クエスト達成
「終わりか。さすがは何人もの冒険者を敗走させた魔物……思いの外血閃を耐えられてしまった」
合計で151発。それがグラウヴェルに撃ち込んだ血閃の数だ。
もしかすれば151発に満たない数でも倒せていたかもしれないが、少なくとも今回はそれだけの量を撃ち込むことになった。
それだけ使ってしまった影響で、地面に大量の底の見えない穴が開いてしまっている。
「この近辺に人の住む場や建造物がなくてよかった。そうだったらもう少し倒す方法を考える必要があったかもしれないな」
俺は地に倒れ伏せたグラウヴェルの死体の元に降り立つ。
「あとはギルドまでこいつを持ち帰ってやればクエスト達成だな。随分大きいし、多少持ち運びやすくしておこう」
そうして自身の血液を何滴か取り出し、それら全てに例の如く性質を与える。
すると———
ザシュッ!!
血液は刃となり、グラウヴェルの死体を四等分にした。
俺は両手に二つずつその死体を持つと、翼を羽ばたかせて再度上空へ飛び立った。
――――――
「お、おお!! さすがは血鬼だ! もう帰ってきやがった!!」
「そこらの冒険者じゃああのクエストには早くて3日はかけるってのに! さすがS級だ!!」
ギルドに入った俺は冒険者たちの視線を浴びていた。
俺はそんな中をまっすぐ突き進み、グラウヴェルの死体を『換金所』に渡す。
ここで、報酬金とは別に死体や素材を金に変えることができるのだ。
本来換金には死体の鑑定などをしなければいけなく、時間がかかるうえ順番待ちなどもあるのだが、俺の場合はS級の特権によって順番をすっとばして最優先でそれを行ってくれる。
人界で数人しかいないS級にのみ許された特権だ。
で、その鑑定の間に受付でクエストの報酬を受け取る。
俺がそこへ赴くと、受付の方が「お疲れ様です! こちらが今回の報酬となります!」と言って大量の金貨の入った袋を俺に手渡した。
「ありがとう」
そう言って俺はそれを受け取るとその場から離れる。
袋の中身を覗いてその大量の金貨の枚数を数えると、だいたい40万ゴールドほど。
よし。これだけあれば当分は血鬼として活動しなくても大丈夫そうだ。
あとは鑑定の方を待つだけだが———
「ちょうど終わったみたいだな」
そう気がついて鑑定所に戻り、そこでも同じように金貨の入った袋を受け取った。
「すみません……最も価値がつく鱗の部位が少なくなっていたので、やや安く買い取ることになってしまいます。それでも大丈夫でしょうか?」
鑑定所の男からそのように聞かれた。
そうか。血閃でだいぶ貫いていたからな。確かにそうなっても仕方ないか。
そう判断した俺は「大丈夫だ」と、男に言った。
「ありがとうございます! では、買い取らせていただきますね!」
「ああ。よろしく頼む」
こんなやりとりをして俺はギルドから立ち去った。




