が持っていることにつながりそうだ。ここなら人目もないし、ちょうどいい」

 

 こう判断した俺は、バサっと面とコートと放り投げる。

 と、同時に俺はその二つに与えた性質を消した。

 

 べちゃり


 面とコートは性質を失い、その場にただの血液となって落ちた。

  

――――――


 「……なんじゃこれ」

 

 それから数十秒。

 俺が家の前に帰ってくると、そこには相当の数の魔物の死体があった。


 「ん、まあそうは言ったがだいたい予想はできるな……とりあえず家に入るか」

 

 扉に手をかけ、こちら側に引っ張り開く。

 

 「ただいま」

 「おかえりなさい! お兄さま!」

 「えっと……おかえりなさい」

 レェラが真っ先に出迎えてくれ、遅れてシルフィーアがぺこりと頭を下げて迎えてくれた。


 「さっそく聞きたいんだが、家の前にある死体は一体?」

 「ああ、それは……」

 

 俺が聞くと、レェラとシルフィーアは揃って説明を始めた。


――――――


 「ア゛ギャアッ!!」

 「グギョウ!!」

 「!?」

 数十分ほど前、レェラが料理をしていると、外からそんな奇声、もとい魔物の声が聞こえてきた。


 すかさず料理の手を止め、彼女は家の外に出る。

 

 「あれは……」

 そこには複数の種類の魔物。

 

 「珍しいですね……どれもこの山に生息している魔物ではありますが、こうも色々な種類の魔物が群れで現れるだなんて……」

 ホーンラビットやスライムのようなかなり弱い魔物から、ゴブリン、オーク、フィアスウルフなど、本当に色々だ。

 

 「とにもかくにも、問題は数が多いこと。私一人で対処できるでしょうか……それにすぐ近くには畑のための土も……」

 

 そう。この近くにはそれが置いてある。

 崩されてはまたあの作業をやりなおしだ。


 「絶対に守らなくては……」

 彼女がそう言った瞬間だ。


 白く、大きな翼が月光の元に舞い降りた。

 

 「シルフィーアさま!」

 「手伝います!」

 

 彼女が彼女の部屋の窓から外へ飛び出して現れ、そう言った。

 瞬間、彼女の手から光弾が生み出されて放たれる。

 「はあ!」

 

 ぐちゃり


 一匹のスライムがその弾によって消し飛ばされた。

 

 「一撃……さすがです! よし、私も……ストーンボール!!」

 レェラの右手に岩石の弾が生み出され、それは謎の推進力によって魔物に向けて放たれる。


 魔物の腹にそれがめり込み、打たれた魔物は地面に倒れ込んだ。


 「そうだ! シルフィーアさま! そこのプランターのようなもの! それを魔物から守っていただけませんか!?」

 「プランター……ですか?」


 シルフィーアは彼女の視線の先のものをみる。

 そこには確かにプランターのようなものが置かれていた。


 「分かりました!」

 「ありがとうございます!」


 シルフィーアはプランターの方へ行き、守る姿勢を見せた。

 

 「これであちらは大丈夫でしょうね。こちらの魔物をさっさと仕留めてみせましょう!」

 そう言って彼女は魔術発動の構えを見せる。


 そんな彼女に咄嗟に複数匹の魔物が飛びかかる。

 

 「———っ!? 素早く放てる魔術を……!」

 そうは言うが、彼女は焦ってしまう。

 魔術の発動にミスが生じる。


 魔物はその隙に彼女に攻撃をする。

 「あ……!」

 マズイ。

 そう彼女が思った瞬間だ。


 シュンッ! グサッ!


 「グキャア!?」

 「アァ゛!?」

 

 飛びついてきていた魔物が光の、小さな槍に刺された。

 

 「あ……こ、これは……」

 「大丈夫ですか!?」


 シルフィーアがレェラを心配して叫ぶ。

 どうやらこれは彼女のもののようだ。

 

 「あ、危なかった……シルフィーアさまに助けられた……」

 レェラはその事実を実感し、はぁ、はぁと息を吐く。心臓が激しく動く。ドクン、ドクン、と。


 「お、落ち着かないと。ふう……はあ……よし、今度こそ魔術を!」


 レェラは素早く落ち着きを取り戻し、今度こそ魔術の発動をする。

 またも飛びついてくる魔物を今度こそ撃つ。


 「プラズマボール!」

 電撃の弾が魔物に当たる。


 バチバチバチ! ドサリ……


 電撃に身体を焼かれた魔物がまた倒れた。


 「ふう……やっぱりこの系統の、ストールボールやプラズマボール。これらは構築が簡単でいい」


 彼女が先ほどから多用する魔術、ストーンボールやプラズマボール。『〇〇ボール』系の魔術は初心者向けで魔術の構築が簡単だ。

 魔術は発動するため、その魔術をイメージ、そして構築しなければならないが、この系統の魔術はそれが簡単なのだ。

 ちなみにこの系統の魔術は他にもファイアボールやかつて使ったウォーターボールがある。


 「私の実力じゃ、まだ構築の難易度が高い魔術は実践では使えない……けど落ち着いてこれが使えれば私でも戦える!」

 そう言ってさらに魔術の発動をし、それを魔物に撃ち込んでいった。


――――――

 

 「とまあ、そう言った経緯で……」

 「結構危なかったじゃねえか!」

 話を聞いた俺は思わずそう叫んでしまう。

 

 とはいえ聞いた感じじゃ、シルフィーアがいなかったら今頃レェラは……

 はあ、やっぱりまだレェラに実践は早いな。

 それに、俺が留守のうちに魔物がくる……今までに何回かあったが、これまでは悪魔の力で遠隔でレェラを守れていたからよかった。

 が、シルフィーアがいる以上悪魔の力は簡単には使えない。せいぜい悪魔の身体能力くらいだ。使えるのは。

 とするとこれからは俺が留守のうちにこの家を守れるようにしないとな。

 

 俺が考えていると、レェラが頭を下げた。

 「す、すみません……」

 「ま、いいさ。シルフィーア、ありがとな」

 「とんでもありません! 私はここに住まわせていただいている以上、ここを守るのは当然です!」

 俺が礼を言うと、彼女は声を高くしてそう言った。


 それにしても話に聞く限り彼女が戦いの中で使ったのは天使の力か。

 とはいえ聞いた感じじゃまだ基礎的な天使の力しか出してないようだ。いつか彼女の本気も見てみたいかもな。


 「とにかく、レェラ。料理は完成してるか?」

 「え、あ、はい! 完成してます! いつでも夕食にできますよ!」

 「そうか。んじゃあ夕食の時間にしよう。準備するぞ」


 そう言って俺は夕食の、シルフィーアの歓迎会の準備を始めるのだった。

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