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血閃

 それからほぼ夜の空を飛び続けた俺は今回の討伐対象の魔物、グラウヴェルを発見した。

 

 「巨大な四足歩行の魔物……まああれだろうな」

 

 なんとも硬そうなヤツの灰の色の鱗のようなものが月の光を反射している。

 

 「まずはお試しだ」


 そう言った俺は手のひらに光球を生み出し、そいつに向かって投げた。


 「魔弾」


 光球は勢いよく進み、グラウヴェルの鱗に着弾し爆発する。

 

 「ヴヴァア゛ア゛ア゛ッ!!」

 「へえ、ピンピンしている。魔弾じゃあの程度の傷しかつかないか」

 

 グラウヴェルは俺に気がつき、殺意を向ける。

 と、同時に口から火の玉を吐き出した。


 俺はこちらに向かってくるそれを飛行することで回避する。

 

 「ヴァア゛ア゛ア゛!!」

 

 そんな俺にそれを当てようと、グラウヴェルは一気に15発ほどの火の玉を吐き出す。

 

 「どれだけそのような玉を吐こうが俺には当たらんぞ?」

 

 縦横無尽に夜空を飛び回りながらグラウヴェルに語りかけるように言う。


 それと同時に反撃の準備をする。

 血液を取り出し、性質を付与する。

 そうした血液はビュンっと、一瞬でグラウヴェルに飛んでいき、小さな穴をヤツの鱗に傷をつける。

 

 「血閃」

 「ヴァアア!?」

 

 “血閃”

 血液を細い光線のようにして相手を撃ち抜く便利な技だ。

 当然魔弾を超える威力を持ち、かなり少なめの血液で同時に十発とか撃てるので燃費が良く、俺もよく使っている。

 

 「今度はちゃんと聞いているみたいだな。さて、次はどうだ? 血閃」


 俺は先ほどよりは多めに、己の血液をバッと空中に放る。

  

 そしてそれを一気にいくつもの血閃とし、グラウヴェルに撃ち込んだ。


 その数150。それだけの血閃が一度にグラウヴェルを撃つ。


 それはひとつでさえ山を貫く威力の技だ。

 いくらグラウヴェルのあの硬い鱗があろうとそこそこのダメージにはなるだろう。


 「ヴァアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!??」

 「逃げるつもりか? であれば……」


 グラウヴェルはその場から逃げ出そうという動きを見せた。

 ため、俺は血液に性質を付与し、放り投げた。


 ドズンッ……!!

 瞬間、グラウヴェルの身体はまるで上に巨大な岩でも落とされたかのように押し潰れる。


 まあ、それと同じようなものだ。

 今、俺は血液を強力な圧力にした。

 それに別の血液を経由し透明、そして他の俺の攻撃の邪魔にならないようにする。

 それをグラウヴェルに上から投げつけた。

 

 するとまるで、突然そこの重力が倍増したかのようにグラウヴェルは押し潰れ、動けなくなった。

 

 そんなヤツの身体をを残る血閃が次々と貫いていく。

 

 「ウヴァア゛ア゛ア゛ア゛……ッ!!??」

 

 バシュッ

 ついにヤツの身体から血が跳ねた。

 鱗が血閃に突き破られたのだ。


 ということはつまりグラウヴェルの肉体を直接血閃が撃てるようになったわけで——


 「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァ……!!!!」

 

 グラウヴェルは次々襲いくる血閃に撃たれ続け、倒された。

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