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人界と天界の技術の差

 家具を見ながら進むシルフィーアの背に俺はついていく。

 

 「人間の世界にはこのような家具まであるのですね……」

 「まあな。天界にはないものがたくさんあるだろう?」

 「はい。どころか、ベッドやテーブル、机。天界に存在する家具でさえあちらのものとは違った形をしていたり、多様な機能を兼ね備えていたりします。人界の技術はここまで高度なものとなっているのですね……」

 

 彼女の言う通り、人界の技術は天界よりも何段階も先を行っている。

 こういった日常で使う家具や道具のみならず、娯楽用品や、建築物など。

 そして天界と大きく違うのは戦闘に扱われる技術だろう。

 

 天界のものが相手にするのは悪魔のみだ。

 で、人界では突如現れる魔物を常日頃から相手にしなければならない。悪魔よりも弱かったり強かったり、種によって実力はバラバラだが、まず肉体の強度などは人間よりも圧倒的に強い。

 で、人間はどのようにして魔物に対抗するか。

 武具だ。

 これらを進化させ、対抗してきた。

 

 一方天使と悪魔の肉体の強度にそれほどの差は存在しない。だから身につける武具というのがそこまで発展しないのだ。

 まあ相手に差をつけるため、多少の強化はしているが、元々の圧倒的な差を埋める目的での強化には劣るだろう。

 

 そんなことを考えながら俺が彼女の背を追っていると、彼女は突如足を止める。

 そんな彼女の視線の先にあったのはなんともふかふかそうなベッドだ。

 

 「これ……」

 「それが気に入ったか? シルフィーア」

 「え……! あ……は、はい。触り心地が良く、翼があっても支えてくれるくらいの大きさをしていて……」

 

 そうか。シルフィーアの場合は翼も考慮しないといけないのか。引っ込められるとはいえ、その状態がニュートラルではないからな。

 と、すると確かにこれくらいの、シルフィーアの、天使の中では大きめの翼を含めても入り切る大きさのベッドは欲しい。


 「わかった。これを買おう。この先にはもうベッドがほとんどないようだし、これで決めてしまっても問題はないだろう」

 「よろしいのですか……?」

 「ああ。任せておけ」


 値段の方は……よし。ギリギリ、ベッドの予算内だ。

 大きさのためか、他のよりも値段は高いが逆に、大きすぎて人間では買う人は少ないんだろう。

 そこそこ値下がってる。


 「それにしても、これほど大きなもの。どのようにして購入するのですか? レジまで持っていくこともできそうにありませんが……」

 「ああ、それは店によって色々だがこの店はこの、商品の手前にある札をレジまで持っていけばいい。そもそも今俺たちの前にあるこれは商品じゃないからな」

 「ええ!? では商品は何処に……」

 「基本的には店の裏か、こことは別の場所にある大きな倉庫などにあるな。後者の場合だと購入したその日に持ち帰ることができない。取り寄せる必要があるからな。だがこのベッドは前者のようだ。できれば今日から使いたかったし、ちょうどよかった」

 

 こんなふうに言ったが、普通にこのこと忘れていた。

 今持ち帰れていなかったら俺は一体、今日のシルフィーアの寝床はどうするつもりだったんだろう。

 つっても結果オーライだ。


 「それじゃあ札を取って次に行こう」

 「分かりました」

 

 それから俺たちは店内を隅々まで見て周り、良い商品を見繕って購入した。

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